闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『TSUNAMI 津波』高嶋哲夫

 こんな時に、というよりは、こんな時だからこそ『TSUNAMI 津波』という小説を読みました。巨大海溝型地震とそれに伴う巨大津波、そしてそれらによって引き起こされる原発制御不能の危機。まさに今東日本で起きていることを予知していたような、災害パニックシュミレーション小説。
TSUNAMI 津波 (集英社文庫)TSUNAMI 津波 (集英社文庫)
高嶋 哲夫

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 平成大震災から6年。首都圏を襲った大災害から、日本は復興を遂げつつあった。なかでも震災の被災を免れた中部地方の中心、名古屋は好況に沸いていた。しかし中部国際空港、通称セントレアのそばに建設された高層ビル、オーシャン・ビューの落成式が執り行われようとしていたとき、名古屋を大規模な地震が襲う。しかもそれは、その後に続く未曾有の巨大地震の前触れに過ぎなかったのだ。東海、東南海、南海という三つの地震が立て続けに発生し、わずかな時間差で発生した津波は共振しあい、前代未聞の巨大津波となって日本の太平洋沿岸全域を飲み込んだ――!

 高嶋哲夫オフィシャルサイト
 
 じつは本書は〈災害三部作〉と呼ばれるシリーズの二作目に当たります。〈災害三部作〉は『M8 エムエイト』『TSUNAMI 津波』『東京大洪水』(『ジェミニの方舟』改題)の三作からなるシリーズ。本作でたびたび出てくる“平成大震災”というのは、シリーズ第一作『M8 エムエイト』で描かれているもの。本作の主要登場人物たちも“平成大震災”を経験したことによってその後の人生に大きな影響を受けた人たちなので、本当は『M8』を読んでから本書を読むべきでした。ですが僕は今回、そこの順番をちゃんと知らなかったことと、何と言ってもこのたびの震災で津波被害が甚大だったことから、ともかく『TSUNAMI 津波』を読もう、となってしまいました。

 ……いや、「~しまいました」って、べつにそれがいけないことってわけでもないんですが。でも、やっぱり『M8』から読んだ方が、シリーズ全体の流れを理解する上では、良かったんだろうなぁ。

 さて、本作についてですが、もちろんこのたびの震災が起きる前に書かれたものですし、作品が扱っているのは東海、東南海、南海地震の同時発生というものなので、被災地域も東北ではなく、名古屋・東海地域を中心に、関東から九州にいたるまでの太平洋沿岸。そういう条件の違いがあるので、たとえば死傷者の数とか、推定される経済損失の額といったことも違ってくるでしょうが、実際に大規模な震災が起きた今、本作を読んでいると、現実を見事に予言していると思える部分と、ある意味現実が小説を超えてしまった部分があるように思います。
 作者の高嶋氏はもともと日本原子力研究所の研究員だった人で、著書でも原発を扱った作品が多くあるので、原発関連の描写には説得力がありました。それでも、地震と津波で完全に機能停止してしまった現実の福島第一原発と違い、本作の大浜原発が危機に陥るのは、あくまでも人為的ミスが原因。原発施設自体は安全という神話が、ここでも生きています。
 また、震災被害の描かれ方も、基本的には大型地震の長周期振動による建物倒壊が中心で、津波の被害そのものはあまり描かれていません。豊富な科学知識とスケールの大きな想像力で様々なクライシス〈危機〉を描いてきた高嶋氏をもってしても、現実の津波のすさまじさは想像を超えていたのでしょう。

 実際に震災が起こってしまってからでは「所詮フィクション」と感じてしまうところもありますが、作中で提示される登場人物たちの“自然災害との向き合い方”には、かなり考えさせられるところがあります。作中には、阪神・淡路大震災やインド洋沖地震で大切な人を亡くしたり、心に大きな傷を負った人たちが出てきます。そういう人たちが、それぞれの立場で地震と向き合うことになるのですが、ある者は地震予知研究に情熱を注ぎ、あるものは政治家となって防災関連の政策実現に奔走し、またあるものは自衛官となって災害現場での活動に命を燃やします。そしてある市役所の職員は「自然災害は毎年必ずやってくるもの。年間の予定に組み入れ、いかに効率よくやり過ごすか」という考え方を示します。これはなかなか斬新な考え方ですが、示唆に富む指摘だと思います。
 災害時における政治のリーダーシップのあり方も、本作を読んでいると考えさせられます。もちろん、小説と現実を単純に比べることは出来ないですが、本作に登場する政治家の、なんと頼もしいことか。

 高嶋哲夫氏の作品は、以前に『都庁爆破』という作品を読んだことがありましたが、スケールの大きなスペクタクルや緊急事態のシュミレーションを、迫真のリアリティと高いエンターテインメント性をもって描く作家さんだとあらためて思いました。すでに『M8』も読み始めているので、また読み終えたら、感想を書きたいと思います。
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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
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