闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『絡新婦の理』京極夏彦

 「絡新婦」と書いて「じょろうぐも」と読む。つまり「女郎蜘蛛」。偶然の糸を巧みに操り、必然の網を張る恐るべき悪事の計略に、京極堂こと中禅寺秋彦が挑む、人気シリーズ第五作。
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 “目潰し魔”による連続殺人を追う刑事の木場修太郎。調べているうちに、自身の友人が事件に関わっている可能性が強くなり、木場は困惑する。一方、釣り堀屋のいさま屋こと伊佐間一成は、釣りに訪れた千葉の漁村で、ひょんなことからその地の名家である織作家を訪ね、そこで当主の織作是亮が殺害される現場に出くわす。また、神奈川県警を退職した益田龍一は、探偵になるべく榎木津礼二郎の事務所を訪れる。そこで杉浦美江という女性の失踪した夫の行方を調査する仕事を押し付けられてしまった益田は、たまたま榎木津の元を訪れた弁護士の増岡と共に、京極堂のもとを訪ねるが……。
 
 なんかもう、えらいものを読んじゃったなぁという印象。正直、説明不能です。これは読むしかない、読まねば解らぬ。

 序・中盤は、個人的にはちょっとだるいかなぁという感じがありました。そもそも僕は、シリーズ一作目の『姑獲鳥の夏』の視点人物だった関口巽というキャラクターが好きで、このシリーズにはまったのも、彼の魅力によるところが大きいといえます。ですが、この『絡新婦の理』では関口の出番がほとんどなく、もっぱら木場・伊佐間・益田の三人の視点で話が進んでいきます。木場は『姑獲鳥』からのレギュラーなのでまだいいのですが、伊佐間や益田は三作目の『鉄鼠の檻』から出てきた人物で、しかもこのシリーズは作を追うごとに登場人物が増えているので(すべての作品が繋がっているので、作品世界がどんどん拡張していく)、関口や京極堂の友人である伊佐間はまだしも、警察関係者だった益田など、正直ちゃんと覚えてなくて、「これ、誰だっけ?」と思ってしまいました。
 ところが終盤、京極堂が本格的に事件の全容解明に乗り出すと、一見無関係に見える様々な事件がすべて繋がって、驚愕の真相が姿を現します。この「憑き物落とし」の場面の迫力は、いつもながらに凄い。と同時に、京極堂が語る様々なうんちくというのは、本当に勉強になります。今回は特に、性差――ジェンダーに関するうんちくがすごい。古における女性の権利とか、母系社会の理とか、まあとにかくすごい。このシリーズを読んでいると、目から鱗が落ちるようなというか、なんだか自分がそれまでより一段も二段も賢くなったような感覚になります。実際、相当に勉強になる。今の僕がある物事を見聞きし、体験して、なにがしかの感想なり、意見なりを持つとする、その何割かは、このシリーズを読んでいなければけっしてそうは考えなかっただろうという部分が確実にあります。そういう意味では、僕はこのシリーズを読んで、ちょっと人生が変わっている。宗教とか歴史認識とか、場合によっては世界を認識する知覚の仕組みまで揺さぶられるので、このシリーズを読む前と読み終えた後で、同じ態度で世界と向き合える人はほとんどいないでしょうね。

 このシリーズはちゃんと順を追って読まないと解らない部分がけっこうあるのですが、特にこの『絡新婦の理』はシリーズの集大成ともいえるぐらいの大作です。登場人物も、過去のシリーズ作品に出てきた人々が次々に主役級で登場し、過去のエピソードを振り返ったりもするので、過去作品を読んでないとかなり色々な部分が解らないと思います。そこがネックといえばネック。
 でも、やっぱりこのシリーズは面白いわ。むちゃくちゃ分厚くて、持っているだけで腱鞘炎になりそうな本だし、それだけの分量だから読むのはそこそこ大変なんだけど、読み終えたら、確実に読んでよかったって思える。こんな大部の作品を平然と連発できる京極夏彦という作家は、とてつもない人だと思いますね。ほんと、恐るべし。そして、この次の作品『塗仏の宴』は、たぶんシリーズ最長なんですよね。読む前からちょっとうんざりしそうですが、読んだら面白いんだろうなぁ。ま、それはまたいずれ。
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Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

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comments(0)|trackback(0)|読書|2010-03-24_01:24|page top

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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