闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『二の悲劇』法月綸太郎

 法月綸太郎シリーズの長編。本文に「きみ」という二人称を用いた意欲作。
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 これは、きみの物語。
 都内のマンションでOLが殺された。首を絞められた上、ガスコンロで顔を焼かれるというむごたらしい事件。被害者の恋人をめぐって三角関係にあったルームメイトが行方をくらましており、単純な怨恨殺人だと思われた。しかし間もなく、容疑者は京都で死亡。探偵法月綸太郎は、被害者が書き溜めていた日記の内容から事件の全容を解き明かそうとする。
 
 ちょっと読んだのが相当前なので、細かいところまで覚えていませんが。
 「僕」や「私」ではなく、「彼」「彼女」でもなく、「きみ」という二人称を用いて書かれているところに大きな特徴があります。タイトルの『二の悲劇』の“二”というのも、二人称の“二”であると、以前何かで読んだ覚えがあります。作者の中では当初、三人称・三部構成の小説『三の悲劇』を書く構想があったらしいのですが(このことは本書の文庫版あとがきにかいてある)、概ね遅筆な新本格派の中でもトップクラスに遅筆な法月氏のこと、しかもこの小説を書く前後ぐらいからすっかり悩みのループにはまり込んでしまった結果、『三の悲劇』は未だに書かれることはないままになっています。
 ところで、“二”が二人称の“二”だというのは先述のとおりですが、本作にはもう一つ重要な“二”が描かれています。それは“二人”ということ。推理小説では二人の人間が入れ替わるということがよくありますが、本作でも、被害者と犯人が入れ替わっているのではないか、という疑問が投げかけられます。そして本文中で「きみ」と呼びかける語り手と、呼びかけられる誰かとの二人。いったい「きみ」とは誰なのか?
 殺人事件の犯人が誰かという刑事捜査的な問題ではなく、本作のミステリ的興味は事件の奥の人間関係、そして関係者たちの心の動きを解明するところにあります。やはり動機が問題になるあたり、法月作品らしいですし、日記から事件を解明していくというは『頼子のために』に似ています。一方で法月シリーズといえば家族の話というイメージが強いですが、本作は家族というよりは友情や恋愛感情の部分にフォーカスしているので、そのあたりは従来の法月作品とは少し印象が違う感じです。

 かなり難解な作品で、感想も述べにくいのですが、謎の深さとシリアスな文章に読み応えがありました。登場人物の思考や行動にいささか古臭さを感じないでもないですが、作中で描かれるピュアな恋愛とその悲しい結末には胸が切なくなりましたし、ラストシーンで綸太郎が言う「夢みることから逃れられない」という言葉からは、つらい人生に立ち向かう固い決意を感じました。
 そういえば先日『アルキメデスは手を汚さない』の感想のなかで、『密閉教室』を読み返したいということを書きましたが、まだ読んでません。法月作品の長編で唯一、法月綸太郎が出てこない作品。最初に読んだのは昔すぎて、内容はほとんど覚えていません。内容を思い出すためにも、読み返さないと。と言いつつ、それが何時になるやら、ですが。
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法月綸太郎 『二の悲劇』 感想
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