闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『ひねくれアイテム』江坂遊

 ショートショート専業作家・江坂遊氏の作品集。ちょっと不思議でじわっと不気味、でも暖かかったり優しかったり、そんな珠玉のショートショートの数々。
ひねくれアイテム (講談社ノベルス)ひねくれアイテム (講談社ノベルス)
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 僕はショートショート好きなので、今まで数多くのショートショートを読んできました。江坂氏の作品集も『仕掛け花火』についで二冊目になります。星新一氏が唯一、後継者として認めたという江坂氏。ですが、江坂作品は星氏の作品とは一味違った世界を見せます。そんな48タイトルから、特に印象に残った作品をいくつか紹介します。
 
 「ウィビコフの指揮棒」…死者を蘇らせることの出来る指揮棒を手にしたわたしは、鬼籍に入った古今東西の様々な名演奏家を蘇らせてきたのです……。
 全編〈わたし〉の語りで紡がれる作品。とにかくその語りの雰囲気が抜群で、死者が墓場から蘇るイメージはおどろおどろしさもありつつ、どことなくユーモラス。でも結末は意外な方向に。この作者の持ち味が非常によく出ている作品だと思います。作品集の一番最初に収められるにふさわしい作品といえるでしょう。

 「クリーンパイパーズ」…人間の体を一本のパイプのように捉え、配水管を掃除するように、体内にたまったストレスを押し流してしまう。それが私どもクリーンパイパーズのサービスです……。
 この作品に限ったことじゃないですが、会話だけで描かれる作品が多い江坂作品。この作品も、クリーンパイパーズの営業マン(?)と、その訪問を受ける人物との会話のみで成り立っています。ふたりの会話だけで、クリーンパイパーズのサービスの内容が過不足なく説明され、そして意外な、しかし納得感のあるオチへとつながっていく。その展開は、江坂作品にしてはやや珍しい比較的まっとうなショートショートですが、出来はかなりいいと思います。

 「死闘販売機」…ある男が自宅の近くで見つけたのは、自動販売機ならぬ〈死闘販売機〉。販売しているのは、焼死、交通事故死、縊死、絞殺、毒殺などなど……。
 タイトルだけ見ると単なるダジャレですが、そこからきちんとした作品を仕上げるのがまずすごい。これも内容は普通のショートショートですが、人間の悪意を、ユーモアというよりはナンセンスに近い笑いを交えて描きつつ、オチは作為なのか不作為なのか?解釈の仕方に幅が持てる感じになっているのが面白いですね。

 「夢塵島」…きみは高校生。木曜の午後の二コマ目、O先生の授業を受けているところ。眠い。無性に眠い。睡魔に負けたきみは夢の中で、南の島にたどりつく……。
 これはファンタジーな感じがして、いいなぁ。二人称で書かれているのもいい。夢の中で不思議な体験をして、そして夢から醒めたらまた違う、不思議なことが待っている。ずっと夢を見ているような感覚が、最後のオチで急転直下、逃げられない現実にぎょっとする。居眠りなんかしなきゃよかった、ときみは思うかもしれない。

 江坂氏独特の、不思議で不気味な作品世界は本書でも健在でしたが、個人的には『仕掛け花火』のほうが印象に残る作品が多かった気がします。本書はどこか、むりやりオチをつけたような作品が多かった気が。
 江坂氏はショートショートしか書かない、正真正銘ショートショート専門の作家です。ひとつひとつの作品が短いショートショートは、数をそろえなければ本にならないので書くほうは大変だと思いますが、ショートショート好きとしては今後も優れた作品を書いて、ショートショート集を出し続けてほしいと思います。江坂氏ががんばることで、ショートショートに思い入れを持つほかの作家の人たちも、ショートショートを書こうという気になってくれるかもしれないし。なんて勝手なことを思う読者なのです。
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comments(0)|trackback(0)|読書|2011-12-27_00:39|page top

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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