闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『異邦の騎士 改訂完全版』島田荘司

 名探偵・御手洗潔最初の事件。記憶をなくした友人を救うため、若き日の御手洗が駆ける。推理小説であると同時に、青春純愛小説でもある本作。涙なくしては読めません。
異邦の騎士 改訂完全版異邦の騎士 改訂完全版

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 ある日の夕方、公園のベンチで目覚めたとき、俺はすべての記憶を失くしていた。絶望の中、街で偶然出会った女・良子とひょんなことから同居生活を始める俺。貧しいながらも平穏で幸せな日々。この幸せが、ずっと続けばいいと思った。しかし、俺が過去の記憶を取り戻したなら、この幸せは終わってしまうのか――。
 
 まさか御手洗シリーズで泣きそうになるとは――。
 『占星術殺人事件』『斜め屋敷の犯罪』と島田荘司の作品、御手洗潔シリーズを読んできて、ある程度島田作品とはこういうものだろうというイメージを持ってたわけですが、完全に裏切られました。御手洗シリーズで、こんなにもシリアスでセンチメンタルな文章を読むとは予想だにしませんでした。御手洗が登場するまで、この作品は本当に御手洗シリーズなんだろうかと訝ったぐらい。逆に言えば、御手洗だけはいつもどおりの御手洗だったということでもあるのですが――。
 物語の序盤、「俺」と良子が出会い、同棲を始め、愛を育んでいく描写だけでもグッと来る。切ないくらいにピュアで儚げで美しい――最近流行りの“純愛小説”などは読んだことがないけれど、僕にとってはこの『異邦の騎士』こそ純愛小説です。そのキラキラした美しい序盤と、中盤のドロドロした、暴力的な犯罪の描写、そしてそれら両極端な要素が、終盤の深い悲しみへ一気に収斂していくダイナミックな展開もまた、淡々としてストーリー展開も平板だった過去二作の御手洗シリーズとは大きく趣を異にしています。
 ミステリーとしてはトリックに多少無理があるというか、話が出来すぎてる感が否めないのは多くの人が感じるところのようですが、それがまったくマイナスにならないほど、強い魅力を持った物語だと思います。むしろ、その「出来すぎ感」がより一層クライマックスの悲しみを際立たせる、エモーションを掻き立てる要素になっているようにも思えます。

 とにかく、僕はこの『異邦の騎士』を読んで、『占星術』や『斜め屋敷』を読み返したくなりました。たぶん、“最初の事件”である『異邦の騎士』の内容を踏まえているのといないのとでは、前の二作品、特に『占星術殺人事件』の印象はだいぶ変わるんじゃないかな。
 文章を読んでいて、頭の中に鮮明な映像が描けるというのも、過去二作の御手洗シリーズではなかったこと。特に『斜め屋敷の犯罪』では、“斜め屋敷”というきわめて特殊な形状をもった屋敷の映像をなかなか頭に描くことができず、トリックの理解にも苦労を要したのですが、この『異邦の騎士』では、いろいろな情景が、鮮やかに脳裏に浮かんでくる。良子がはしゃぐ多摩川の川原、二人がデートをした横浜の街並み、そして鉄の馬に跨り、夜の荒川土手を颯爽と駆け上がった御手洗の勇姿――。
 彼が『浪漫の騎士』のレコードを聴くと決まって思い出すのと同じ情景を、今後僕は御手洗が活躍する物語を読むたびに、脳裏に思い浮かべることになるのでしょう。

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Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

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comments(0)|trackback(2)|読書|2009-09-13_01:29|page top

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
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