闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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映画『悪人』

 深津絵里がモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞した話題作。原作のほうもたいそう売れているようで、本屋に行けば必ず目立つところに平積みされています。
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 長崎のはずれの漁村で、祖父母とともに暮らす解体作業員の清水祐一。友人も恋人もおらず、仕事と入退院を繰り返す祖父の面倒を見る以外は何もやることがない、孤独な生活を送っている。唯一の趣味は車で、最近は出会い系サイトで知り合った保険外交員・石橋佳乃に会うため、一時間半かけて博多まで車を飛ばす。しかし佳乃は他に好きな男がいて、祐一と会うのはただの暇つぶしだった。ある日、佳乃との待ち合わせ場所にやってきた祐一の目の前で、佳乃は他の男の車に乗り込んで去って行ってしまう。それを見た祐一は、その車の後を追うが……。
 一方、佐賀県の紳士服量販店に勤める馬込光代は、職場と自宅を往復するばかりの生活に倦んでいた。同居している妹には恋人がいるが、自分にはいない。その日、妹が恋人ともに出かけた後、アパートに取り残された光代は、孤独感に耐え切れず携帯を手に取る。そして以前に出会い系サイトを通じてメールのやり取りをしていた清水祐一に「会いたい」というメールを送った……。

 原作『悪人』朝日新聞出版公式サイト
 映画『悪人』公式サイト
 
 『悪人』。インパクトのあるタイトルですね。プロデューサーの証言によると、意外にも過去に同じタイトルの映画は存在しないそうです。ありそうですけどね。でも、あまりにストレートで、それでいて際どい言葉ですから、逆に誰もつけなかったのかもしれません。
 そんな際どい言葉を堂々とタイトルに冠した映画『悪人』。原作本の帯か何かに「悪人とはいったい誰なのか?」という思わせぶりな問いが書かれていましたが、この映画から伺えるその問いに対する答えは、「みんな」というところでしょう。みんな悪人で、みんな善人なんだ、という。この映画の主要な登場人物で、善か悪、どちらか一面だけに描かれている人はいません。殺人犯も、その家族も、彼を愛した女も、被害者も、被害者の遺族も、被害者が好きだった男も、みんな誰かを傷つけ、時に人を人とも思わぬような行動を取り、それでいて誰かから愛され、大切にされているし、また誰かを愛し、大切にしてもいる。みんなその人なりの考えの中で懸命に生きているし、それでも言いしれぬ孤独や不安を抱えている。みんなそんな人たちで、そんな人たちが少し運の悪い関わり方をしたために、悲劇が起こってしまう。たぶんこれは、そんな話なんだと思います。

 「悪人とは誰なのか」という倫理学的な問題は、じつはそんなに重要なことではないのだと思います。むしろ中盤以降の、祐一と光代の愛の逃避行のほうがこの作品の見所で、ほとんど地の果てのような場所に立つ灯台の美しい光景と、そこで二人が織り成すささやかな、けれども一瞬がそのまま永遠になるような、純粋な愛に満ちた、いやむしろ愛しかない暮らしの描写が、胸を締め付けます。
 ただクライマックスで、光代と引き離されそうになった祐一が取った行動が、僕には理解不能。いったいどう解釈すべきなのか。映画を観たほかの人は、どのように解釈しているのでしょうか(どうやら、光代の今後のことを考え、また彼女が犯人隠匿とか逃亡幇助の罪に問われないようにするため、という解釈が多いようですね。でも、それだったらフリでいいじゃん。あんな必死になる意味がわからん)。

 祐一の祖母がインチキ商法の男に金を巻き上げられるというくだりは別に要らないんじゃないか、祐一と光代の話に関係ないし、物語の焦点がぼやけてしまうんじゃないか。そう映画を観ていて思ったのですが、驚いたことに、脚本作りの段階でそういう議論が出ていたそうです。プロデューサーの一人がそう主張し、原作者・監督・もう一人のプロデューサーが猛反対した、という裏話が、公式サイトの〈『悪人』座談会〉に載ってます。原作者自らが脚本を手がけているこの映画、その原作者が残したいと主張したこのくだりには、きっと原作者なりの思いやメッセージが込められているのでしょう。でも、映画的にはやっぱり要らなかった気がするな。

 非常にシリアスで、暗い映画です。普段ドンパチやってる映画ばかり観ている僕としてもいい映画だというのは伝わったし、感動もしたのですが、でもこんなシリアスな映画は年に二本も観れば充分だな、と思ってしまいました。やっぱり僕は、ドンパチやってる映画が好きです。明るく楽しい映画がいちばん。
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悪人
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■『悪人』■ ※ネタバレ有
2010年:日本映画、李相日監督&脚本、吉田修一原作&脚本、久石譲音楽、妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、 柄本明出演。
『悪人』・・・真の悪人は誰なのか
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悪人
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『悪人』
  □作品オフィシャルサイト 「悪人」□監督 李 相日□脚本 李 相日、吉田修一□原作 吉田修一□キャスト 妻夫木 聡、深津絵里、樹木希林、柄本 明、岡田将生、宮崎美子■鑑賞日 9月12日(日)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★(5★満点、☆は0...
映画:「悪人」♪。
平成22年9月16日(木)。 映画:「悪人」レポ。 【監督・脚本】李相日  【原作・脚本】吉田修一 【 美術監督 】種田陽平 【音   楽】久石譲 【 キャスト 】妻夫木聡・深津絵里・岡田将生・満島ひかり・樹木希林・柄本明 【ストーリー】 出会い系サイトで知り…
真実が潜む場所。『悪人』
モントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞した作品。九州で起きた殺人事件の被害者と加害者を取り巻く人たちの物語です。
悪人
公式サイト。吉田修一原作、李相日監督、妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、柄本明、樹木希林、余貴美子、宮崎美子、塩見三省。 光代役の深津絵里が自転車に乗っていると、どうしても「博士の愛した数式」で自転車でせっせと博士宅に通う「無学で一人ぼっち」な
淋しい人間が多過ぎる~『悪人』
 長崎の寂れた漁村に祖父母と暮らす祐一(妻夫木聡)は、解体作業員として働く 孤独な青年。彼は出会い系サイトで知り合った保険外交員の...
悪人
なぜ、殺したのか。 なぜ、愛したのか。 ひとつの殺人事件。引き裂かれた家族。誰が本当の“悪人”なのか? 製作年度 2010年 映倫 PG12 原作 吉田修一 脚本 吉田修一/李相...
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善くもあり悪くもある。それが人間。  
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悪人
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悪人/妻夫木聡、深津絵里、岡田将生
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悪人
 この映画に出演した深津絵里がモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を獲得したということもあって、『悪人』を渋谷のシネクイントで見てきました。 (1)この映画は、出会い系サイトで知り合った佳乃(満島ひかり)を殺してしまった清水祐一(妻夫木聡)が、これも同
映画「悪人」誰かと出合いたかった、それだけなのに
「悪人」★★★★☆オススメ 妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、柄本明、樹木希林出演 李相日監督、139分 、2010年9月11日公開、2010,日本,東宝 (原題:悪人」)                     →  ★映画のブログ★            
『悪人』 (2010)
行きずりの二人の逃避行がメインの映画なんだけど、何故か主人公の祖母や被害者の父親の姿が、脳裏に焼きついている。きっと映画の意図は、そこら辺にあるんだろうと思う。
悪人
さて、深津さんが賞をもらったことで注目された作品です。私自身みてみたいな~と思っていたんですがやっとみることが出来ました。監督はフラガールの李相日さんですね。あらすじ若...
悪人 (2010) 139分
 一番「悪人」は誰だ?
『悪人』
まるで夜明けの来ない夜を過ごしているような、一生どこにも行けないような閉塞感。監督の演出で映画はこうも変わるのかと思い知らされる秀作でした。 恐らく第34回モントリオール国際映画祭で深津絵里さんが主演女優賞を受賞したのも、彼女の演技力以上に、この映画に漂...
■映画『悪人』
妻夫木聡と深津絵里が大胆にイメージチェンジし、リアルな逃避行を演じた映画『悪人』。 劇中でふたりが見せるセックスシーンは本当に生々しく、「このふたりがこんなシーンを…」と、驚くはず。 妻夫木聡は自らこの役を演じたいと名乗りを上げただけあって、暗い目...
『悪人』'10・日
あらすじ若い女性保険外交員の殺人事件。ある金持ちの大学生に疑いがかけられるが捜査を進めるうちに土木作業員、清水祐一が真犯人として浮上してくるが・・・。感想芥川賞作家の吉...
悪人
『フラガール 』の李相日氏の監督作品。 この作品が優等生的過ぎて、 あまり好きではなかったので、 観る予定はなかったのですが、 主演の深津絵里さんが モントリオール世界映画祭で主演女優賞を取ったというので 観てみることにしました。 行こうと思った日は
『悪人』 ('10初鑑賞121・劇場)
☆☆★-- (10段階評価で 5) 9月11日(土) 109シネマズHAT神戸 シアター8にて 14:00の回を鑑賞。
映画「悪人」
映画「悪人」(映画.com) 「悪人」オフィシャルサイト ...
「悪人」 大切な人は?
監督 李相日少しあらすじ若い女性保険外交員が殺され、その直前まで彼女を車に乗せていた金持ちの大学生(岡田将生)に疑いがかけられる。しかし捜査が進むうちに土木作業員、清水...

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ヒロインの深津絵里さん
の登場が若干遅かったね。模倣犯やハサミ男なんかもそうらしいですけど、これも原作と映画は結構違ったりするんですかね?
原作は上下巻ですから
二時間ちょっとの映画に収めるのは大変だったでしょうね。序盤は祐一と佳乃の紹介みたいな部分なので、光代の出番がないのはしゃあないです。
模倣犯は原作読んでないけど、原作ファンからは非難轟々です。ハサミ男は、原作が叙述トリックで隠してた事実をはじめから明かしてる点で大違い。
この『悪人』は原作者自らが脚本に携わってるので、原作のエッセンスは生かされてると思いますが、やはり上下巻の長さのある小説を映画にするには、捨てなきゃならない部分もいっぱいあったと思います。

プロフィール

Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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