闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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DVD『ZOO』

 乙一原作『ZOO』の映画版。文庫『ZOO 1』に収録された5作品(「カザリとヨーコ」「SEVEN ROOMS」「SO-far そ・ふぁー」「陽だまりの詩」「ZOO」)を映像化。
ZOOZOO
乙一

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 原作ものの映画の常として、映画化作品は批判されるものです。でも、小説と映画という、まったく別のメディア、全然ちがう表現形態をとるものであるからして、原作と同じものを求める方がそもそも間違いなわけでして。
 とはいえ、原作がすぐれた作品だからこそ映画化されるわけだし、それなら原作のすぐれた点は是非にも活かしてほしい、そう思うのも当然の人情。さて、この『ZOO』はどうでしょうか。
 
 「カザリとヨーコ」…原作は、5編のなかでもいちばんの傑作だと思っています。それだけに、どのように映像化されたのか非常に気になっていたのですが。
 …う~ん、これはちょっとなぁ。原作では、虐待と軽蔑に慣れきった少女が、その底なしの生命力をほとばしらせる、一種異様な物語でしたが、映画版では、自分に自信のない暗い少女が、人の優しさに触れて生きる力を芽生えさせていく、というありきたりなお話に落ち着いてしまっている。それでもまだ、ありきたりなりにちゃんと感動できる話になっていればいいのだけれど、いかんせん短いから、観客を泣かせるほどの深みもしくは厚みみたいなものを、物語に持たせられていない。悲惨すぎるヨーコの現状をひたすら淡々と描き、湿っぽさ皆無だった原作と違い、ごく普通にウェットな描写・ウェットな演技で表現してしまったのも残念。監督は大の乙一ファンだそうですが、本当かと疑いたくなりますね。

 「SEVEN ROOMS」…原作5編のなかでは、いちばん映像化に向きそうな作品だと思います。普通に、そのまんま映像化すれば、充分に見応えのある映画になりそう。で、実際はどうだったか。
 微妙。じつに微妙。原作にはない、映画版ならではのいい点もあるが、一方で原作の持つ良さを十分に生かしたとは言いがたい。
 カードやゴムや違うゴムを使った演出は、映像ならではのアイディアが効いていて面白かったけれど、全体として、どうも緊張感が足りなかった。サスペンスのドキドキもホラーのブキミさも感じられず、原作が持っていた圧倒的な悲劇性も、ずいぶん薄味になった気がしました。監督はこの作品がデビュー作ということで、ちょっと力量不足だったかな。

 「SO-far そ・ふぁー」…映画版5編のなかでは、これがいちばん好き。原作を読んで僕が受けた印象と、映画で表現されているものとがいちばん合致した作品でした。というのも、これは捉えようによってはすごく悲しい話、もしくは可哀想な話になってしまうのですが、映画版ではそうではなく、すごく前向きな、ハートフルな話として表現していたのがよかったです。
 ただ、ちょっと文句を言いたいところがふたつ。「ぼくの中で、何かが弾けた」という原作にない台詞と、それとともに〈ぼく〉が気を失う描写は、あまりにも安易というか、陳腐な気がする。まあ、原作を先に読んでなきゃ気にもならないことでしょうけど。もうひとつは、物語の象徴的なアイテムである〈ソファー〉の使い方がちょっと甘い。原作では常に物語の中心にあって、だからこそタイトルも「SO-far」なんですが(しかもトリプルミーニングになってる)、映画でのソファーは、ちょっと目立つ家具、ぐらいの存在にしかなっていない。そこがちょっと惜しかったかな。

 「陽だまりの詩」…CGアニメ作品。まあ、可もなく不可もなく、といったところ。上映時間の制約があったらしく、原作と比べるといくつかのエピソードが削られています。そのせいか、展開が拙速な感があり、ちょっと食い足りない。絵や音楽も綺麗で、非常に情感豊かに物語が綴られていきますが、僕が原作を読んで想像したのはもっと淡々としたものだったので、ちょっと違うかなぁという印象です。

 「ZOO」…さあ困った。これを、どう評価する?まず、原作とはまったく違う、ということ。殺した女の写真が毎日届く、ということ以外、ぜんぶ違う。で、ストーリーは、わけが解らない。いったいなにが言いたいのか。どういう意味なのか。
 まあ幻想小説風というか、夢幻的な映像作品なのかな。そういうものにほとんど触れたことがないから、解らないけれど。ストーリーも映像も、音楽も美術も、役者の衣装や芝居までもが、ぜんぶアートぶってるのが気に食わないですね。アート系映画には興味ないんで。それに、乙一の小説は、たとえどんなに浮世離れしようとも、あるいは人間の暗闇を描こうとも、基本、常にエンターテインメントですから。だからこそ売れているんだと思うし。その点、この「ZOO」は、エンターテインできませんね。観客を置き去りにする映画は、やっぱりつまらない。

 以上5編。短編5作品のオムニバスドラマといえば、『世にも奇妙な物語』がありますが、この『ZOO』の満足度は、出来の悪いときの『奇妙』ぐらいでしょうか。出来の良いときの『奇妙』なら、これより断然面白いですね。はっきりいって、高い金払って映画を観るよりは、原作読んだほうがいいよねっていう出来です。原作本、安いからね。\480なり。まあ、DVDレンタルするよりは高いかもしれないけどさ。
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comments(0)|trackback(0)|日本映画|2008-10-10_18:37|page top

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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