闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説・写真集『GOTH モリノヨル』乙一×新津保建秀

 映画『GOTH』の公開にあわせて原作者・乙一氏が書き下ろした新作小説と、映画で高梨臨が演じたヒロイン・森野夜を写真家・新津保建秀氏が撮り下ろした写真を併録した異色の本。Amazonでの評判は悪いんだけど、これが案外、僕は好き。
GOTH  モリノヨルGOTH モリノヨル
乙一

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 「ありえない確率で殺人者に出会い、100%の確率で愛されてしまう」という特異才能をもつ森野夜。
 7年前に少女の死体が遺棄された現場に、記念撮影をしに訪れた彼女は、そこで一人の男と出会う。その男こそ、7年前に少女を殺し、その場所に死体を遺棄した犯人だった――。

 乙一オフィシャルウェブサイト『Web otsuichi』
 新津保建秀オフィシャルサイト
 
 小説『GOTH』の番外編であり、映画『GOTH』の関連書籍であり、写真家・新津保建秀氏の作品集であり、アイドル・高梨臨の写真集であり……という複雑な出自を持つ本書。そういう独特な立ち位置みたいなのを踏まえているかどうかで、本書の評価はだいぶ変わってくると思います。

 まず、乙一の小説っていう観点で見ると、まあそこそこ面白い。面白いんだけど、短編一本で\1680は高いよなぁって話になりますよね。それはそれで当然の感想であり、判断ではある。次に写真家の作品集という観点で見た場合ですが、これは僕には判らない。芸術論とか持ち合わせてないですからね。ただ、こういう雰囲気の写真をすき好んで鑑賞する人というのは、まあいることはいるんだろうけど、市場規模としてそれほど大きいとは思えないですね。要するに、一般受けする写真じゃない。さらにアイドルの写真集として見ると、これほど使えない写真集もないわけで。一つ一つの画像が小さいし、ピントも構図もおかしいし、色っぽいカットもないし。そんな風に、それぞれの“面”を単独で捉えたら、どれもいい評価はしづらい本ではある。だからAmazonでの悪評も解るといえば解るんですが。
 だけどね、それぞれの“面”を全部つないで、多面体としてちょっと俯瞰気味に見たら、けっこう面白いんですよ、これが。

 まず最初に面白いのが、本書に収められた短編「森野は記念写真を撮りに行くの巻」の語り手の人物設定。写真家なんですよ。それも、「映画とタイアップしたアイドル写真集のような撮影」を仕事としているような。これは明確に、新津保建秀氏を意識している。というより、むしろ作者の乙一氏は、読者が脳内でこの語り手の男を、実在の写真家・新津保建秀に置き換えることを求めているといっていいでしょう。作品冒頭で展開される語り手の芸術論・表現に対する考察みたいな部分も、新津保氏の写真を少しでも見たことのある人なら「ああいう写真を撮るひとなら、いかにもこういうことを考えていそうだな」と感じる書きぶりです。つまりこの小説は、「写真家・新津保建秀が撮影のために少女を死体にする話」なんです。ね、やばいでしょ?
 後半にまとめて掲載されている写真は、作中のシンツボ(仮名)が目撃し、心のフィルムに焼き付けた森野夜の姿。だから、僕は先に本書を「アイドル・高梨臨の写真集」と書いたけれど、それは間違いです。本書は「〈高梨臨〉の写真集」ではなくて、あくまでも「〈森野夜〉の写真集」なんですね。
 映画『GOTH』の感想でも書きましたが、あの映画は森野のビジュアルを実写化できたという時点で、半分ぐらい成功だと思ってます。それぐらい強い存在感を持っている森野を、映画の世界から少し外に連れ出して、紙の世界でフィーチャーしてみた。映画『トゥルーマン・ショー』のように森野はまったく気付かないまま舞台に上がっていて、読者は森野の日々の営みをストーカーのように覗き見ている。本書の写真を見ていると、そんな構図が浮かびます。

 なんだかかなり長い記事になってしまいましたが、本書の面白さが少しは伝わったでしょうか?原作小説を読んで、映画版も観て、さらに新津保建秀という写真家の仕事もいくつかチェックした上で読んで初めて、面白さが解ってくる、もしかしたらそんなめんどくさい本なのかもしれません。そこまで面倒なことはしたくないよという人には、本書は無理に買う価値はないでしょう。だけど、僕はけっこう好き。元の小説よりも、映画版よりも、これがいちばん好きかもしれない。

 関連:『GOTH 夜の章』『GOTH 僕の章』

 ところで、念のために書いておきますが、本書の中で『GOTH』小説版および映画版のネタを割るような記述は一切ありません。また、新津保建秀氏は思春期から二十歳前後までの女の子の写真を多く発表していて、被写体が光の中に溶け込んでいくような独特の写真を撮る人ですが、けっして写真を撮るために少女を殺したりはしません。たぶん。
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Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

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comments(0)|trackback(0)|読書|2010-12-01_04:26|page top

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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