闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『バーにかかってきた電話』東直己

 『探偵はバーにいる』に続くススキノ探偵シリーズ第二作にして、映画『探偵はBARにいる』の直接の原作。
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 いつものように〈ケラー〉で飲んでいた俺のもとに、〈コンドウキョウコ〉を名乗る女から電話がかかってくる。〈サッポロ音興〉という会社の社長にあることを聞き、その反応を見ろという。その奇妙な依頼を引き受けたら、地下鉄のホームから突き落とされて死にそうな目にあった。俺は〈コンドウキョウコ〉に腹を立てた。結局それは、彼女が死ぬまで続いた。俺は俺に恥をかかせた奴らに仕返しをするため、〈サッポロ音興〉の周辺を調べ始めるが……。
 
 シリーズ一作目『探偵はバーにいる』を読んだときは“映画とはだいぶ違うな”と感じたのですが、二作目の本作を読むと、だいぶ映画のイメージと近くなっています。本文中に出てくる〈俺〉の台詞やフレーズを、映画がじつにうまく脚本に取り入れ、生かしていることもその一因だとは思いますが、小説の雰囲気自体がけっこう変わった気もします。探偵のキャラクター自体は変わっていませんが、周辺の登場人物が変わり、一作目の登場人物で本作にも登場しているのが、〈ケラー〉のバーテンと相棒の高田、桐原組の相田ぐらいしかいません。また、一作目では事件の重要な関係者に探偵の知り合いが含まれていましたが、本作では探偵はほとんど部外者、巻き込まれた立場なので、その辺の影響もあるでしょう。ともかく、ナイーヴで知性と教養が高くて、そのくせむちゃくちゃで大酒呑みな探偵の個性はそのままですが、作品全体の雰囲気はずいぶん軽やかに、明るくなった印象があります。

 ストーリーの流れは映画のほうが少し簡略化されていますが、ほとんど同じです。ですが、原作と映画では時代が大幅に違う。原作の時代設定は1980年代初頭、バブル前夜、という感じの時代。それに対して映画の時代設定は現代、つまり映画の公開年と同じ2011年ですから、時代背景は相当違うはずです。事件の背景には暴力団による地上げと、それに関わる放火事件があるのは原作も映画も一緒ですが、バブル前ならいざ知らず、現在でそういうことってあるのでしょうか?僕は北海道経済のことはまるで知りませんが、映画の中で相田が「リーマンショックの後、ススキノに新しいビルがぼんぼん建ったろう」と言ってたようなことが、本当にあったのか。その辺は少し気になるところです。
 この小説はコンドウキョウコが死に、彼女がストレッチャーで搬出されてくるのを〈俺〉が目撃するところで終わっています。ある意味唐突な終わり方で、それが〈俺〉の無念さや切なさを引き立てています。映画のほうはこの後に少し続きがあります。やりきれない思いを抱えて〈ケラー〉にやってきた探偵に、コンドウキョウコから思わぬ贈り物が、というシーンですが、このシーンは、序盤の探偵の受難(雪に埋められる)と対応していて、非常に効果的なシーンです。このシーンがなかったら、映画は軽やかな印象を残して終われなかったと思いますが、小説には小説の終わらせ方があると思うので、これはこれで良いかと。
 ほかにも、近藤京子の妹の扱いや田口晃の両親の運命など、映画と原作では少し違っているところがあります。全体的に映画の方が、無駄を排して切り詰めた描写になっているようです。

 なんだか小説の感想なのに映画の感想みたくなっちゃいましたが、小説は小説で、非常に面白かったです。前作と比べるとミステリとしての整合性が上がっているし、〈俺〉のキャラクターも硬軟両面が描かれ、前作以上に深みや広がりを感じる人物造形になっています。もともとあった〈俺〉の複雑な魅力にくわえて、ストーリー自体の面白さ、謎解きの面白さも加わったのだから、面白くて当たり前。映画もシリーズ化が決定しましたから、原作小説の方も、引き続き読んでいきたいと思います。
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東直己 「バーにかかってきた電話」
JUGEMテーマ:読書感想文    ◆探偵は シリーズ    本社が映画の『探偵はBARにいる』の原作。    コウドウキョウコと沙織の区別が何故付けられたのか    映画で分からなかった部分が、?...
バーにかかってきた電話/東 直己
いつものバーでいつものように酒を呑んでいた俺は、コンドウキョウコと名乗る女から電話で奇妙な依頼を受けた。電話をし、呼び出した相手の状況を教えてほしい。依頼の理由は最後には明かすというが、最初の依頼で出かけた帰り、殺されかけた。   電車での長旅...

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ハードとギャグの両立
往々にして小説や漫画からの実写化は、イメージや表現方法の違いで賛否両論分かれたりするものですが、この作品に関しては記事を読む限りそういう欠点はあまりなかったと言うことでしょうか。

映画1作目では探偵の素性などを一切語らなかったところも長所の一つだと思うのですが、原作ではその辺りどうなのでしょうね?
高学歴無職
>>峰川幸介三世さま。
探偵の素性は、北海道大学中退の30歳、ということ以外分からないですね。

映画の〈俺〉は自分のことを〈探偵〉と自称してますが、原作ではそうではありません。むしろ一作目では「頼まれれば人探しなどもするが、それが仕事ではない」とはっきり言っています。基本的には博打で日銭を稼いでいるのですが、本作では大麻の栽培に手を出すなど、明らかに違法なこともやっています。
僕は映画から入ったので、原作の〈俺〉はちょっと無茶苦茶すぎる気がしますが……。

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Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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