闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『星降り山荘の殺人』倉知淳

 「猫丸先輩」シリーズで知られる倉知淳氏の長編作品。“あくまでもフェアに、読者に真っ向勝負を挑む”と宣言し、意表の仕掛けで読者を翻弄する意欲作。
星降り山荘の殺人 (講談社文庫)星降り山荘の殺人 (講談社文庫)
倉知 淳

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 秩父のうらぶれたキャンプ場を、若い女性が気軽にくつろげるリゾート地に生まれ変わらせるようなアイディアを提供して欲しい。そんな仕事の依頼を受けて現地に集められたスターウォッチャー、人気女流作家、UFO研究家の面々。しかし滞在二日目の朝、彼らを呼び集めたリゾート開発会社の社長が殺されているのが発見される。そして現場となったコテージの外にはミステリーサークルが!スターウォッチャーの星園詩郎は付き人の杉下和夫とともに現場を調査するが、翌日、第二の殺人が……。
 
 ミステリを読むとき、犯人を当ててやろうとか、真相を見抜いてやろうということはあまり考えない。考えるよりも、単純に文章を追っていき、純粋にストーリーを楽しみたい。その上で、気持ちよく騙されたい。そういう思いがあるからですが、ただ単に考えるのが面倒くさいだけでもあったり。僕はそういうタイプです。そして本作は、そのスタンスが裏目に出たかな。真剣に考えていれば、真相の全てとは言わないまでも、犯人の名前ぐらい当てられた気がする。最初から怪しい気はしてたんだから。

 ミステリファンならまず、各章の冒頭に付されている、脚本のト書きのような文章が気になるはずです。これは何かの伏線なのか?どこまで信用していいものか?
 結論からいえば、この“ト書き”に書かれていることは全て真実。嘘は書いてません。その上で、本文をどう読むか。人物描写に優れた作者なので、各々の登場人物はきわめて活き活きと描かれますし、本文を流れに沿って読むだけでも充分楽しめますが、そうやってストーリーを追うという行為自体が、もうすでに作者の術中にはまっている。なので最後に真相が明かされたとき、「うわぁ、やられた!」となるのです。
 ただ難点もあります。死んでしまう人を含めても登場人物が9人しかいない中で、明らかに聡明そうな人物が3人もいるというのは、キャラ被りにもほどがあるという気がします。また終盤の推理シーンで、星園が展開する論理はいささか現実感に欠けるというか、説得力が弱いかなぁ。本作はいわゆる〈犯人当て〉なので、消去法で犯人候補を絞り込んでいく形ですが、その絞込み方がいかにも“推理小説的”で、この手のミステリを読みなれていない人だと「こんなんでいいの?」という気がしてしまうかも。

 そうはいっても最終的に全ての登場人物に見せ場があるところや爽やかなラストなど、娯楽作品としての良心的な作りはいかにも倉知氏らしく、好感が持てます。人物描写の上手さは相変わらずで、最後の犯人の豹変振りなどはぞっとする迫力。
 倉知作品は長編3作、短編集1冊を読みましたが、きわめて打率が高い作家ですね。つまらないと感じたことがない。しかも肩の凝らない作風で、ミステリ初心者にも敷居が低い。そんな作品を書き続けている倉知氏は、本格ミステリ界の良心、と言ってもいい感じです。
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Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

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comments(2)|trackback(1)|読書|2011-09-16_17:46|page top

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倉知淳 『星降り山荘の殺人』 感想
星降り山荘の殺人 (講談社文庫)倉知 淳 講談社 1999-08-10売り上げランキング : 32999Amazonで詳しく見る by G-Tools ----あらすじ---- 杉下和夫は上司を殴りつけた代償として、事務所のタレントであ...

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十角館の殺人に近しい
と個人的には思っています。
作品として一発オチの印象が強烈なので、騙しの作品としては非常に優秀。欠点としては動機の掘り下げが甘い点や、tamacatさんも言及されている、推理部分の説得力でしょうか。真犯人の豹変ぶりはいささか度が過ぎましたね。
>>峰川幸介三世さま。
十角館とはまた意外な。小説としての書きぶりやスタイルは全く似ていませんが、言われてみれば、トリックの種類や消去法という解き方は似ているかも?
でも、どちらかと言えばラブコメですよ、この作品。

プロフィール

tamacat

Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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