闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『犯罪ホロスコープⅠ 六人の女王の問題』法月綸太郎

 法月綸太郎シリーズの短編集。黄道十二星座にまつわる六つの殺人事件に、名探偵法月綸太郎が挑む。
犯罪ホロスコープ1 六人の女王の問題 (カッパ・ノベルス)犯罪ホロスコープ1 六人の女王の問題 (カッパ・ノベルス)
法月 綸太郎

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 黄道十二星座、つまり星占いに使われる十二の星座にはそれぞれ、ギリシャ神話に基づくいわれがあるわけです。法月作品では以前から、ギリシャ神話になぞらえたような事件が扱われてきましたが、本書収録作は〈星座シリーズ〉と銘打って、星座とそれにまつわる神話をモチーフにしたミステリを書こうというコンセプトをより明確にしています。また、以前の神話ネタはフロイト流の精神分析なんかも絡めてきて、ちょっと病んでる感じの作品だった印象がありますが、この〈星座シリーズ〉は綸太郎と父・法月警視の軽妙な会話を中心に、軽いタッチの謎解き小説で統一されています。
 
 「ギリシャ羊の秘密」…荒川の河川敷でホームレスが殺された。事件現場に居合わせた知り合いのよろずジャーナリスト、飯田才蔵の話によると、事件現場からは、被害者が着ていたミリタリー・ジャケットが持ち去られていたらしい。犯人はなぜ、ジャケットを持ち去ったのか……?
 牡羊座篇。ミステリとしての方向性は、ダイイング・メッセージの変形もの、といったところ。事件の全体像や犯人のおおよその目星は、中盤で綸太郎がほとんど解き明かしてしまうのですが、飯田が事件現場で耳にした犯人の言葉と、持ち去られたミリタリー・ジャケットが何を意味するのか?が最大の謎。それにしてもこの事件の被害者は、可哀想だし、浮かばれないなぁ。
 事件とは関係ないですが、飯田が発する「河童や金星人」という言葉に対する、綸太郎の解釈には驚かされました。そういう隠語、本当にあるんだろうか?

 「六人の女王の問題」…売れっ子ライターの虻原サトルがマンションから転落死した。虻原は死の直前に、連載していた雑誌のコラムに〈辞世の句〉として奇妙な俳句を二首寄稿しており、さらに「真意を知りたくば、六人の女王にたずねるがいい」というメッセージを残していて……?
 牡牛座篇。これも一種のダイイング・メッセージものですね。こちらの暗号はかなり凝っていて、こんなものよく作れたなと感心します。登場人物の数も多いので、犯人当てとしても楽しめるかもしれません。そしてかなりひねくれた事件の動機は、いかにも法月さんらしい。

 「ゼウスの息子たち」…山中湖畔にある「四つ葉ホテル」でカンヅメすることになった綸太郎。オーナー夫妻がともに双子というこのホテルは、フランス帰りのシェフが作る料理が評判だ。ところがその夕食の最中、警視庁もマークする箕面という恐喝屋が現れて……。
 双子座篇。当然、双子が出てきます。ミステリで双子というのはよくあるお約束みたいなネタ。そしてアニメの『タッチ』と同じ名前、というのもポイントかな。登場人物が限られているので、犯人当てとしてはわりと推理しやすい方でしょう。ただ、グラビアアイドルの名前がレダっていうのは、いくらなんでも凝りすぎでしょ。

 「ヒュドラ第十の首」…蟹座篇。犯人当てアンソロジー『気分は名探偵』に同じ作品が収録されていて、感想もそちらに書いてるので、割愛します。

 「鏡の中のライオン」…女優の仙道美也子が殺害された。捜査員は、美也子の耳のピアスが片方だけなくなっていることに目をつける。最近、美也子と親しくしていたという新人脚本家・滝本の自宅でピアスの片割れを発見した久能警部は、滝本が犯人だと確信するが、後に彼の鉄壁のアリバイが判明して……。
 獅子座篇。綸太郎シリーズではおなじみの久能警部が登場。法月警視の信頼も厚い有能な警部ですが、今回はやや勇み足を踏んで窮地に陥ります。神話の内容をなぞったり、後半には歌舞伎の話まで飛び出す展開や、芸能界の裏ネタみたいなストーリーなど、『ふたたび赤い悪夢』を彷彿とさせます。この作品は本書収録作の中では、いちばん旧来の法月作品っぽいという気がしますね。

 「冥府に囚われた娘」…飯田才蔵から「鉢植えの植物とペットボトル」なる都市伝説を教えられた綸太郎。水中毒で植物状態になった女性からメールが届くという内容だが、これとよく似たことが実際にあったというのだ。さらに飯田の調査によると、その話には続きがあった。植物状態になった女子大生の友人が、熱中症で死んだというのだ……。
 乙女座篇。水の飲みすぎで植物状態になった人と、水が飲めなくて熱中症で死んだ人。コインの裏表のような二つの事件が描かれるお話。都市伝説が発端となるところは、作者自身があとがきで認めているとおり『法月綸太郎の功績』収録の「都市伝説パズル」に似ていますが、話の展開は全然違います。シンプルなパズラーだった「都市伝説パズル」とくらべて、この「冥府に囚われた娘」はだいぶ複雑。事件も複数だし、犯人も複数です。ちょっと詰め込んだ感じはありますが、そんなに解り難くはないです。ラストの病院の場面は、少し『頼子のために』を彷彿とさせますね。でも、もう綸太郎は悩んでいないぞ。

 十二星座のうち前半の六星座にまつわる物語でした。かつては綸太郎が悩んでばかりで、扱う事件も暗く、重々しい雰囲気のものが多かった法月シリーズも、その頃とはだいぶ様相を異にしています。個人的には綸太郎と法月警視との親子漫才が楽しい今の作風の方が好き。本書でも、親父さんのボケに綸太郎がやんわりと突っ込む関係は維持されていて、楽しめました。星座シリーズの後半六篇も書き継いでいくつもりのようなので、期待したいですね。
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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
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