闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『腐蝕の街』我孫子武丸

 作者の我孫子氏いわく、「近未来SFハードボイルド風(あくまで“風”です)アクション」(『人形はこたつで推理する』文庫版あとがきより)。
腐蝕の街腐蝕の街
我孫子 武丸

双葉社 1999-02
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 この作品はシリーズ化されていて第3弾『禁忌の街』が現在『小説推理』に連載中。といえば人気のある作品と思われるかもしれませんが、実際はむしろ、我孫子氏の小説作品の中でももっとも不人気の作品といえるかも知れません。なんたって、新書・文庫ともに絶版(!)なのだから。
 
 Amazon.co.jpでも中古でしか売っておらず、普通に町の本屋で見つけるのはまず無理という希少性ゆえ、我孫子ファンでも読んでいない人が多いのではと思われる本書。今後『禁忌の街』の単行本が出たら、『腐蝕の街』も復刊されたりしないかなぁなどと思っていたのですが、先日ブックオフで奇跡的に発見し、即刻購入。
 内容はこれ、すごいですよ。傑作だと思います。今まで読んだどの我孫子作品よりも、興奮しました。クライマックスにおける、主人公・溝口と殺人鬼『ドク』との息詰まる攻防は、ものすごい迫力。巧みな文章テクニックで、読者を混沌のただ中へ引きずりこんでいきます。
 幽霊というのは、電場や磁場などの条件が整わなければ、人の目には見えないのだと『オーラの泉』で言っていました。そもそも人間の意識というものは、脳内の神経回路を電気が流れることによって形成されているわけで、「霊=生物の思念」であるならば、霊が電気と相性がいいのは当然のようにも思えます。この『腐蝕の街』の舞台となるのは2024年の近未来ですが、そのころには人の意識や記憶を電気的にトレースするような技術が実現しているかもしれません。そうなると、この作品に出てくる《デジタルな亡霊》も、ありえない話ではなくなってくるかも。考えるだけで、ぞっとしますね。

 作品が書かれたのは1995年。そもそもがそんな途方もない未来ではないし、書かれてから10年以上たつ今、現実が小説の中の未来に追いついてきているところもあったりして、作中で描かれる未来はけっこう現実感があります。もちろんSF小説ですから、ファンタジー的な要素も多分に含まれてはいるのですが、一方で20世紀の暮らしぶりを引きずっている主人公の溝口(ちなみに彼は1984年生まれという設定。なんと、僕とほぼ同世代!)の姿や、時代が変わっても不思議と変わらない満員電車の描写など、荒唐無稽ではなく、あくまでも《現在と地続きの未来》であることを印象付けます。文庫版解説では、映画『ブレードランナー』との類似点に言及されていますが、雰囲気は確かに似てるかも。もっともこちらは《アンドロイドの悲しみ》というテーマには一切触れていませんけどね。
 ちなみに、解説では『たけまる文庫 謎の巻』収録の短編『バベルの塔の犯罪』にも触れています。この作品は、我孫子ファン必読の傑作。実はファンにはおなじみの「あの男」が出ています。

 結末を読むと、作者は初めからシリーズ化を予定していたとしか思えません。いや、“シリーズ化”というよりは、もっと長い長い物語の“第一部”という感じでしょうか。これから第二部、第三部が、いかにもあるぞという終わり方です。僕はまだシリーズの続きを読んでないのですが、もしこのシリーズが、全体でひとつの大きな物語をなす『スターウォーズ』的な作品だとしたら、《エピソード1》が絶版で入手困難というのはまずいんじゃないでしょうか。この傑作をより多くの人に読んでもらうためにも、ぜひ復刊してもらいたいなぁ。
屍蝋の街 (双葉文庫)屍蝋の街 (双葉文庫)
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たけまる文庫 謎の巻 (集英社文庫)たけまる文庫 謎の巻 (集英社文庫)
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Theme:SF小説
Genre:本・雑誌

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comments(0)|trackback(1)|読書|2007-12-06_04:15|page top

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我孫子武丸 『腐蝕の街』 感想
腐蝕の街 (双葉文庫)我孫子 武丸 双葉社 1999-02売り上げランキング : 138446おすすめ平均 核の部分をもっとひねってほしかった。SFサスペンスが...

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