闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『誰彼(たそがれ)』法月綸太郎

 法月綸太郎シリーズの二作目。きわめてシンプルかつオーソドックスだった前作『雪密室』とはうってかわって、密室・暗号・首なし死体・双生児など、さまざまな要素を詰め込んだごった煮みたいな推理小説。
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法月 綸太郎

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 新興宗教団体《汎エーテル教団》の教主、甲斐辰朗に何者かから送りつけられる脅迫状。教主の秘書である山岸裕美から依頼を受けた推理作家・法月綸太郎が調査に乗り出した矢先、教主は地上80メートルの塔の上の密室から消えた!
 
 あらすじだけ読むと普通の密室もののような感じですが、この作品、そんな単純な話では終わらない。ツイストの上にツイストをきかせ、捻りまくった展開は、もうほとんど「すべり芸」の領域に入ってる。あまりの過剰さ、てんこ盛り加減に最初は驚き、次第にめんどくさくなってきて、いよいよウンザリしてくるのだけれど、そのうちそれすらも通り越して「仕方ない、最後までつきあってやるか」という気分にさせられる。詰め込みすぎと言おうがなんだろうが、「そんなの関係ねぇ!」な小説なのです。

 前作『雪密室』は、法月親子の父親、法月貞雄警視が物語の中心にいて、いろいろな悪意や妨害と戦う、ちょっとハードボイルド風な語り口が魅力的でしたが、この『誰彼』はうってかわって、息子の推理作家、法月綸太郎が中心となり、警視の方は、名探偵たる息子の引き立て役のようになっています。前作で警視のファンになった僕からすると、そこは少し残念な部分でもあるのですが、息子の方もなかなかに面白いヤツなので、そんな不満はすぐに解消しました。
 内容の方は、《汎エーテル教団》の教主が塔の部屋から消えた後、都内のマンションで首を切り取られた男の死体が発見されます。その死体は、当初は安倍兼等という男だと思われるものの、すぐに《汎エーテル教団》教主・甲斐辰朗のものだと判明します。そして、この甲斐辰朗と安倍兼等がじつは血を分けた兄弟であったこと、さらに安倍兼等は十七年前に死んだと思われているが、はっきりしないこと、兼等にはもう一人、双子の兄がいることなどが、事件の謎をさらにややこしくするのです。

 密室・暗号・首なし死体・双生児という、本格ミステリーのお約束みたいな要素に加えて、新興宗教や安保闘争の過激派といった要素まで絡んで、フクザツを極める本作は、本格ミステリーをあまり読んだことのない人にはお薦めしづらいです。たぶん、ついて行けないと思うから。でも、ある程度本格ものを読んできた読者なら、その“過剰さ”が面白く感じられるでしょう。解説の香山二三郎氏の言うように、「読者の本格ミステリー・ファン度が試される」作品なのかもしれないですね。もっとも、僕は古典を読んでないので、エラリー・クイーンがどう、ロス・マクドナルドがどう、と言われても解らないのですが。
 前作『雪密室』ではキャラクターに魅力を感じて、謎解きの方はさほどではなかったのですが、この『誰彼』は謎解きの方も面白く、腹いっぱいにさせてもらいました。すでにシリーズの次なる作品『頼子のために』を購入して、これからちょっと、法月作品にはまりそうです。好きな作家が、また一人増えた。ますます読むの、大変だなぁ(嬉しい悲鳴)。
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Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

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comments(0)|trackback(1)|読書|2009-02-24_03:35|page top

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法月綸太郎 『誰彼』 感想
----あらすじ---- 巨大勢力を誇る宗教団体の教祖が出入り不可能な塔から忽然と姿を消し、塔から離れたマンションの一室で首を無くした死体が発...

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