闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『空中鬼』高橋克彦

 平安時代の陰陽師、弓削是雄(ゆげのこれお)とその愉快な仲間たちの活躍を描くシリーズ、長編としては三作目。
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高橋 克彦

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 何年か前に陰陽師ブームがありましたが、弓削是雄は、あの安倍晴明よりも七十~八十年ほど前に活躍した陰陽師。実在した人ですが、もちろん小説の中身はフィクションです(が、シリーズ最初の短編『髑髏鬼』は、実際に起きた事件《応天門の変》の真相を解き明かすという内容。史実を陰陽師の視点で見ると、驚くべき真相が!)。
 
 弓削是雄を主人公にしたシリーズは、短編集『鬼』収録の『髑髏鬼』『絞鬼』、長編『白妖鬼』『長人鬼』と続いていて、『空中鬼』で通算五作目ということになります。特に長編化してからは、個性的な登場人物(と、お化け)たちの楽しい掛け合いと、術を用いるシーンでの映像的な文章の躍動感が印象的で、毎回、文庫本で二百頁前後という短い作品にもかかわらず、きわめて内容の濃い一級のエンターテイメントとなっています。
 この作品でも、クライマックスシーンでの映像的な迫力は健在で、度肝を抜くような異容の化け物が出現しています。また、「鬼は人が生み出すもの」というこのシリーズの統一概念があり、本作でも鬼を生み出す人の愚かしさや、鬼そのものになってしまった人の孤独や悲しみを描く、という深いテーマもあります。

 ただ、正直に言ってこの『空中鬼』、前二作の『白妖鬼』『長人鬼』と比べると、完成度はやや劣ると感じます。前二作よりさらに三十頁ほど短いせいか、後半の展開が少々、性急に感じます。また、冒頭で「空中鬼、すなわち天狗」を匂わせながら、その見立てが結末とうまく噛み合っていません。『○○鬼』というタイトルにするために、無理やりひねり出した言葉みたいな感じです。
 それから、『長人鬼』で強烈なインパクトを残した闇の陰陽師、蘆屋道隆のその後の動向が何も語られないまま、物語の終盤に唐突に登場してくるのも不満。前作の流れから、てっきり是雄の仲間になって、陰陽寮の役人になっていると思っていたのに。

 とまあ、前二作があまりにも面白かったので、それと比べればあらの見える出来となってしまいましたが、弓削是雄と愉快な仲間たちの活躍はいつ見ても痛快です。シリーズはさらに続いている模様。少年、淡麻呂(あわまろ)や若き陰陽師、紀温史(きのあつし)がシリーズを追うごとに成長していくので、彼らの今後も気になります。もっともっと続きを読みたい、と思わせるシリーズです。
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comments(0)|trackback(0)|読書|2007-11-28_14:02|page top

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
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