闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『時計館の殺人』綾辻行人

 綾辻行人、『館シリーズ』第5弾。1992年、綾辻行人に史上最年少での日本推理作家協会賞受賞の栄誉をもたらした、《新本格》の到達点。
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 僕はこのblogの以前の記事で、《前作『人形館の殺人』は綾辻さんにとって、越えなければならないハードル的なテーマだった》というようなことを書きましたが、そのハードルを越えたことで何か吹っ切れたのか、この『時計館』は原点回帰、デビュー作の『十角館の殺人』に近い雰囲気になっています。なんたって、『十角館』のメインキャストの一人、江南孝明(カワミナミタカアキ)が4作ぶりに再登場!
 
 
 『館シリーズ』といえば、さまざまなタイプの叙述トリックを駆使するシリーズで、基本的に“映像化不可能”な作品群。しかし、この『時計館』だけは、映像化出来そうな作品です。“映像化可能な叙述トリック”というとちょっと変ですが、作中の「世界そのもの」にちょっとした仕掛けがありまして。それを巧妙に隠しながら、しかし手がかりとなる伏線はちゃんと描きこんでいく。驚天動地の大トリックを支える精緻な文章、大胆かつフェアな物語構成。その構築力はさすがです。

 「世界」と言えば、『人形館』の文庫解説で、太田忠司氏はこんなことを書いています。

 《綾辻行人は「世界」を構築する作家です。そして「世界」を破壊する作家でもあります。》

 この『時計館』でも、綾辻氏は序盤から丁寧な文章を織り重ねて、「世界」を構築していきます。そして物語の最後、探偵鹿谷が惨劇の真相を明らかにするとき、その「世界」は文字通り音をたてて崩壊します。物語のために築き上げられた「世界」は、物語の終わりとともにその役目を終え、崩れ去るのです。
 この「世界」が破壊される鮮やかなイメージは、強烈なインパクトをもって読者の脳内を支配します。しかしエピローグ、つまり「世界崩壊の後日談」では、想像を絶する辛い経験をした後でも、未来に向かって踏み出そうとする強い意志が、控えめながらも描かれています。さながら瓦礫の上に芽を出した小さな雑草のように。「世界の崩壊」をまざまざと見せ付けられて、なんともいえない虚無感や寂寥感を抱えていた読者は、ここで微かな「希望」を目にすることが出来るのです。

 『時計館の殺人』は、間違いなく、前期『館シリーズ』の集大成です。しかし、集大成したのにも関わらず、シリーズは終わることなく続いています。新作を書くたびに「世界」を作っては壊している綾辻さんにとって、創作という作業は、いわば自分の中の引き出しをひとつずつつぶしていくような、非常に辛い作業なのだと思います。それでも彼が、『館』を書くことをやめないのは、この『時計館』の主人公のように、たとえ何かを失っても、未来に踏み出すことで希望が得られると信じているからではないか。
 僕は勝手に、そんな風に思っています。
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comments(2)|trackback(2)|読書|2007-11-14_01:51|page top

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【本】時計館の殺人
        『時計館の殺人』        綾辻 行人        講談社文庫【comment】う~~~ん、、、面白くって一気読みしたのよ。600頁強の本だけど一気に読んだの。だけど評価は微妙なところで、、、(3.5点)くらいかなぁ~面白いんだけど、途中から
綾辻行人 『時計館の殺人 新装改訂版』 感想
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こんにちは~♪

>物語のために築き上げられた「世界」は、物語の終わりとともにその役目を終え、崩れ去るのです
『時計館』はまさにそういう感じでしたね!かなり読み応えがありました。
それにこの物語に関しては映像化が似合いそうだとも思います。

私はどうしても探偵・島田のスタンスにイラついちゃいましたが、それでも館シリーズは面白いなぁ~と思っています。
暗闇館~も面白いそうですね!長編なので時間のある時にトライしてみます!
コメント&TB感謝♪
>>由香さま。
映像化したの、観てみたいですねー。
クライマックスの時計塔崩壊なんて、さぞ壮観でしょう。

暗黒館のほうはちょっと、賛否両論…な感じですが(汗)。
ただ、館シリーズの読者としては絶対に避けては通れない作品です。
ある意味、シリーズ全体の種明かしですからね。
かなり長いですが、ぜひ読んでみてください。あと、火村シリーズもぜひ。お薦めですよ。

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Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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