闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『Killer X キラー・エックス』黒田研二×二階堂黎人

 本格ミステリ界で確固たる地位を築く実力派作家、二階堂黎人と黒田研二。この二人がタッグを組んで仕掛ける、超絶的本格ミステリ!
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 推理作家の僕、本郷大輔のもとに届いた、同窓会への招待状。高校の恩師・立原茂先生――シゲルちゃん――の自宅〈深雪荘〉で、クラスメイトを集めて派手なパーティーを開くという。しかし期待と不安を胸に〈深雪荘〉を訪れた僕を待っていたのは、数々の不可解な出来事だった。大々的な同窓会のはずなのに、集まったクラスメイトはわずか5人。しかも尊敬する先生は、事故によって下半身不随になり、言葉を発することもできなくなっていた。どこかちぐはぐで、不穏な空気。しかも外は吹雪になり、山深い場所にある〈深雪荘〉は孤立しようとしていた。いったい僕らの身に、何が起きようとしているのか……。
 
 二階堂黎人、黒田研二両氏とも、僕は読んだことがありません。二階堂氏は新本格第一世代ですから、もうベテランといっていいでしょうが、知ってることというと、〈世界最長の本格推理小説〉を書いたということと(『人狼城の恐怖』四部作)、『容疑者Xの献身』にいちゃもんをつけたことぐらい。黒田氏についてはほとんど知りません。そんな状態で、二人の合作を読むというのもどうなんだろうという気もしますが、逆になんの先入観も持たずに読めるので、それもいいかと。

 「本郷先生の作品はあくまでも読者に対してフェアで、すべての手がかりや証拠をはっきり提示してくれるから……」
 作中人物にこんな台詞を言わせてるくせに、この『キラー・エックス』という作品に仕掛けられたトリックや謎の数々は、アンフェアというそしりを免れがたいものだと思います。(以下、ややネタバレ気味の感想になります。未読の方は注意!)



 (ここからネタバレ!)
 〈深雪荘〉で繰り広げられるメインストーリーの合間に、北海道内で頻発する〈突き落とし魔〉事件を捜査する刑事たちのサイドストーリーを絡めた構成は秀逸。というか、サイドストーリーのカットインがなかったら、メインの展開がいささか冗長なので、読むのがしんどかったかもしれない。もちろんその冗長さというのは、トリックの構成上そうしなければいけない部分なのですが、それにしても最初の事件らしい事件が起こるのが、本編の三分の二以上進んでからというのでは、いかにも遅いです。また、そこに至るまでの過程でも、登場人物たちのキャラが一定しない感じがあったり、どことなくストーリーに没入できない感じがありました。
 ストーリー上にばら撒かれる数々の謎とその回答についてですが、確かに一つ一つの謎に対する一つ一つの答えの対応関係は納得のいくものですが、ストーリー全体としてすっきりまとまらないというか。最後の方なんてかなりやっつけ気味だし、作中で起こる様々な事件のうちいくつかが、犯罪性のない出来事だと言われてしまっては、ちょっと不満です。それに、メイントリックの叙述の仕方は、完全にアウトでしょ。たしかに伏線はいろいろあるけど……。ある登場人物なんて、このトリックのためだけに出てきたようなものだし、主人公の「子供嫌い」も、それを処理するためだけに設定された性格みたいで。
 (ここまでネタバレ!)



 (ここからネタバレなし、未読の方も読んでOK!)
 終盤の主人公とある人物の推理合戦はかなり読み応えがあり、二人によって様々な謎が解明されていく過程は面白いです。ですが、事件の全容はかなり複雑なので、にわかには理解しにくいかもしれません。複雑な構成といい、アンフェアすれすれのトリックといい、本作は本格ミステリ初心者には薦めにくいですね。「何これ?」といわれて終わりそう。ある程度本格ミステリを読みなれてないと楽しめないと思います。
 とまあ批判的なことをいっぱい書きましたが、基本的には面白かったですよ。さすがに両作者とも実力派だけあって、きちんと一定レベルの水準をクリアしています。二人の作者が、具体的にどのような共同作業を行ったのかが気になるところですね。
 ちなみにこの二人による合作は、このあとさらに『千年岳の殺人』『永遠の館の殺人』と二作出ています。さらに本作の前に二階堂氏が愛川晶氏と合作した『白銀荘の殺人鬼』という作品も、本作と世界観や登場人物の一部が共通しているそうで、都合この『キラー・エックス』シリーズは四部作となっているようです。こりゃあ四作全部読まねぇと。そんな気にさせてくれる『Killer X キラー・エックス』でした。
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Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

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comments(2)|trackback(3)|読書|2010-09-30_18:52|page top

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出来る作品になりえないのは、確かに複雑すぎるという点もありますね。読んだ直後に書いた自分の感想を見てみると、あなたとほとんど同じような内容になってます。何はともあれ二作目も是非読んでください。個人的には二作目が一番好きなんで。
意欲作=問題作。
>>峰川幸介三世さま。
まぁ本格推理というのは、文句を言われてナンボのジャンルでもありますから。文句が出るというのは、それだけ意欲的な挑戦をしているということですからね。
二作目がいちばんお好きですか。それは期待しましょう。

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Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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