闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『そして夜は甦る』原りょう

 本格ハードボイルド作家、原りょう(表記は「寮」のウ冠がない字)氏のデビュー作。渡辺探偵事務所の沢崎が失踪したルポライターの足跡を追ううち、政界・財界・芸能界を巻き込む大事件に巻き込まれていく。
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))
原 りょう

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 ある朝、私の事務所に現れた男。自分の名前も告げず、どういうわけか右手をコートのポケットに入れたまま一度も外に出さなかったその男は、ルポライターの佐伯という人物の行方を知りたいと言い、二十万円の入った封筒を預けて立ち去った。同じ日、大手電鉄グループ〈東神グループ〉の実質上の経営者、更科修蔵の顧問弁護士からの電話で「佐伯直樹という男を知っているか」と訊ねられる。翌日、更科邸に赴いた私は、更科氏の娘・奈緒子から「夫の佐伯直樹を探し出してほしい」と依頼され――。
 
 以前、直木賞受賞作の『私が殺した少女』を読みましたが、沢崎シリーズの第一作がこちら。『私が殺した少女』は生粋のハードボイルドという感じの格調高さとサスペンスの緊張感を併せ持った傑作でしたが、デビュー作となる本作はどんなものでしょうか。

 いやー、中身が濃い。そこがセールスポイントでもあり、難点でもあります。とにかく話が入り組んでいるので、何度もページをめくって読み返してしまいました。また、非常に入り組んだ事件の顛末を沢崎が関係者たちの前で解き明かすのですが、証拠のない推論とあいまいな状況証拠だけで圧倒的不利を覆そうという感じの答弁で、普段、いわゆる本格ミステリの精緻な謎解きばかり読んでいる身としては、謎解きという点ではいささか強引な印象を受けました。結末は劇的ですが、これも少し話を大きくしすぎかな、と思ったり。ちなみに『そして夜は甦る』というタイトルですが、夜のシーンが特に印象的ということはないように思います。事件の鍵を握る存在として記憶喪失の男が出てくるので、「失われた記憶が甦る」という部分では、内容に合ったタイトルといえるでしょうか。
 探偵沢崎のキャラクターも、ちょっと作りすぎかな、という気がします。格好いいんですが、ところどころ、格好つけるためだけに格好つけてるんじゃないか、と思わせる台詞を言ったり、態度をとる場面が見られます。そういう意味ではやはりデビュー作だけあって、まだ粗削りという印象でしょうか。

 とはいえ、調査を進めるほどに想像を超えるスケールの事件が姿を現してくる過程や、クールに引き締まった文体、粋な台詞の数々は、この作者ならではの持ち味でしょう。その持ち味は次作『私が殺した少女』に、さらに磨きがかかった形で引き継がれています。そういう意味では、後の直木賞受賞につながる魅力の萌芽が十分に見て取れる作品であり、読む値打ちは高い作品でしょう。
 とにかく作品の数が少ない原氏ですが、その格調高い作風にファンは多いようです。僕もシリーズの続きを読みたいと思いますが、その話はまたいつか。
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Theme:推理小説・ミステリー
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comments(0)|trackback(0)|読書|2010-08-01_20:14|page top

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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