闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『容疑者Xの献身』東野圭吾

 第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞受賞作。2005年度「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」各1位。数々の勲章をものにしたミステリー小説の傑作にして、現在公開中の映画の原作本。
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 僕は映画を観てから原作を読みました(映画についての感想・評価はこちら)。内容に関しては、まあこれだけの評価を得ているんだから、悪いはずはないでしょう。でも、考えてみたら僕、直木賞受賞作を読むの初めてだな。

 文藝春秋「倶楽部ガリレオ」東野圭吾ガリレオシリーズ公式サイト
 映画『容疑者Xの献身』公式サイト
 映画を先に観ているので、あらすじや目玉トリックはもう知っちゃってるので面白さ半減と思いがち。ですが、逆にこの小説が映画化される過程で、どのように換骨奪胎されていったかがよく分かって、けっこう興味深かったです。
 小説は文庫本にして400ページ弱ですから、この手のミステリーとしてはそんなに長い方ではありませんが、それでも2時間の映画に全部収めるには長すぎる。いちばんの違いは、花岡靖子の内面描写の厚み。原作では、これがかなりみっちり描かれています。映画では時間的都合で、かなりバッサリ省かれている。その分、限られた出番で心情をしっかり伝える松雪泰子の演技が重みを増してくるわけですが。
 あと、“主役”といえる石神のキャラクターも、映画と小説では少し違っています。小説では、本当に数学以外なんにも興味のない、正真正銘の数学バカという感じですが、映画では登山という趣味があり、山頂から見える景色を「美しい」と感じる心を持っている。この登山シーン、映画を観た人の間では評判が悪いんですが、僕はよかったと思います。ともすれば数学と花岡靖子への愛以外なんにも考えていないし感じていない、極端に偏ったサイボーグみたいなキャラクターに見えがちな石神ですが、この登山シーンや、酒を呑むときのじつに美味そうな表情、居眠りする湯川に毛布をかけてやる気遣いなどで、人間的な広がりを感じさせることに繋がっています。

 また、映画には登場する内海薫(柴咲コウ)が登場しないため、この原作は、湯川と草薙の友情のドラマという側面がかなり強く打ち出されています。犯罪者・石神と刑事・草薙という2人の友人の狭間で苦悩する湯川、また湯川への友情と刑事としての立場の間で悩む草薙。作品終盤では、2人が友人関係を解消するという衝撃的な台詞まで飛び出す。石神の無償の愛に加え、石神―湯川―草薙という男の友情の三角関係ドラマが原作の二本柱という感じです。映画では、湯川と草薙の間に内海が入ることで「三角関係」の要素が薄まり、その分だけ石神の献身、そしてそれを知った湯川の悲しみという部分が大きく強く描かれています。時間の制約もある映画としては、焦点が絞れるのでこれで正解だと思います。

 映画もおおいに感動しましたが、小説でも泣きました。本を読んで泣いたのは、これが初めてかもしれない。さすが、さまざまなタイトルを総なめにした作品だけのことはあります。重い内容ですが、文章自体は無機質というか、作者も理系出身だからでしょうか、それこそ数学の問題のように無色透明でシステマチックな文体で書かれているので、非常に読みやすく、理解しやすいです。
 映画に感動された方は、原作もぜひ読んでみることをお勧めします。
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comments(2)|trackback(3)|読書|2008-11-07_22:06|page top

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幾何の問題に関数の解法で臨む愚か
東野圭吾「ガリレオ」シリーズは、つい先達て単行本が2冊同時に刊行となった。私は『探偵ガリレオ』から『容疑者Xの献身』まで文庫本で揃えているので最新刊は文庫落ちを待つつもりだ。とは云っても、石神の事件の後の湯川や草薙の消息は気になる。ああ、悩ましい。
【本】容疑者Xの献身
         『容疑者Xの献身』     東野圭吾     文藝春秋        ~*第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞受賞作品~【comment】  No,1『探偵ガリレオ』    No,2『予知夢』《湯川&草薙シリーズ》の↑の2作品読んだ後、一刻も早くコチ
東野圭吾 『容疑者Xの献身』 ~今更ながら初の東野作品~
容疑者Xの献身 (文春文庫)東野 圭吾 文藝春秋 2008-08-05売り上げランキング : 750Amazonで詳しく見る by G-Tools ----あらすじ---- 高校の数学教師・石神は、自宅の隣人であり、近所の弁

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良かったです。
感じる事は同じだね。私も目玉トリックの意外性も然ることながら、湯川と石神、湯川と草薙の友人関係が印象的で、それでも止まる事の出来なかった石神、最後に石神の愛情を全て受け入れる道を選ばなかった靖子、誰もに同情したくなるキャラクター描写が良い。唯一の欠点は無関係な人間の命を奪った事ですが、これについても石神の考えはきちんと描かれているので、問題と言ってしまうには些細な事。細部にまで隙のない、まさに傑作と言えるでしょう。
〉〉峰川幸介三世さま。
コメントサンキュ。
色々と論争を巻き起こした作品ではありますが、素朴に良かったですよね。ミステリとしては、シンプルなトリックながら驚きを最大化するように効果的な手法で書かれていると思いますし、ラブストーリーや湯川の葛藤の物語としても面白かったです。

東野作品はこの「ガリレオ」シリーズしか読んでないですが、他も読まないとなぁ、とは思ってます。実際読むのは、だいぶ先だろうけど。

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Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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