闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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ドラマスペシャル『遺恨あり 明治十三年 最後の仇討』

 明治十三年十二月十七日。旧秋月藩士・臼井六郎が、同じく旧秋月藩士である東京上等裁判所上席判事・一瀬直久を討つ。日本で公的に記録されている“最後の仇討”となった実在の事件を題材としたドラマ。
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 江戸城無血開城から間もない、慶応4年5月。秋には明治と元号が改められるその年、九州の小藩、秋月藩でその事件は起きた。開国論者だった秋月藩の執政・臼井亘理とその妻・清が、攘夷派藩士の集団“干城隊”によって惨殺されたのだ。物音に目を覚ました亘理の長男・六郎が目にしたのは、変わり果てた両親の亡骸と、その脇で震える幼い妹・つゆの姿だった。
 成長した六郎は、事件当夜、下手人の姿を目撃していた臼井家の下女・なかと協力し、両親を手にかけた者の正体を突き止めていた。父を殺した一瀬直久を追い上京した六郎は、山岡鉄舟の剣術道場に入門。住み込みで書生として働きながら、一心不乱に剣の稽古に打ち込む。一方なかは、一瀬の動向を掴むため福岡県庁で働き、情報を逐次、手紙で六郎に伝えていた……。

 テレビ朝日『遺恨あり 明治十三年 最後の仇討』公式サイト
 
 いやぁ、面白かった。江戸から明治へ、封建社会から近代国家へという時代の転換点で起きた、実際の事件。山岡鉄舟の娘・松子が言う「時代は変わっても、人の心は簡単には変われません」という一言が、珍しくズンと心に響きました。
 “珍しく”と書いたのは、普段の僕は、あまりそういう言説が好きじゃないから。なぜかと言うと、結局そういう言い方って、懐古趣味で前に進もうとしない人の言い訳になるから。「昔はよかったね」「それに比べて今は……」云々。作中の山岡鉄舟と六郎の裁判を担当する中江判事の会話にもありましたが、何でも世の中のせいにするのは愚かです。確かに世の中には承服できない理不尽がたくさんあるけど、全部を時代や社会のせいにして、自分で状況を打開しようとしないのは、思考停止であり、生きることの放棄といっていいでしょう。
 ――ちょっと話が逸れた。まあとにかく、色んなメッセージ、色んな問題提起が含まれた作品だと思います。仇討は是か否か、近代社会が過去に置き忘れていったものはないか、社会が変わるとき、ないがしろにされる人々をどう救うか、等々。だけど、そういう問題提起に対して、僕は特に意見を持たない。いや、持つべきではないと思っています。こういう、倫理的・哲学的な問いに対して、個人個人が答えを出そうとか、自分なりの意見を持とうとするのは、あまり意味がないと思うんですね。考え込んだところで明確な答えなんて出るわけがないし、ましてや浅はかな素人考えで意見を述べたところで、世の中全体での合意形成なんて出来るはずもない。そもそもそんなことをするために、テレビドラマや、映画や小説が作られているわけでもないと思うんです。
 こういうヘヴィな問題提起は、ひとまず受け止めるだけ受け止めて、心のどこかにそっと置いておけばいい。そして実際に何かの問題に直面したとき「そういえばこんなドラマあったな」と思い出せればいいと思うんですね。そこで考えることや下す決断に、わずかなりとも影響を与えていれば、このドラマを見た価値は充分あるはずです。

 ――またまた話が逸れました。少しは本編の内容にも触れないと。
 「武士にだけ許される美徳などない」と言いながら、「士族であるにつき」という一言を判決文に入れ、実質的に刑を減じる判決を下してしまった中江判事の揺れ。世論の声や山岡鉄舟の懇願に押されてだとは思いますが、近代法治国家の司法を与るものとして、ある面では信念を貫ききれなかった。現代の裁判官も、こういう揺れと日々闘いながら判決を下しているのだろうと思うと、改めて大変な仕事なんだなぁと思います。後に恩赦され出獄する六郎を出迎えるシーンで、それまでずっと洋装だった中江が、そのときだけ和装だったところに、なにか特別な思い――たぶん信念を貫き通した武士への敬意――を感じました。
 それから、上記の中江の台詞を受けて六郎がきっぱりと言った「武士の誇りなど関係ない。人として、両親の復讐をしたいと思っただけ。許されようとも思っていない」という台詞。これはすごい台詞だと思います。特に最後の「許されようとも思っていない」という部分。人を殺していい理由はもちろんないのだけれど、もし殺すなら、これぐらいの覚悟をしなければならない、そう思いますね。そしてそれだけの覚悟をしていたのだから、きっと六郎は死罪になっても不満はなかったのでしょう。作中、赤穂浪士の話がチラリと出てきましたが、赤穂浪士も最後には全員自決したんですよね。たとえ仇討が美徳だとしても、いや美徳かどうかなど関係なく、復讐が人として当然の行為だとしても、それもまた罪ならば、命をもって償われるのもまた当然――。
 これを見ながら「殺人罪はどんな理由があろうと、全部死罪でいいんじゃないか」などと、乱暴なことを思ってしまいましたが、そのためには“冤罪をゼロにする”ことが求められますから――難しいか。

 藤原竜也、北大路欣也、小澤征悦らの殺陣がすばらしく格好よくて、娯楽としても楽しめましたし、明治初期の雰囲気を伝える風景や建物、衣装や小道具なども素晴らしく、映像美も見事でした。
 なんか、えらい長く書いちゃったなぁ。こんな長く書くつもりじゃなかったのに。僕もまだまだ修行が足りないねぇ。
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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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