闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『闇匣』黒田研二

 クロケン流ソリッドシチュエーション・スリラー。真っ暗な部屋に閉じ込められ、妹の事故死の真相を推理するよう迫られた男が体験する恐怖とは。
闇匣 (講談社ノベルス)闇匣 (講談社ノベルス)
黒田 研二

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 恋人・杏奈と結婚の約束をした俺は、杏奈の父親に挨拶するために、彼女の故郷を訪れた。ところが宿泊先のホテルで何者かに襲われ、気を失ってしまう。目を覚ますと、そこは真っ暗な部屋。体は椅子に縛り付けられ、身動きが取れない。いったい何がどうなっているのか。当惑する俺の耳に聞こえてきたのは、幼馴染・龍一の声だった。内向的で鈍臭く、ずっと軽蔑していた龍一。俺は今その男に捕らえられ、監禁されて、殺すと脅されているのだった。そして龍一が俺に与えたチャンス。一年前、俺の妹・薫を殺した犯人を教えれば、許してやってもいいというのだが……?

 黒田研二オフィシャルサイト「KUROKEN!」
 
 黒田氏の作品を読むのは『ペルソナ探偵』『霧の迷宮から君を救い出すために』に続いて3作目。二階堂黎人氏との共著である「キラー・エックス」シリーズも、二階堂カラー<黒田カラーのようですから、そちらも含めると5作目になります。黒田作品は凝ったシチュエーションとその中でこそ成立しうる独特のトリック、そして人格的にかなり難のある登場人物、といった辺りが特徴だと思います。そういう意味で、本作『闇匣』は、良くも悪くも黒田テイストだなーと感じました。真っ暗闇というシチュエーションと、それを生かした殺人トリックは素晴らしいと思いますが、一方で主人公の勉はいくらなんでも性格が悪すぎるし、相対する龍一はあまりにも幼稚。勉の婚約者・杏奈も相当に厭な女だし、そういう登場人物ばかり出てくる小説を読まされるというのも、なかなかしんどいものです。ただ本作は非常に短い作品であるため、その“しんどい登場人物”にあまり長く付き合わされずにすむのが救いですが。
 この黒田作品における登場人物の性格上の難について、好意的に解釈するなら「トリックの効果や作品のテーマをより際立たせるため、あえて登場人物を突き放して描いている」と見ることも出来ます。ただ、そうではなくて単純に黒田氏の小説家としての技量が未熟で、いわゆる「人間が描けていない」だけのようにも受け取れます。正直どちらが正しいのか、今のところ僕には判断がつきませんが、仮に前者だとしても、綾辻行人氏などはもう少し立体的に、膨らみを持った人物描写をしているように思います(綾辻氏もトリックのためにあえて「人間を描かない」タイプだと言われています)。てことはやっぱり、人間が描けていないんじゃないの?
 ただ、本作に関して言えば、登場人物の人間性、特に主人公の性格の悪さは、ラストで明かされる作品のテーマと結びついてそれなりの意味を持ってきます。まあ、有り体に言えば「そんな性格だから、こんなひどい目に合うんだよ」ということなのですが。

 真っ暗闇で展開される小説ということで、音が重要な意味を持ってきます。作中に登場する「音で怖がらせるお化け屋敷」というのには、僕も一度何処かのテーマパークで入ったことがありますが、なかなか不気味なものです。作中で主人公も述べていますが、目からの情報が限られる暗闇の中で、耳元で気持ち悪い音がしたり、陰鬱な声で囁かれたりすると、ゾクゾクしちゃうものです。もっとも、素敵な女性に甘い声で囁かれれば、違う意味でゾクゾクしますが。

 さて、どうしても黒田作品に対しては批判的な書き方が多くなってしまうのですが、本作はソリッドシチュエーション小説でもあって、なおかつ短い作品なので、スピーディーな展開とその中でギュッと凝縮された緊張感は、なかなか楽しめました。正直『霧の迷宮…』を読んだ後は、「もう黒田作品はいいかな」という感じだったのですが、本作を読んで、僕の中の黒田氏への評価もだいぶ持ち直しました。といって、次の作品を読むのがいつになるかは、わかりませんけどね。ま、機会があったらね。
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Theme:推理小説・ミステリー
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comments(2)|trackback(1)|読書|2011-07-06_02:42|page top

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黒田研二 『闇箱』 感想
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世にも奇妙~っぽい作品
確かにこの作品の登場人物は全て淡白と言うか単純ですね。個人的には折原さんの作品が『キャラクターが淡白』な最高峰(高ではないか)だと思っているので、それと比べるとまだ人間らしいと思っています。
読みやすい短さも相まって、ミステリと言うよりパズルを解く過程を見せられたような、そんな作品ですね。
毎度どうも。
>>峰川幸介三世さま。
淡白というか、子どもっぽいよね。この作品に限らず黒田作品の登場人物は、人として好感が持てない奴が多い気がします。
折原作品はほとんど読んでないから、よく分からないです。
短い作品ですし、確かに25分もあればドラマ化できそうですね。

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tamacat

Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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