闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『びっくり館の殺人』綾辻行人

 綾辻行人の『館』シリーズ、第八弾。一応、ミステリーランドという子供向け叢書のなかの一冊ですが、これ喜んで読んでる子供がいたら、ちぃと気持ち悪いんでないかい?
びっくり館の殺人 (ミステリーランド)びっくり館の殺人 (ミステリーランド)
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 「子供向け」という建前が悪く捉えられたのか、Amazonでも、あんまり評判は芳しくない模様。でも、ある面でこれこそ綾辻ミステリ、「本格雰囲気小説」の理想型と言えるんではなかろうか。
 
 綾辻さんがいつから「本格雰囲気小説」なんてことを言い始めたのかは知りませんけど、『館』の前作『暗黒館の殺人』辺りから、この「雰囲気」へのこだわりというか、傾倒はきわめて強くなっています。以前は、綾辻さんの「ホラー趣味」や「サイコ・サスペンス趣味」は、『囁き』シリーズや『殺人鬼』シリーズで処理されていたのでしょうが、その辺のシリーズが書かれていない現状、創作のモチベーションが全部『館』に突っ込まれた。そういう感じなんでしょうか。

 トリックが判り易いというのが、なにかと批判されたりしているようですが、もともとそういうことを問う作風ではないと思うんですね、綾辻作品って。『時計館の殺人』のあまりの完成度の高さが印象に残りすぎて、そういうイメージが強くなってしまうのでしょうが、「新本格とはメタ本格である」と我孫子武丸が喝破するとおり、旧来の本格ミステリのお約束をパロディ化して飲み込んでしまうのが、「新本格の旗手」たる綾辻行人の本領なわけでして。本格ミステリ的な「雰囲気」を存分に醸しだして、心躍る本格ミステリという魅惑的な小説表現の世界を広げていくこと。「メタ本格作家」である綾辻さんが、愛する本格ミステリというジャンルのために自らに課した、それは使命でしょう。もちろん、トリックがいい加減でいいってことではないけれど、物語として魅力的なのがいちばん。
 この作品は主人公の子ども時代の回想というかたちで描かれますが、子どもの登場する物語というと、これはもう綾辻さんのオハコ。純真で無垢で、それなのに(あるいは、それゆえに)どこか不気味な子どもたちは、今までも綾辻作品を彩ってきました。この『びっくり館の殺人』でも、はかなげでありながら底の見えぬ残酷さを垣間見せる少年が、物語のキーパーソンになります。彼と彼の祖父の間のドラマや、彼を思いやる主人公が経験した家族の悲劇など、短いストーリーの中ではほとんど匂わせる程度に終わってるんだけど、物語に深みとか陰影を与える要素になっていると思います。
 そして、1994年の夏から冬までのお話、物語の舞台は神戸の近くということで、翌年の初めに起きたあの大震災も物語に関わってきます。この辺は、僕自身が神戸の近く出身ということで、心の琴線に触れるものがありました。

 本格ミステリの「醍醐味」を、ではなく、本格ミステリの「雰囲気」を味わうための作品。そしてちょっぴり、ホラーテイスト。ゾクゾクッとするラストシーンは、まさに綾辻テイスト。『館』シリーズの正当な続編ということで、鹿谷門実もカメオ出演。建前は「子供向け」ですが、その実、『館』シリーズをはじめ過去の綾辻作品に充分に触れた、大人のミステリファンこそ楽しめる、正当「雰囲気」ミステリ、といえるのではないでしょうか。
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装画・挿し絵は七戸優(しちのへまさる)。 1987年「十角館の殺人」でデビュー。 「水車館の殺人」「迷路館の殺人」「人形館の殺人」な...
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