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闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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映画『猿の惑星:創世記』

 映画史に残る傑作SF『猿の惑星』シリーズ。そのサーガの起源となる物語。
Rise of the Planet of the ApesRise of the Planet of the Apes
Patrick Doyle

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 製薬会社ジェネシス社で開発された、画期的なアルツハイマー治療薬「ALZ-112」。しかし人への臨床試験を役員会に図ろうとしていたとき、ALZ-112を投与された実験動物のチンパンジーが暴れだし、警備員に射殺される事故が発生。開発計画は中止される。射殺されたチンパンジーは妊娠しており、研究者のウィルは助けられた赤ん坊を家に連れ帰り、シーザーと名づけてともに暮らし始める。母親に投与されたALZの影響を受け継いでいたシーザーは驚異的な知能の発達を示し、ウィルとの間にも親子のような絆が芽生えていく。一方、アルツハイマー病に苦しんでいたウィルの父親チャールズは、ウィルがひそかに持ち帰ったALZ-112の効果で劇的な改善を遂げていた。しかしウィルがシーザーを引き取ってから8年後、穏やかだったウィルたちの暮らしは、チャールズの再びの病状悪化により揺らぎ始める……。

 映画『猿の惑星:創世記』公式サイト
 
 なんか、やたらめったら悲しい映画だったなぁという印象。

 この映画で描かれる猿たちの行動とか生態とかに関しては、生物学的・動物行動学的に正しいのかどうか、疑問があります。シーザーがずっとズボンを穿いているのは、自分で脱ぎ穿き出来なけりゃ悲惨なことになるし(猿は便意や尿意を我慢できないらしい)、サーカスのオランウータンが手話を使うのは、振り付けとして覚えているだけであって、言葉の意味や概念を理解して使いこなしてるわけではないだろうし。また、いくら知性が発達しても、声帯が進化しなきゃ言葉は喋れないはずだし。ALZ-113ウィルスに感染した上でシーザーの訓練を受けた動物保護局の猿たちはともかく、動物園やジェネシスの研究室から脱走させた猿たちまでもが、一糸乱れぬ統率で人間たちを襲うのは不自然だし。

 弱いものは力を求める。だけど、結果手に入れられた力は、絶対にその使われ方を誤る。力は、弱きものを虐げる目的でしか使われたためしが無い。それが悲しい。そして間違えるのは、決まって“知性を持つ者”だったりする。人類だって、本作のシーザーだって、知性を獲得しなければ間違わなかっただろう。そもそも、自然界には間違いも正しいもなくて、物事を「正」と「誤」に分けてしまうことがそもそも間違いなのかも。いずれにせよ、知性と力を得て、人も猿も、誰かを傷つけるという選択をしてしまう。僕は日ごろ、知性や理性の価値や可能性を信じて生活しているので、余計に悲しかったです。

 それでも、本作での猿たちの反乱が突きつけるメッセージには、重みがあります。人間とは何か、自由とは、命の尊厳とは、そして絆とは。「科学技術を過信することへの警鐘」というよりは、もっと哲学的で、人類の存在そのものへの根源的な問いかけを含んだ映画だと思います。
 内容的には「猿の惑星」というより「猿の反乱・革命への序章」という感じです。後半には、次世代の猿たちを象徴するような、人類への憎しみを露にする猿のキャラクターも登場していますし、映画のラストには人類滅亡への布石も打たれていて、たぶん次回作もあるんだろうなぁ。SF映画として、細かい部分まで完成度が高いとは言えないですが、映画として訴えたいこと、表現したいことが明確に表現されていて、いい映画だと思います。悲しいけどね。
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『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』 ('11初鑑賞134・劇場)
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猿の惑星:創世記(ジェネシス)
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猿の惑星:創世記(ジェネシス)
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猿の惑星:創世記 (Rise of the Planet of the Apes)
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『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』’11...
あらすじサンフランシスコの製薬会社に勤めるウィルは新薬の実験用に飼っていたチンパンジーが暴れて射殺されたため、その赤ん坊を密かに自宅へ・・・。解説放送映画批評家協会賞視...
『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』’11・米
あらすじサンフランシスコの製薬会社に勤めるウィルは新薬の実験用に飼っていたチンパ
【映画鑑賞】猿の惑星:創世記Rise of the Planet of the Apes106分/TOHOシネマズ木曽川
2D吹き替え版で観ました。もう1日1回上映になっていましたので急いで観に行きましたよ。 Σ( □ ;) 冒頭どこかアフリカらしきジャングルで猿を追い立て罠で捕獲していくシーンか
猿の惑星:創世記(ジェネシス)
人気SFシリーズの第1作「猿の惑星」(1968)のプリクエル(前章)なのだそう。 新薬を用いて、驚異的に知能が発達した猿。でも、親猿は犠牲になったことから、その子を、シーザーと名付け、科学者・ウィルが、ペットとして飼い始めて5年目。 服を着て、すっかり人間気分になったシーザー。その新薬は、アルツハイマーの特効薬として期待されてたことから、父の病状が悪化したウィルが、決死の思いで用...

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Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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