闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『木野塚佐平の挑戦だ』樋口有介

 ハードボイルドな探偵に憧れる天然老人と色気はないが有能な助手の活躍を描くシリーズ第二弾。木野塚氏が、現職総理大臣の急死の裏に隠された陰謀を暴く!?
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 現職の総理大臣が急逝し大混乱の世間をよそに、美人ニュースキャスターの姿に煩悶する木野塚氏。些細な事件を解決し、糊口をしのぐ日々だったが、突然ケニアから桃世が帰ってきたと思うと、オタク男の奇妙な相談をはじめ急な依頼が相次ぐ。それらが、なんとあこがれの大事件に繋がって――。(本書裏表紙より)
 
 『木野塚探偵事務所だ』に続くシリーズ二作目。Amazonではけっこう辛目の評価が目立つのでどんなもんかなと思って読んだのですが、なかなかどうして、けっこう面白いではないですか。

 前作が連作短編集だったのに対して、本作は長編となっています。出だしは金魚の品評会で無名の飼育家が金賞をさらったという、いかにも木野塚探偵事務所らしい相談から幕を開けますが、助手の桃世がケニアから帰国してからは、色々と怪しげな依頼が舞い込んだり、木野塚氏が警察時代の同僚と再会してホームレス業界の大物(?)と引き合わされたりと、先の読めない展開になります。そして木野塚氏が憧れの美人ニュースキャスター香川優子と面会し、さらには政権与党の大物議員と接見する中盤あたりは、いささか話を広げすぎで、木野塚氏の妄想も暴走気味な感じがして、確かに少し心配にはなりました。
 ですが終盤、一連の不可思議な展開の真実が明らかにされると、これがなかなか結構、納得感のある着地を見せます。大胆な設定で荒唐無稽に思える真相も、意外と社会派なテーマを浮き彫りにしながらも娯楽小説としての楽しみを維持するのに役立っていると思います。

 あとがきでも触れられていますが、続編といっても前作から7年のブランクがあって、前作と本作では文体が大きく違うようです。「ようです」というのは、僕自身は読んでいてあまりよく判らなかった、ということなのですが、作者の樋口氏は「本作は文体改革直後ということもあってか、プロの目から見るとまだまだ、全体的にバランスの悪い箇所もあるようです」と述べています。もしかすると本作の木野塚氏がいささか妄想を暴走させすぎ、ふわふわしているように感じられるのは、その文体のせいもあるかもしれません。
 また、同じあとがきの中で「三人称視点と木野塚佐平の一人称視点とを、ごちゃごちゃに錯綜させる手法」を「厳密にいえばルール違反です」と書いています。そんなこと、普通の小説読者は誰も気にしないだろうと思うのですが、樋口有介という作家は小説の叙述の仕方について非常に誠実な人で、『初恋よ、さよならのキスをしよう』のあとがきでは、〈翻訳小説なんか読んでいると、一人称の作品なのに、突然視点が移動するケースがあります。(中略)私なんか、「おいおい、いくらアメリカ人が無神経だからって、そりゃないだろう」と思うのですが、読者も編集者も、意外に気にしないようです〉と書いています。樋口作品は視覚的な描写から人物の心情を浮き彫りにするような表現力に魅力がありますが、その表現力は、そういうほとんどの人が気にしないようなところを気にして、誠実に文章を書いているからこそ培われたのだろうと思いました。

 さて、今回は国家的陰謀と対決した木野塚氏ですが、作者の中にはシリーズ三作目の構想もあるようです。今回は話が大きくなりましたが、今度はもう少し日常的な事件と向き合う木野塚氏が見たいですね。そして、そんな日常の中でこそきらりと光る、木野塚氏のいぶし銀のダンディズム(?)に期待です。
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comments(0)|trackback(1)|読書|2012-04-10_02:36|page top

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