闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『気分は名探偵』

 本格の名手6人の手による、犯人当てアンソロジー。表紙には「Who done it?」の文字。問題編で示される伏線を手がかりに、読者は真犯人にたどり着けるか?
気分は名探偵―犯人当てアンソロジー (徳間文庫)気分は名探偵―犯人当てアンソロジー (徳間文庫)
我孫子 武丸

徳間書店 2008-09-05
売り上げランキング : 10189
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 執筆者は、収録順に有栖川有栖、貫井徳郎、麻耶雄嵩、霧舎巧、我孫子武丸、法月綸太郎の6人。個人的には、読んだことのある作者と読んだことのない作者が半々ぐらい。知ってる作者なら地雷を踏む気遣いはないし、知らない作者に挑戦するにも、60枚程度の短編なら入りやすいので、個人的にはかなり都合の良い本でした。
 
 「ガラスの檻の殺人」(有栖川有栖)…深夜の路上で起きた殺人事件。現場から東西南北に伸びる道には、それぞれに人目があったが、逃げる犯人は目撃されていない。つまり犯人は、人の目によって作られた「ガラスの檻」の中にいることになる……。
 作者自身、「そこそこ当ててもらおうと」思っていたそうなので、六編のなかでは比較的難易度が低いかな?論理がシンプルで、解答の納得感は高いです。そのぶん、「驚きの真相」的なカタルシスはあんまりないですけど。
 洒落の効いた文章、会話がアリスさんらしくて、読んでて楽しいです。

 「蝶番の問題」(貫井徳郎)…人気ミステリー作家である吉祥院のもとに、警視庁捜査一課の刑事・桂島が相談に訪れる。奥多摩にある貸し別荘で五人の男女の変死体が発見され、被害者のひとりが、事件の一部始終を手記に書き残していたというが……。
 作者は「すごく簡単と思っていた」らしいですが、実際はすごく難しかった、という作品。なるほど、たしかにヒントとなる描写はけっこうあからさまで、読んでて「!?」となるのですが、その先の絞込みが非常に難しい。真相は完全に盲点をつかれましたね。貫井氏は初めて読みましたが、探偵のキャラも立っているし、推理の論理も非常に明快。今後、他の作品も読んでみたいという気になりました。

 「二つの凶器」(麻耶雄嵩)…名探偵・木更津悠也のもとに、大学時代の先輩である月ヶ瀬直子が訪ねてきた。「秀則を、弟を助けて欲しいのよ」。直子によると、京都理科大学で起きた殺人事件で、弟が容疑者として疑われているという。事件関係者の中で唯一アリバイがなく、かつ動機をもつ秀則の容疑を、木更津は晴らすことができるのか……。
 この作品の真相は、ややこしいというか、理解するのがめんどくさいです。作者自身もそれを気にしてか、新聞に連載されていたときには、作者からのヒントが提示されたとか。
 麻耶さんは『まほろ市の殺人 秋』だけ読んだことがありましたが、それとはまただいぶ違う雰囲気でしたね。今後、他の作品を読みたいという気には、あんまりならなかったかも。

 「十五分間の出来事」(霧舎巧)…脚本家の大神剛志は、京都へ取材旅行に行った帰り、新幹線の洗面室で気を失っている男を発見する。そこへたまたま通りかかった車内販売の女性ともども男を介抱すると、どうやら男は、何者かに後頭部を殴られたらしいと判明する……。
 軽快な会話と、章ごとに新たな展開を告げる人物が現れるというメリハリのついた展開で、テンポよく読ませてくれる楽しい作品。会話も面白いし、登場人物それぞれのキャラも立っている。霧舎氏はこの競作に参加した作家の中では、デビューしたのがいちばん遅いんですね。いわゆる「新本格ムーヴメント」よりも後にデビューしてる。だから僕も今までノーマークで、名前すら知らなかったんですが、これは面白かった。他の作品も読んでみたいと思いました。

 「漂流者」(我孫子武丸)…浜辺で溺れて気を失っていたところを、助けられた「私」。しかし頭を怪我した「私」は、自分の名前も思い出せない。着ていたライフジャケットのポケットに手帳が入っており、そこには手帳の持ち主が遭遇した殺人事件の顛末が記されていた……。
 「犯人当て競作」だって言ってるのに、犯人当てじゃない小説を書くとは、さすが我孫子さん。いや、まあ犯人当てじゃないってことはないのか。記憶を失くした「私」が何者かがわかれば、手帳に記された殺人事件の犯人もおのずとわかるという仕組み。あんまり書くとネタバレになるから、この辺にしときますけど。
 登場人物の安藤という男が終盤で見せる異様な言動は、たかが60枚の短編でもただでは終わらないという我孫子さんらしさ。ちょっと病的なのは、我孫子さんに限らず、京大系の推理作家たちの共通項でもありますね。

 「ヒュドラ第十の首」(法月綸太郎)…染井霊園で男の死体が見つかった。被害者・蟹江陸朗には、前年に不倫の恋の破局がきっかけで自殺した妹がおり、その不倫相手を突き止めようとしていたところ、逆に口を封じられたようだ。蟹江がオンライン上に残していたプライベート・ログから浮上した容疑者は、ヒラドノブユキという同姓同名の男三人……。
 先日、長編『誰彼(たそがれ)』を読み、今日ブック・オフで『頼子のために』を買ってきてという具合に、最近法月綸太郎シリーズにはまりつつある僕。短編を読んだのは初めてでしたが、これも楽しかったです。法月警視のちょっと痛いオヤジギャグ(?)も含めてね。
 犯人当てとしては、少し『安楽椅子探偵ON AIR』を思い出しました(ややネタバレ?)。読者をミスリードする罠ですが、ツワモノのミステリ愛好者なら見通せる、ちょうどいい難易度になってるみたい。あ、僕はぜんぜん分からなかったです、ハイ。

 「謎の著者座談会『わたしは誰でしょう?』」…おまけ。競作に参加した6名の作者の座談会。なのに話し手の名前が匿名に。ABCDEFで表記される6人が、どれが誰だか当ててみましょうというもの。これはまあ、全体をよく読めばわりと簡単。僕でも分かったぐらいですから。でも、巻末にこういうのが入るのは、読者サービスとしてはなかなかいいと思います。最後には6人それぞれの、お薦め犯人当て小説も紹介されて、読んでみたいという気になります。

 アンソロジーってあんまり読んだことがなかったんですけど、犯人当てという縛りの中で、6人の作者それぞれが持ち味を発揮し、多様な作品が集まった短編集になっていると思います。どの作品も比較的読みやすいので、気楽に読める短編集ともいえるし、逆にすべての作品が問題編と解決編に分かれていますから、本気で当ててやろうという場合はじっくり読むのもありです。僕の場合はわりとあっさり読んじゃいましたが、いろんな作家の作品がいっぺんに読めて、得したなぁという感じ。なかでも初めて読んだ貫井徳郎氏と霧舎巧氏は、他の作品も読んでみたくなったし、収穫のあった読書でした。
霧舎巧傑作短編集 (講談社文庫)霧舎巧傑作短編集 (講談社文庫)
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被害者は誰? (講談社文庫)被害者は誰? (講談社文庫)
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Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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