闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『火村英生に捧げる犯罪』有栖川有栖

 作家アリスシリーズの短編集。携帯サイトむけに書かれたショートショートを収録しており、普通の短編集とは少し違った味わいがあります。
火村英生に捧げる犯罪 (文春文庫)火村英生に捧げる犯罪 (文春文庫)
有栖川 有栖

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 私事ですが、GWの入りっぱなに風邪をひき、しかもそれをこじらせてしまって、昨日ぐらいまでその後遺症を引きずっていました。おかげでGWはどこにも出かけられなかったし、blogの更新もなかなかできず、読み終えたのに感想を書けてない本が溜まってきました。体調も治ったことだし、時間のあるときにおいおい更新していければ、と思います。
 で、今回は作家アリスシリーズより、『火村英生に捧げる犯罪』。大仰なタイトルですが、中身はどちらかというと軽めな短編集。
 
 「長い影」…住宅街にある廃工場で男が縊死した。死体発見の直前、現場の向かいに住む夫婦が怪しい人影を目撃していた。しかし同時間帯に現場のそばを通ったという会社員は、誰の姿も見ていないという……。
 作家アリスシリーズらしい作品、という印象です。何がどう、と問われると難しいんですが、ごく普通の現代社会の枠組みの中で、本格ミステリという時代遅れじみたストーリーを違和感なく成立させているのが作家アリスシリーズの特徴だと思いますが、そういう部分が本作は強く出ています。終盤で明らかになる犯人の動機が、「長い影」というタイトルとリンクしている構成も上手い。

 「鸚鵡返し」…マンションで一人暮らしの男が殺害された。現場には鳥籠が残されており、中にいたオウムが捜査員たちに重要な情報をもたらす。なんとそのオウムは「ハンニンハ、タカウラ」としゃべったのだ!
 先日、迷子になって保護されたオウムが自宅の住所をしゃべったため飼い主が特定され、無事家に帰れたというニュースがありましたが、本作はオウムが犯人の名前を告げたという話。もちろん推理小説なので、オウムが名前を告げたからあなたが犯人、というほど単純な話じゃないですが、実際にこういうことが起こったら捜査機関はどうするんだろう?といらぬ心配をしてしまいます。

 「火村英生に捧げる犯罪」…“とっておきの探偵にきわめつけの謎を”――大阪府警本部あてに届けられた犯罪予告のような文書。一方、有栖川有栖のもとには、作品を登用されたと訴える電話が。そのころ京都ではエステティシャンが殺されて首を切られる事件がおきていて……?
 華やかなタイトルに反して、事件の真相は火村いわく「間抜けなコント」。もっともそれは作者の狙いでもあったようですが。名探偵火村と助手のアリス、両方の身辺に奇妙なことが起き、大阪府警本部は振り回され、一方で京都での殺人事件――という風に、短い作品の中で色々なことが起きるので、ちょっと解りにくいかもしれないですが、名探偵に捧げられた脅迫状の真意に火村が頭を抱える様は、なかなか面白いです。

 「雷雨の庭で」…タクシー会社社長が自宅の庭で死んでいるのが発見された。事件当夜は雷雨があったが、死体は雨合羽を着ており、軍手やスパナも遺されていた。被害者は雷雨の庭で何をしようとしていたのか?
 瀟洒な邸宅の庭で奇妙な死体が発見され、地面は雨でぬかるんでいたにも関わらず周囲に足跡がないという、いかにも推理小説的な事件です。真相の納得感はけっこう高いですが、被害者の人物設定にやや無理がある気が。そんな精神状態の人間に社長の仕事が務まるのか?と思ってしまいます。事件とは関係ないですが、本作の舞台は阪急岡本駅の近くです。高級住宅地で、暮らしている人たちも品のいい雰囲気があるところ。おそらく世間の人が〈神戸〉ときいてイメージするのは、このような街なんだろうと思います。だけどそれは神戸の東側半分のことであって、西側半分はごちゃごちゃして小汚く、人も品のない貧乏人街なんですけど。

 他にトリックが印象的な「あるいは四風荘殺人事件」、携帯サイト向けに書かれた掌編「殺意と善意の顛末」「偽りのペア」「殺風景な部屋」を含めた全部で7編。あまり「すごい」と唸るような作品はないけれど、色々な手を尽くして読者を楽しませてくれるという意味で、優れた作品集だと思います。携帯サイト向けに書かれた掌編では短く書くために火村の一人語りにするなど書き方も工夫されていて、いつもより饒舌な准教授を見るのも新鮮です。
 さて、有栖川作品を読んだのは久しぶりで、たぶん肩書きが准教授に変わってからは初めて読んだと思いますが、やはり安定感は抜群ですね。逆に言うとやや安定しすぎてしまって刺激が足りない、という気もしましたが。火村とアリスのコンビもちょっとマンネリ気味でしょうか。ここは今一度、「人を殺したいと思ったことがある」という火村の過去を掘り下げるとか、そういう刺激的な展開が欲しいなぁ、と思うのは僕だけでしょうか。
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comments(0)|trackback(1)|読書|2012-05-14_18:10|page top

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まとめtyaiました【小説『火村英生に捧げる犯罪』有栖川有栖】
 作家アリスシリーズの短編集。携帯サイトむけに書かれたショートショートを収録しており、普通の短編集とは少し違った味わいがあります。火村英生に捧げる犯罪 (文春文庫)有栖川 有栖 文藝春秋 2011-06-10売り上げランキング : 39811Amazonで詳しく見る by G-Tools 私...

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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