闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『眼球綺譚』綾辻行人

 ミスター雰囲気小説(なんじゃそりゃ)・綾辻行人の手になる、ホラー短編集。怖い話、気持ち悪い話、幻想的な話など、色んな形の怪奇譚、七編。
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綾辻 行人

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 叙述トリックを駆使した本格ミステリが綾辻氏の表芸ならば、裏芸と言えるのがホラー。綾辻作品には『殺人鬼Ⅰ・Ⅱ』という阿鼻叫喚のスプラッター長編のシリーズがありますが、あちらが暴力の恐怖と肉体的苦痛をどストレートに描いた作品だったのに対して、本書に収録された七編は、どれも心理的な恐怖をジワリと感じさせる、怪奇性と夢幻性を重視した作品です。
 
 「再生」…私の眼前には今、妻、由伊の身体がある。彼女の身体には、顔がない。頭がない。私がこの手で、それを切り落としてしまったのだ。そして、私は待っているのだった。彼女のその身体から新しい首が生えてくるのを。
 これは『富江』(伊藤潤二氏の漫画、およびそれを原作とした映画)ですね。富江の場合、切ったら切っただけ増えるわけですが。こちらはそんなことはありませんが、体を切っても再生するという特別な体を持った女のお話。怖い、というより生理的な嫌悪感を感じる作品。何年か前の『世にも奇妙な物語』でもこんな作品がありました(「トカゲのしっぽ」だったかな?)。

 「特別料理」…ある日、居酒屋で知り合った紳士から教えられたその店の名前は《YUI》という。普通は食べないような変わった食材――要するにゲテモノ、イカモノの類――を使った料理を出す店だ。その店の常連となった私たち夫婦はある日、店の二階にある個室に通される。常連だけに提供されるスペシャル・メニューがあるというのだ……。
 怖いというより、単純に気持ち悪い作品。『法月綸太郎の冒険』に収録されている「カニバリズム小論」にちょっと似ていますか。もっともあちらはミステリで、こちらはホラー作品。どっちも気持ち悪いですけど。ホラーといっても色々な種類があると思いますが、綾辻さんはホラーならなんでもござれという人なんだなと実感。

 「眼球綺譚」…大学の後輩だった倉橋実から届いた一通の郵便。大判の封筒の中には、「読んでください。夜中に、一人で。」とだけ書かれた便箋と、B5判の紙を綴じて製本した手作りの冊子。どうやら小説のようだ。厚紙の表紙に大書されたタイトルは「眼球綺譚」……。
 作中作だけでも十分に短編小説として成立していますが、さらにそれを読む人の視点を配して、より恐怖感を高めています。作中作にはとある一軒の洋館が出てくるのですが、その雰囲気といい佇まいといい、そしてそこで起こる陰惨な出来事といい、きっとこの洋館は、綾辻作品ではおなじみのあの建築家が設計したに違いありません。うん、絶対そうだ。

 三編ほど紹介してみました。そのほかの作品は、UMAと転生テーマを融合させた「呼子池の怪魚」、現実がどんどん崩れていくサイコ・スプラッター「バースデイ・プレゼント」、ストレートな心霊譚「鉄橋」、鬱気味の作家が拾った奇妙な人形が恐怖を呼ぶ「人形」。いちばん怖いのはやっぱり「眼球綺譚」かな。「呼子池の怪魚」もクライマックスに向けてじわじわと不安が募っていく感じでですが、結末はちょっと肩透かしな気も。「人形」はどうしても『人形館の殺人』を思い出してしまいますね。内容はぜんぜん関係ないけど。

 最近は本業のミステリよりも、ホラー系作品のほうが執筆機会が多いんじゃないのといった感じの綾辻さん。『Another』もホラー風味みたいですしね。『館』の新作とか『安楽椅子探偵』の新作とか、ファンはいろいろ期待してしまいますが、もしかすると“怪奇な綾辻”に期待しているホラー好きの方々も多いのかも。この『眼球綺譚』を読んで、そんなことを思いました。
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Theme:ホラー小説
Genre:本・雑誌

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comments(0)|trackback(0)|読書|2010-09-17_20:18|page top

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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