闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

カレンダー

03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

月別アーカイブ

検索フォーム

広告!

ブロとも申請フォーム

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
HP Directplus オンラインストア
comments(-)|trackback(-)|スポンサー広告|--------_--:--|page top

小説『霧越邸殺人事件』綾辻行人

 新本格の旗手・綾辻行人による長編本格ミステリ。「館」シリーズに属さない作品としては、たぶん氏の代表作と目されている作品だと思います。
霧越邸殺人事件 (新潮文庫)霧越邸殺人事件 (新潮文庫)
綾辻 行人

新潮社 1995-01
売り上げランキング : 10304

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 公演終わりの打ち上げ旅行で信州の開発途中のリゾートを訪れた、劇団「暗色天幕」の面々。しかし二泊三日の日程を終え帰路につく途中、送迎バスのトラブルに見舞われ、ふもとの町まで歩くことに。ところが途中で道を間違えてしまい、たどり着いたのは人里離れた湖のほとりに立つ巨大な屋敷「霧越邸」。当主と数名の使用人だけがひっそりと暮らす屋敷で、「暗色天幕」のメンバーを次々と襲う惨劇!一体、犯人は誰なのか?屋敷に潜む、姿の見えないもう一人の住人の正体は?
 
 読んでからだいぶ時間が経ってしまったので、少し記憶が薄れていますが、頑張って書こう。

 「館」シリーズに属さない作品ですが、ミステリとしての体裁は「館もの」。怪しげな雰囲気といい、厭世的な登場人物たちといい、綾辻らしさバリバリのいわゆる「雰囲気小説」で、そういう意味では綾辻ファンなら抵抗感なく読めるでしょう。逆に綾辻流雰囲気小説を読みなれていない人からすると、「これは本格ミステリとしてどうなの?」というところがあるかもしれません。超自然的な現象をどのように解釈するかなど、謎を解く上でも物語を理解する上でも、一筋縄ではいかない要素がたくさんあります。それでも、同じように超自然的な要素を取り入れた『暗黒館の殺人』と比べたら、そういった要素に対する向き合い方も明晰だし、処理の仕方も無理がなく、はるかに受け容れやすい話ではあると思いますが。
 作中で登場人物が語る、猿の芋洗いやグリセリンの結晶化にまつわる逸話などは、どこまで実話なのかわかりませんが、大変興味深いですね。こういう話を聞くと、現在我々が信じている論理や知識は、世界のほんの表層しか説明しえていないのだと感じます。

 謎解きの部分では、綾辻作品にしては少し珍しく、論理的な謎解きに終始している印象です。「館」シリーズ的な叙述トリックもないですし、密室トリックなどの派手な物理トリックもなし。謎解きのメインはホワイダニット、そして「見立て」。なぜ犯人はこの場所で殺人を決行したのかということと、北原白秋の詩になぞらえられる犯行現場の謎です。「見立て」というのは『金田一少年の事件簿』でよく見るような感じで、新本格のミステリでここまできっちり「見立て」に拘った作品というのはあまり記憶にないので、新鮮に感じました。

 事件の発端があまりにも偶然に頼りすぎていることや、結局「霧越邸」とそこに住む住人たちが、なぜそこでそのように暮らしているのかがよく解らなかったりなど、不満なところもありますが、全篇に漂う不可思議で幻想的なムードにはけっこう引き込まれましたし、久しぶりに読んだ綾辻作品で、らしさバリバリの小説を読めたことも嬉しく、なかなか楽しめました。文庫本で700ページ弱とやや長めですが、それが苦になることもなかったですね。
 小説は続編を匂わせるような感じで終わっていますが、作者自身は続編の可能性について「謎」としています。本人は何かのインタビューで「『殺人鬼Ⅲ』ならすぐにでも書ける」と仰っていましたが、その前に「館」の新作とか、「安楽椅子探偵」の新作とか、ファンが待ってるものは色々あるんです。そういえば映画『Another』の撮影が先ごろクランクアップしたとか。公開は2012年夏だそうです。小説『Another』は読んでないけど、観てから読むか、読んでから観るか。それが問題だ。
 〈参考:映画『Another』公式サイト
AnotherAnother
綾辻 行人

角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-10-30
売り上げランキング : 12905

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

殺人鬼 (新潮文庫)殺人鬼 (新潮文庫)
綾辻 行人

新潮社 1996-01
売り上げランキング : 108291

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

生命潮流―来たるべきものの予感生命潮流―来たるべきものの予感
木幡 和枝 Lyall Watson ライアル・ワトソン

工作舎 1981-01
売り上げランキング : 49358

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

スポンサーサイト

Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

HP Directplus オンラインストア
comments(0)|trackback(1)|読書|2011-06-14_00:30|page top

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

『霧越邸殺人事件』
綾辻行人 『霧越邸殺人事件』(新潮文庫)、読了。 結構、本読みさんの間で評判の良い作品だと思っていたので、 少々拍子抜けしてしまいました。 まず、最初の殺人が起きるまで

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

tamacat

Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

参加ランキング

クリック感謝!

NetShop

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。