闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

カレンダー

03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

月別アーカイブ

検索フォーム

広告!

ブロとも申請フォーム

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
HP Directplus オンラインストア
comments(-)|trackback(-)|スポンサー広告|--------_--:--|page top

小説『警察庁から来た男』佐々木譲

 映画化もされた『笑う警官』に続く、佐々木譲氏の道警シリーズ第二弾。前作で道警幹部たちの暗い陰謀に立ち向かった正義の警官たちが、再び道警に巣食う不正を暴く!
警察庁から来た男 (ハルキ文庫)警察庁から来た男 (ハルキ文庫)
佐々木 譲

角川春樹事務所 2008-05-15
売り上げランキング : 51279

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ある日、警察庁長官じきじきの命による特別監察のため、北海道警察本部に警察庁の藤川春也監察官とその部下の種田良雄主査がやってくる。前年に札幌で起きた二つの事件が、日本の警察と暴力団の癒着を象徴する事例として海外ニュースに取り上げられたことを特に問題視しているという。藤川監察官は道警の実情を知るため、かつて道警の裏金問題をうたった(証言した)津久井卓巡査部長に協力を要請する。一方、大通署の佐伯宏一警部補と新宮昌樹巡査は、ホテルで起きた部屋荒らし事件の捜査をしていた。その事件の背後には、ぼったくりバーの客が非常階段から転落死した事故が関わっていた。事件性が疑われる状況でありながら事故として処理されたのには、地元暴力団と道警の癒着が関係しているのか?やがて、藤川たちの監察と佐伯たちの捜査が、道警内に潜む一つの同じ闇を暴き出す!
 
 映画版『笑う警官』は、個人的にはめちゃくちゃ面白くて、2009年の邦画No.1に押したいと思ったぐらいなのですが、世評は意外と低くてガッカリした記憶があります。まあ世評なんか気にしてたらこの商売やってらんないんだけど(どの商売だよ?)、先日の『アンストッパブル』にしても、僕はイマイチな感想書いてるのに世間的には絶賛の嵐で、そういうことにも最近はだいぶ慣れましたけど、自分の感覚がどれだけ世間と乖離しているのかと考えると、暗い気持ちになります。

 前作『笑う警官』は、映画のほうの印象が強烈過ぎて、原作小説の方は正直あまり覚えていません。けっこう話が入り組んでいるし、登場人物も多く、視点もわりと頻繁に移動するので展開を理解しづらいこと、また佐々木譲氏の作品を読むのが初めてだったこともあってか、けっこう読むのに時間がかかった印象があります。その印象から、本書『警察庁から来た男』も読む前はけっこう時間が掛かることを覚悟していたのですが、蓋を開けてみると、かなりスピーディーに読み進めることが出来ました。これは、前作を通じてレギュラー登場人物の人となりが解ったこと、またレギュラー登場人物は犯人じゃないののが確実なので変な裏読みをしなくていいこと、視点の切り替えが前作よりもシンプルなことなどが関係しています。
 基本的に〈藤川・種田・津久井(かなり終盤になって、小島百合が加わる〉〉のチームと、〈佐伯・新宮〉チーム、それぞれの動きを一章ずつ交互にレポートする形で話は進んでいきます。一章あたりがかなり短く、場合によっては1ページちょっとしかないところもあるので、非常にテンポがいいです。この二つのチームが別々に動きながら、次第に共通の真相をあぶり出していく。その過程が最初は読者にだけ見えているのですが、ある場面で、作中人物たちもそのことに気づく。この瞬間が物語的なカタルシスがあって、読んでいてけっこう気持ちいいところです。そこからは一つの目的、一つの場所に向かって、両チームが一気呵成に走り出す。疾走感ある展開で読者をぐいぐい引っ張っていき、勢いよく読ませてくれます。

 前作で権力に与しない強い正義感を発揮した佐伯たちは、本作でもカッコいいです。特に本作では、若手の新宮に刑事としての大きな試練が待ち受けます。その試練を乗り越えて成長する新宮と、それを見守るカッコいい先輩・佐伯の、厚い信頼で結ばれた名コンビぶりは、この二人だけの作品を読んでみたいと思わせるぐらい魅力的。

 作中の捜査を通じてあぶり出される不正の正体というのは、かなり興味深いものがあります。しがない地方公務員を父親に持つ身としては、こういう話も他人事ではないのかも、と思ったり。本作ではキャリアに対してノンキャリアの警察官の不遇ぶりが描かれていますが、それでも今のご時勢、民間の方から見れば公務員は恵まれてるってイメージなんでしょうねぇ。

 実話を下敷きにした前作と違い、完全なフィクションである本作は、社会的なメッセージ性はやや薄まったかもしれませんが、娯楽性でいえば前作を凌いでいるといえます。タイトル通り“警察庁から来た男”である新キャラクター藤川も魅力的ですし、終盤はアクションシーンもあって、ぜひとも映像で見たいという気になりました。『笑う警官』と同じキャストで、映画化して欲しいなぁ。ただ、映画『笑う警官』は、本作で描かれた要素の一部(佐伯と津久井の7年前の潜入捜査の裏事情)をすでに組み込んでしまっているので、本作を映画化するとしたらストーリーの一部改変が必要になりますが。でも、そんなに難しい改変じゃないと思うので、ぜひやって欲しいなぁ。
笑う警官 [DVD]笑う警官 [DVD]

TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) 2010-05-21
売り上げランキング : 22257

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

笑う警官 (マンサンQコミックス)笑う警官 (マンサンQコミックス)
佐々木 譲 シュガー 佐藤

実業之日本社 2009-10-28
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

刑事マルティン・ベック プレミアム・エディション [DVD]刑事マルティン・ベック プレミアム・エディション [DVD]

紀伊國屋書店 2007-08-25
売り上げランキング : 90834

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

スポンサーサイト

Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

HP Directplus オンラインストア
comments(0)|trackback(2)|読書|2011-01-16_03:15|page top

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

「警察庁から来た男」佐々木譲
北海道警察本部に警察庁から特別監察が入った。やってきた監察官は警察庁のキャリアである藤川警視正。藤川は、半年前、道警の裏金問題の為に百条委員会でうたった(証言した)津久井刑事を彼のもとに呼び出し、...
佐々木譲 『警察庁から来た男』
警察庁から来た男 (ハルキ文庫)佐々木 譲 角川春樹事務所 2008-05-15売り上げランキング : 27486Amazonで詳しく見る by G-Tools ----あらすじ---- 北海道警察に、警察庁からの特別監察が入った。監察官である藤川警視正が協力を仰いだのは、半年前、裏金問題を百条委員会で証言した津久井刑事だった。藤川が特別監察に入った理由、タイ人少女拉致事件...

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

tamacat

Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

参加ランキング

クリック感謝!

NetShop

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。