闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『Xの悲劇』エラリー・クイーン

 エラリー・クイーン。新本格ミステリの旗手、有栖川有栖や法月綸太郎が、そのスタイルをそっくり真似るほど敬愛してやまない作家。そのエラリー・クイーンが当初、バーナビー・ロスという別名義で発表した、ミステリ史に燦然と輝く傑作『Xの悲劇』を読みました。
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 ついにこの日が来たか……。
 本格ミステリフリークとして、いつまでも読んでませんじゃ済まないのは解っていましたが、翻訳ものへの苦手意識、“古典”というだけで感じるハードルの高さ、現代の国内ミステリーだけでも読みたい作品は数え切れれないという現実……そういったもろもろの前にずっと後回しにしていました。今回、ある人に背中を押されて読んでみることにしたのですが……。
 
 うーん、やっぱり翻訳ものは苦手だなぁ。言葉の呼吸というかリズムというか、どうしてもすんなり入ってこないところがあって。文法や語法がまるで違う外国語をむりやり日本語にしてるわけだから、仕方ないんですけど。

 それはそうと、『Xの悲劇』ですよ。どうだったの?おもしろかったの?って話ですが。
 いやぁ、すごくよかったですよ。これぞ本格ミステリ。まさに論理の城です。多数の容疑者の中から、論理的推理の積み上げだけで、一人の真犯人を名指しする。その推理場面のロジックの完璧さと言ったら。この作品が、ミステリ史上の傑作中の傑作として読み継がれている理由が解ろうというものです。
 また、派手な装飾や大掛かりなトリックなどはない作品ですが、だからといって地味かというとそんなことはありません。これは解説の有栖川さん(そう、本書の解説は有栖川有栖が書いているのです!)も書いていることですが、なにせ事件発生現場が騒がしい。第一の殺人はすし詰めの路面電車の車内、第二の事件は多数の乗客を乗せたフェリーの船上。どちらも不特定多数の人々が居合わせる場所で、衆人の目を逃れて巧妙に犯行を行う犯人の大胆不敵さ。有栖川さんは解説の中で、「ハードな本格ミステリの要件として、(略)その犯行計画が相当に冒険的で、ある種の夢想になっていることが望ましい」と述べていますが、本作で描かれる三つの殺人事件は、どれも極めて冒険的で、その計画を実行する犯人の行動は大胆すぎるほど。その大胆な犯行を、じつに鋭い推理で華麗に指摘してみせる、主人公ドルリー・レーンのキャラクターも、本格ミステリの名探偵として、じつによくキャラが立っています。この探偵の“キャラ立ち”も、作品が長く愛される所以でしょう。

 ――と褒めちぎってきましたが、不満がないわけじゃない。いちばんの不満は「そんなに上手くいくかよ」ということですが、そればっかりは、ミステリにおいては言い出しゃきりがないから、ある程度黙認するしかないのかな。あと、第一の事件の詳細を聞いた時点で、レーンには犯人=X氏の目星がついてたわけだから、(決定的な証拠がなかったにせよ)無理にでもそのX氏の身柄を拘束するなり、監視をつけるなりしていれば第二・第三の悲劇は防げたのではないか――。この点について、ドルリー・レーンに反省や後悔の色が見られないのは、いささか不満です。

 ともあれ、これぞ本格ミステリであり、有栖川有栖をはじめとした現代の本格ミステリ作家たちが目標にし、乗り越えようとしている金字塔なわけです。1932年に書かれた作品ですが、今なおほとんど古さを感じさせないというのは驚愕。「不朽の名作とはこういうもの」という有栖川さんの言葉も納得の一作です。これに続く『Yの悲劇』などのドルリー・レーン四部作、あるいは名探偵エラリー・クイーンが活躍する国名シリーズなど、エラリー・クイーンの他の著作の中にも、これに匹敵する傑作がいくつもあるというのですから、これは困った――また読まなきゃならない作品が増えてしまいました。
 読めば読むほど、“いずれ読む予定の本”リストが膨らんでいく――読書好きには、嬉しい悲鳴でしょうか?

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comments(0)|trackback(0)|読書|2009-10-09_03:49|page top

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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