闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

月別アーカイブ

検索フォーム

広告!

ブロとも申請フォーム

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
HP Directplus オンラインストア
comments(-)|trackback(-)|スポンサー広告|--------_--:--|page top

映画『GOEMON』

 少々遅くなりましたが、話題の映画『GOEMON』を観てまいりました。“話題の映画”とはいったものの、興行的にはさほど芳しくないようですが。
GOEMON (幻冬舎文庫)GOEMON (幻冬舎文庫)
竹内 清人

幻冬舎 2009-04
売り上げランキング : 59700
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 実写映像にCGを上塗りしたかのような豪華絢爛な映像にド肝をぬかれ、ハイスピードのアクションシーンに目を奪われる。おまけにキャストも超豪華。金かかってるんだろうなぁ。製作者は、赤字出さないかヒヤヒヤしてんだろうなぁ。

 映画『GOEMON』公式サイト
 
 世界観というか、大枠の部分はものすごくオリジナリティに富んでいるけれど、一方でディテール、一つひとつの細かい部分には、過去の様々な作品からの影響が露骨に見てとれるという残念な感じの作品。五右衛門のキャラクターは完全にルパン三世だし、オープニングで満月の前を横切るシルエットは『E.T.』。遊郭のシーンでのミニ浴衣を着た遊女たちのダンスシーンは北野版『座頭市』みたいだし、甲冑を着た兵隊たちは、完全に『スター・ウォーズ』。実際に監督の中に“パクリ”という意識はないだろうし、たぶん“オマージュ”ですらない。でも問題は、監督が“どう考えたか”ではなくて、観客に“どう見えたか”ですから。“そう見えてしまった”という時点で、監督の負け。

 それにしても、紀里谷和明という人は何者なんでしょう。宇多田ヒカルの元夫、ということ以外、僕はなんにも知らないんですけど。映画監督デビュー作『CASSHERN』は観ていないけど、世評はものすごく低いみたいですし。映像的にもすごく金掛かってそうで、キャストも主演級がズラリ!「初監督からお金とキャストをこれだけ贅沢に使えるとは、宇多田ヒカルの旦那ってスゲェんだな」と思いましたが、その『CASSHERN』がケチョンケチョンに酷評されてなお、これだけのキャストと制作費を集めることが出来るとは。それだけの人望があったり、才能が認められてるってことなんでしょうが、「これだけのキャストと制作費があればもっと面白いもの撮れるのに」って、内心悔しがってる映画人がいっぱいいるんじゃないですかね。

 映画の出来ですが、総評としては、まあ微妙ですね。好き嫌いの分かれる作品ではあるでしょうが、客観的に見た完成度は、良くも悪くもない。というより、良くも悪くもある、というべきでしょうか。現在の邦画界で、アクション系娯楽作でこれより完成度の高い作品は年間2、3本あるかないかでしょう。そういう意味では、ぼろ糞に言うほど悪い作品ではないです。でも、海外の作品にまで目を広げれば、この作品の完成度は下の下。もっと出来のいいのはいくらでもある。それぐらい、日本のアクション・エンターテインメントの現状がお寒いということでもありますが。
 映像的には確かにすごい。映像だけでなく、衣装やセットも含めたビジュアル面の作りこみは、この作品の屋台骨といっていいでしょう。はっきり言ってムチャクチャな、普通にやったら間違いなく「無し」になるだろう世界観を、「有り」にしてしまうパワフルなビジュアル。その力技はすごい。
 欠点は、登場人物一人ひとりのストーリーが中途半端なこと。背負っているものとか、秘めている想いとか、投げかけているメッセージとかが、全部半端なんですよ。何を伝えたかったんだろうとか、彼らが戦い、傷つき、死んでいく中で、何を手に入れ、また何を失ったのだろうとか、思わせぶりな描写はたくさんあるけれど、結論に至っていない。色んな要素を詰め込もうとしすぎて、処理し切れなかったのかもしれませんが、だとしてもどこか一点ぐらい、突き抜けたメッセージがあってほしかった。全部宙ぶらりんになってしまっては、「結局なんだったの?」で終わりです。
 でも、この映画がまだ映画として成立しているのは、秀吉が死ぬとこまで。それ以後は完全な蛇足ですね。最後の関が原シーンなんて、寒いったらありゃしない。

 「俺は自由になってみたい」――予告編でこのセリフを聴いて、てっきりこの映画のテーマは「自由」なんだと、勝手に思っていました。実際はそれも違ったようですが、個人的な好みで、ちょっとこの「自由」について話をさせてください。
 この映画において、主人公五右衛門は、幼なじみであり好敵手である霧隠才蔵から、こう叱責されます。
 「お前が箱を盗まなければ、あの子の母親は死ななかった。お前が自由を謳歌するのは勝手だが、他人を巻き込むな」
 忍として身につけた抜群の身体能力と特殊技術を生かし、天下一の大泥棒として気ままに生きていた五右衛門。もちろん身の危険はあって当然の仕事だし、いざとなれば自分の身は自分で守るというぐらいの覚悟はあったでしょう。しかし、自分の行いが様々な人に影響を与え、めぐりめぐって大切な人を傷つけるという可能性までには、気が回らなかったのかもしれません。ゆえに、大切な人が危機に陥ったときの彼の行動は、きわめて場当たり的で、その場の感情で動いているとしか思えない。その結果「やっかいな事にな」り、血みどろの戦いに突入していきます。
 自由を貫くうえでは、周囲の人と利害が衝突したり、社会と摩擦が起きるのは必死。己の自由を守るために戦えば、相手も自分も傷つく恐れがある。大切なのは、その痛みを、受け入れる覚悟があるかどうかでしょう。五右衛門には、その「覚悟」が足りなかった。
 ちなみに、『ルパン三世 ワルサーP-38』という作品のなかで、ルパンがこんなことを言っています。
 「自由でいるにはな、そのためにやんなきゃなんねぇめんどくせーことが、たーくさんあるんだぜ」
 この「めんどくせーこと」のなかには、自由に付きまとう痛みや悲しみ、そして孤独を乗り越えていくという覚悟も、含まれているに違いありません。

 えっ、じゃあパンドラの箱の底にあったものって……!?
GOEMON オリジナル・サウンドトラックGOEMON オリジナル・サウンドトラック
松本晃彦

アール・アンド・シー 2009-04-22
売り上げランキング : 7013
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

CASSHERN [DVD]CASSHERN [DVD]
紀里谷和明 紀里谷和明 紀里谷和明

松竹ホームビデオ 2007-01-27
売り上げランキング : 27927
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

スポンサーサイト

Theme:日本映画
Genre:映画

HP Directplus オンラインストア
comments(0)|trackback(12)|日本映画|2009-05-21_05:47|page top

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

劇場鑑賞「GOEMON」
「GOEMON」を鑑賞してきました「CASSHERN」で鮮烈なデビューを飾った紀里谷和明監督の長編2作目。戦国の世を舞台に、大泥棒・石川五右衛門をはじめ歴史上の人気キャラクターたちが繰り広げる奇想天外なストーリーが、時代劇の枠にとらわれない大胆かつ斬新なヴィジ...
GOEMON
スゴい事になってます!!  
GOEMON
「CASSHERN」でデビューした紀里谷和明監督2作目。主演は江口洋介ですが、大沢たかお、広末涼子、奥田瑛二、伊武雅刀等々、名前を挙げ始めたらきりがないほどの超豪華な出演陣は文句無く見所です。更に、恐らくほぼ全編に渡って加工されたであろう映像とVFXによる映像...
GOEMON
紀里谷監督と言えば巨額の製作費をつぎ込んで作った『CASSHERN』が散々叩かれてた記憶しかなかったので、今回またどうやって巨額の製作費と豪華な役者たちを集めたのか気にしつつ、全く期待せずに『GOEMON』を観てきました。 ★★★ こんなアクション邦画を待って
GOEMON
『20世紀少年第2章』『ジェネラル・ルージュの凱旋』に続き、今年3本目の邦画鑑賞です【story】織田信長(中村橋之助)を暗殺した明智光秀が討伐され、豊臣秀吉(奥田瑛二)が天下を取った時代。超人的な身体能力を武器に金持ちから金品を盗み、貧しき者に分け与える盗賊
『GOEMON』
□作品オフィシャルサイト 「GOEMON」□監督・脚本・原案 紀里谷和明 □脚本 瀧田哲郎 □キャスト 江口洋介、大沢たかお、広末涼子、ゴリ、要潤、玉山鉄二、中村橋之助、寺島進、チェ・ホンマン、佐藤江梨子、戸田恵梨香、鶴田真由、りょう、佐田真由美、福田麻...
「GOEMON」プチレビュー
紀里谷監督の初監督作品だった「CASSHERN」で賛否を 渦巻いていたが、どうやら今回もネット上を賛否が 駆け巡っているようです。
【GOEMON】
【監督・原案】 紀里谷和明 【脚本】     紀里谷和明、瀧田哲郎 【上映時間】  2時間8分 【配給】     松竹、ワーナー・ブ...
GOEMON
脚本ゼミのお友達と作っている映画を観る会。 作品選びを任された彼の希望「おっぱいバレー」が 直前でこの作品に。 どちらにしろ、私のチョイスにはない作品なので 良かったです。 監督の紀里谷和明氏の前作の「CASSHERN 」は 私は結構良かったので、楽しみです
GOEMON
「GOEMON」 感想 GOEMON 天下の大泥棒か、天下を変えたヒーローか 鳥肌立つほどの映像美!! 前作「CASSHERN」に続く紀里谷和明監督第2作...
GOEMON
露光高めの映像とスタイリッシュな映像美。試写会時の観覧を含めて2回目だからか、映像自体には初めてみたときよりもそう違和感を感じなかったです。試写会の時の記事を読むと恥ずかしさ満点ですが、CASSHERN時よりも完成度は高いと思いますし私は好きですね。 やはり...
GOEMON
「GOEMON」(2009)を観ました。監督:紀里谷和明出演:江口洋介、大沢たかお、広末涼子、ゴリ、中村橋之助、寺島進、平幹二朗、伊武雅刀、奥田瑛二、要潤、玉山鉄二、チェ・ホンマン<内容>1852年、豊臣政権下。世は火種を残しつつも、一時の平和を謳歌していた。そ...

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

tamacat

Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

参加ランキング

クリック感謝!

NetShop

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。