闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『警視庁特捜班ドットジェイピー』我孫子武丸

 『かまいたちの夜』で知られる我孫子武丸氏。綾辻行人氏や法月綸太郎氏に続いてデビューしたときには、新本格期待の新星だったはずなんだけど、最近はすっかりキワモノ作家のイメージが強くなってるように感じるのは、気のせい?
警視庁特捜班ドットジェイピー (光文社文庫)警視庁特捜班ドットジェイピー (光文社文庫)
我孫子 武丸

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 警察のイメージアップを図るため、日本のお偉方たちは、安易にも戦隊ヒーローブームにあやかり「警視庁戦隊」を作り、広報活動をさせることにした。
 部隊名は「警視庁特捜班ドットジェイピー」。ジェイピーはジャパニーズポリスの略。ドットが付くのは、なんか今風だから。
 集められたのは、性格に大きな難があるものの、格闘、射撃、コンピュータなどの達人にして美男美女の五人の警官。
 しかし、彼らを逆恨みする犯罪者が現れた! (Amazon.co.jpより引用)
 
 ――ユルくない?ニッポン。

 ダジャレ作家(嘘)の田中啓文氏は我孫子氏のことを「こっちの人(つまりギャグコメディ寄りの人)」と称していますが、本作はまさに、我孫子氏のコメディセンスが存分に発揮された作品。人を食ったような奇人変人たちをあっけらかんとした文体で描き、彼らが巻き起こすジョークじみたドタバタ劇を活き活きと活写する。下手をすれば読者をバカにしているように受け取れなくもないぐらいで、読み手にはスラップスティック・ギャグを楽しむセンスが要求されます。“ユーモア”じゃなくて“スラップスティック”というところが我孫子作品の特徴で、小説とか文芸というと真面目で高尚なものと思い込んでる人から見れば、本を投げ捨てて怒り出したくなるんじゃないでしょうか。ちなみにスラップスティックというのは“ドタバタ喜劇”のような意味。

 とにかくコミカルで、細かい場面転換を繰り返しながらテンポよくストーリーが進んでいくので非常に読みやすく、あっという間に読めてしまいます。読みやすいのは、ほとんどの我孫子作品に共通する特徴ですが。ただ、くだらないギャグを闇雲に連打しているわけではなくて、そこには通り一遍の倫理観や形骸化した社会常識への批判的な視線が鋭く存在していて、そういう問題意識を、唖然とするぐらいおバカなギャグに翻訳して描いてしまえるのが我孫子氏の特異な才能なんです。
 我孫子氏というと『殺戮にいたる病』が代表作と言われていますが、、発表から15年以上も経った作品が未だにそう言われてしまうこと自体、日本の文壇では暗くて重くてエグイ小説ばかりが高く評価され、ユーモアとかコメディ作品が不当に低く評価されてしまう実情を如実に表していると思います。確かに『殺戮~』は優れた作品でしょうが、我孫子氏はデビュー作『8の殺人』からしてスラップスティックだったし、やっぱり本領はこっちでしょう。そして本書は、ギャグの量とセンス、ストーリーの面白さともに、我孫子氏のコメディ寄りの作品群の中でもトップクラスの出来ではないでしょうか。そういう意味で、この作品は我孫子氏の代表作と言えるかもしれません。

 もちろん広義のミステリに入る作品ですが、いわゆる「本格」の範囲のものではないので、謎解きとか犯人探しとか、その辺の面白さはあまりありません。また、短い作品のわりに登場人物が多いので(何せ〈ドットジェイピー〉メンバーだけで5+1人いる)、メンバー一人ひとりの個性を掘り下げるには至っていません。その辺はやや残念なところですが、シリーズ化決定したらしいんで、本作で物足りなかったところも続編でおいおい掘り下げられていくでしょう。

 まあ、あまり肩に力を入れて読むものでもないし、あっという間に読めてしまうので暇つぶしにすら物足りないかもしれませんが、「本を読んで笑う」という、意外と普段できない体験が出来ます。そういう意味で、稀有な本。笑うのが好きな人、暗くて重いばかりの小説に食傷気味な人には、おススメです。
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Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

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comments(0)|trackback(0)|読書|2011-07-17_04:00|page top

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
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