闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『永遠の館の殺人』黒田研二×二階堂黎人

 「キラー・エックス」シリーズ完結作。驚異のシリアル・キラーの知られざる真実がついに、明かされる!
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 I県竜飛岳のスキー場で恋人ヒカルを亡き者にしようとした俺、板倉和馬。しかし不覚にも、ヒカルもろともコースを外れて遭難してしまう。降りしきる雪の中をあてもなく歩き続けた俺たちは、林に囲まれた巨大な屋敷を発見。必死に助けを求め、一度は住人に拒まれながら、何とか屋敷の中に入ることに成功する。屋敷には有名な作家が家族と使用人と住んでおり、他に作家の友人と地元タウン誌の編集者、庭の焼却炉の修理に訪れた業者の男がいた。屋敷は何故か北側と南側で完全に分断されており、家人が居住する南側のエリアには客は一切立ち入りを拒否される。不穏な空気が漂う中、俺は些細なきっかけから、口論の末にヒカルを殴り殺してしまう。しかし、しばらく部屋を離れているうちに、なぜかヒカルの死体は跡形もなく消えていて……。
 
 「キラー・エックス」シリーズの前二作(『Killer X キラー・エックス』『千年岳の殺人鬼』)は叙述トリックものでしたが、本作は地の文に仕掛けはなく、普通の叙述形式で書かれています。でも、普通のミステリかって言うと、そうとも言えない。はっきり言って、かなりむちゃくちゃな話という気がします。(以下、ややネタバレします。注意!)




 (ここからネタバレ!)
 作中には色んな謎がありますが、大まかに分けると〈死体を隠したのは誰か?そしてその目的は?〉〈ヒカル殺し以外の殺人事件の犯人は誰なのか?〉〈屋敷の住人は何を隠しているのか?〉の三つぐらいでしょうか。このうち、一つ目と二つ目の謎の答え、つまりヒカルを始め、その後の被害者も含めたすべての死体を人知れずどこかに隠してしまう何者かの正体と、ヒカル以外の被害者を殺した連続殺人犯は、それぞれ別人なんです。そういうのって、謎解きの論理としていくら辻褄があっていても、単純にストーリーとして面白くないですよね。推理小説の中で起きる事件や、それに付随する不可解な出来事の犯人は、出来るだけ同じ人物であって欲しい。別々の人間が、別々の目的をもって事件を起こしましたというのは、よっぽど説得力のある理由をつけてくれないと納得しがたいです。その点、本作の理由付けに説得力があるとは言いづらい。そもそも、そこまでして娘を外界の情報から隔離したかったのなら、これほど豪壮な屋敷を建てるほどの財力と土地スペースの余裕があるのだから、家族用の食堂と来客用の食堂を別に作ればいい。そのうえで、北エリアと南エリアの行き来も、食堂などというパブリックな場所じゃなくて、主人の仕事部屋など、より限られた人が使用する場所から出入りするようにすれば、娘が外部の人間と接触するリスクはもっと減らせたはず。そういう基本設定に無理があるので、謎解きの論理が詭弁にしか思えないです。
 また、屋敷中に置かれた人形や、男女二人組の強盗魔など序盤に提示される怪しげな材料が、単なる雰囲気付けにしかなっておらず、伏線としてきちんと処理されていないことも不満。キラー・エックスの真の目的が明らかになるわりに、この屋敷での連続殺人犯の動機はうやむやにするというのも、なんだかなぁという感じ。
 (ここまでネタバレ!)




 (ここからネタバレなし。未読の方も読んでOK!)
 本作も過去のシリーズ作品と同様、メインパートの合間に、キラー・エックス事件を捜査する刑事たちの描写をカットインさせていく構成で描かれていますが、本作に関してはこのカットインが余計。あってもなくてもいいというか、メイン部分の面白さを削いでいる気がします。メイン部分は、いろいろ苦言も書きましたけど、実はそこそこ面白い。このアイディアを、「キラー・エックス」シリーズじゃない作品で使えば、もっと面白いミステリになっていたように思います。そういう意味ではもったいない。そして、相変わらず登場人物たちが、人として好感の持てない人間ばかりなのはなんとかならんのかと思います。
 「キラー・エックス」シリーズは本作で一応完結したということですが、エックスが逮捕されるなどの決定的な描写はなかったので、まだ続けようと思えば続けられそうです。どうせなら、奴が息の根を完全に止められるところまで書き継いでもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
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Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

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comments(2)|trackback(1)|読書|2011-08-01_02:36|page top

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二階堂黎人×黒田研二 『永遠の館の殺人』 感想
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どうも
前作前々作と同様に複雑な内容なのであまり覚えていませんが、死体を隠す理由に必然性が足りないと思った記憶があります。常軌を逸した犯行に動機も常識外れと言うか。これだけ複雑な内容をまとめた技量は凄いと思いますが、シリーズ内では一番竜頭蛇尾な印象の作品でした。
生き死に
>>峰川幸介三世さま。
死体を隠す理由に納得できないのは、キャラクターの造形が浅いせいもあると思います。この人ならこう行動する、あの人ならそんな風に考えるだろう、とは思えないんですね。

それに、人の生き死にというのは本能的なものだから、わざわざ誰かに教わらなくても、感覚で解ると思うんですけどね。

プロフィール

tamacat

Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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