闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『双頭の悪魔』有栖川有栖

 有栖川有栖の『学生アリスシリーズ』第3弾。名探偵・江神二郎部長以下、英都大学推理小説研究会(EMC)のメンバーが勢ぞろい。前作『孤島パズル』では蚊帳の外だった信長&モチさんもカムバックです。しかも今作では、神秘のベールに包まれた江神さんの《過去》が、少しだけ明らかにされます。
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 前作で受けた精神的ショックから、放浪の旅に出たマリア。彼女を連れ戻すため、芸術家の集まる木更村に潜入したEMCのメンバー。江神はなんとかマリアとの接触に成功するも、木更村と外界とをつなぐ唯一の通路である橋が大雨によって流され、村は孤立してしまう。一方、川の反対側の夏森村でも殺人事件が発生、第一発見者となったアリス・織田・望月の3人が真犯人を推理する。
 物的証拠よりも論理の積み上げで謎を解いていく有栖川ミステリの真骨頂とも言うべき作品。巻末の解説で、巽昌章氏が「論理的推理によるフーダニットという目標をほとんど完璧に実現している」と大絶賛しています。この解説は、作者の有栖川さんをして、「私を批評される喜びで満たしてくれました」と言わしめるもので、この解説だけでも読む価値があると思います。
 ただ、論理的推理に重きを置きすぎているという感は否めません。物的証拠ではなく、状況証拠からの推理の積み上げなので、否定することは難しくても、絶対的にそれが正しいとは言い切れないのではないか。そういうことが気になりだすと、結構文句も言えるし、また文句の言い甲斐もある作品ではあります。
 とはいえ、原稿用紙1000枚、文庫本にして680ページ以上という分量を苦もなく読めてしまうのは、謎に満ちた事件そのものも、その謎が解かれていく過程も魅力的な上に、登場人物一人ひとりが活き活きと描かれているからでしょう。特にこの作品では、アリス・織田・望月の三人の活躍が見どころ。夏森村で起きた殺人事件の真相を推理するわけですが、ここで特に冴えを見せるのが、EMC随一の論客・望月先輩。彼が「重大な見落としと勘違いに気がついた」ことで、事件解決への道筋が一気に開かれていくのですが、ここからの三者のカンカンガクガクの議論がまた見もの。望月の提言に織田が疑問を差し挟み、二人が行き詰ればアリスがそれを打開する……という過程を繰り返し、あらゆる可能性を的確に潰しながら真相にジリジリとにじり寄っていくプロセスは読み応え十分で、また読者自身が三人の意見を参考にしながら、真相を推理する余裕も持てて非常に楽しいです。

 『学生アリスシリーズ』待望の最新刊、『女王国の城』が発売されましたが、『双頭の悪魔』のあとがきによると、このシリーズは五部作構想なのだそうです。第三作と第四作とのあいだにだいぶ時間が空いてしまったので、第五作は待たせないでほしいなぁ。
 ちなみにこのシリーズで僕の中でのお気に入りは(『女王国』はまだ読んでないけど)、第一作目の『月光ゲーム』です。当然本格ミステリでありながら青春小説でもあり、おまけにデザスター・パニック小説でもある(!)という点が、お気に入りの理由です。本格ミステリとデザスター・パニックを両立した小説なんて、滅多にないでしょ(知ってる人がいたら教えてください)。
 『月光ゲーム』では報われない恋に泣いたアリスですが、『孤島パズル』『双頭の悪魔』の流れからは、もしかすると報われそうな香りが漂い始めています。五部作が完結するとき、アリスは、江神は、そしてEMCのメンバーはどのようなゴールを迎えるのか……。
 五作目の発売が、今から待ち遠しいです。
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Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

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comments(0)|trackback(0)|読書|2007-10-06_23:28|page top

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
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