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闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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ドラマ『相棒 season9』第6回―暴発―

 特命係は、組織犯罪対策5課による、薬物売買の疑いのある二見会の一斉摘発に同行。事務所にいた組員たちを拘束するが、そこで一人の男の射殺死体が見つかる。逮捕された組員たちが殺人について完全黙秘する中、厚生労働省の麻薬取締部、通称「麻取」の五月女課長が内村刑事部長のもとを訪れ、二見会組員の送検を手伝わせてほしいと申し出る。実は麻取は、一年前から二見会の内偵を続けていたというのだ。警視庁の手柄を横取りする形になるが、見返りにこれまでの内偵で得た薬物入手ルートなどの情報を提供することで、警視庁側も了承する。そして「麻取」が取調べに加わった直後、それまで射殺死体について黙秘を続けていた組員たちが、「拳銃が暴発した」と口を揃えて証言。まるで打ち合わせたかのような展開に右京は不審を抱くが……。

 テレビ朝日『相棒 season9』公式サイト
 
 今回は久々に、右京の融通のきかない、頑なな面が表に出ました。ここまで頑固だったのは、season6の最終回以来じゃないかな?「杉下の正義は、ときどき暴走するよ」という小野田官房長の台詞が印象的な、あの回です。あのときの「杉下の正義」は結局、一人の裁判官を辞職に追い込んでいるのですが、今回もそれに近い頑固さがありましたね。

 杉下右京は、いつでも正しい。しかし、その正しさは常に“部分的”である。今回の事件の顛末も、部分的な正義に固執した右京と、より全体的なバランスの中で最善の手を打とうとする五月女の対立。これはどちらが良いというものではないけれど、右京のような態度を取りきるためには、相当な覚悟が必要になる。現実的には、ほとんどの人が五月女の立場を支持するでしょう。実際、伊丹も三浦も、尊でさえも、今回は五月女を支持したのだから。
 終盤、右京は最後まで殺人もしくは殺人教唆での立件に拘っていましたが、あそこまでいくと、仮にそのとおりの罪状で送検できたとしても、公判での立証は不可能に等しく、結果的に捜査機関の努力が無駄になる可能性も大きいと思います。そういう点でも、今回の「杉下の正義」はいささか広い視野に欠けたものだったように感じますね。

 右京の言うとおり、「捜査員を死なせてしまうような捜査手法は、そもそも間違っている」というのは確かに正論でしょう。日本の警察が原則、おとり捜査を禁じているのも、一面にはそうした理由があるのかもしれません。ただ、近年ますますアンダーグラウンド化が進む組織犯罪の捜査にあって、手の内をさらして正面突破を図るような捜査手法だけでは実効性が低いでしょうし、そもそも犯罪者と対峙する局面では、どんなに危険性を排除しようとしても限界はあるでしょう。
 いつだってギリギリの綱渡りというのが、犯罪捜査の最前線の実情なんでしょうね。

 今回は櫻井武晴氏の脚本による作品でした。櫻井氏といえば社会派、特に警察や公的機関の暗部をえぐるような作風に定評があって、過去の作品ではいろいろな形で「悪徳公務員」というべき人物が出てくることが多かった。ですが、今回はそういう「悪徳」な人物が出てこなかったところに、新鮮さがありました。五月女にしても、死んでしまったおとり捜査官にしても、彼らはけっして悪徳なんかではなく、犯罪を憎み、薬物事件の捜査に全身全霊をかけていた。だけど、捜査に入れ込みすぎるあまり命を落としてしまうというのは、やはり努力する過程のどこかで、価値観がすり替わってしまうんだろうなぁ。
 「目的が手段を正当化する」とか「大きな成果のためには、小さな犠牲はやむをえない」なんていうのはしょせん詭弁だけれど、だからといって「結果よりプロセスが大事」だなんていってられない局面もある。絶対的な正義はあると信じたいけれど、杓子定規な正義だけで社会が回っているわけではない。求められるのは、その場その場で最善の妥協点を見つけられるしなやかさなんですよね。

 さて、次回はなんと、相棒シリーズ初、“リアルタイムストーリー”が放送されるようです。題して「9時から10時まで」。脚本はseason9では初登板、徳永富彦氏。個人的に好きな脚本家さんなので、期待しています。
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comments(2)|trackback(9)|相棒|2010-12-02_02:54|page top

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「相棒season9」第6話
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エースの貫禄
今回は久々に神回と言ってもいいくらいクオリティの高い回だったと思っています。どちらが正しいとも言えない微妙な事情、そこに絶対の意思を持つ杉下右京が切り込んでいく様子と、彼の行動を正しいとは思いながらも、人情によって妥協せざる負えないと判断する尊、伊丹、三浦達。彼らの微妙な人間関係と考え方の相違が絶妙にマッチした、これぞ相棒の醍醐味という作品でした。
神回、ですか。
>>峰川幸介三世さま。
毎度どうも。
たしかにクオリティは文句なしに高い回でしたが、個人的には、いささか味が濃すぎる印象も。
僕は「ますは“面白さ”ありき」というタイプなんで、シリアス一辺倒のお話というのは、じつは苦手です。

櫻井氏=重厚な社会派、みたいなイメージが出来上がっちゃってるので、書くほうも大変でしょうね。それでもほぼはずれなしで書き続けているのには、感心するばかりです。

プロフィール

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Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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