闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『アルキメデスは手を汚さない』小峰元

 有名な作品です。作品の内容も作者のこともまるで知らないけれど、タイトルだけは聞いたことがあるという人は、僕意外にも多いんじゃないかな。
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小峰 元

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 「アルキメデス」という謎の言葉を言い遺し、急逝した女子高生・柴本美雪。彼女の死因は表向き病死とされたが、実際は中絶手術の失敗によるものだったとの噂が級友たちのあいだで広まっていた。美雪の父親・健次郎は娘を妊娠させ、死に追いやった者への復讐を誓い、娘と親しかった生徒たちを探ろうとする。そんな時、美雪のクラスメートだった柳生隆保が、教室で毒入りの弁当を食べて倒れるという事件が起きる。さらに後日、隆保の姉の不倫相手が失踪。続けざまに起こるこれらの事件は関連があるのか。刑事の野村は頭を悩ませるが……。
 
 冒頭に記したとおり、僕はこの作品について、内容や作者のことはまったく知りませんでしたが、タイトルだけは前々から知っていました。文庫の裏表紙のあらすじを読んで、辛うじて青春物、学園物のミステリらしいというのが理解できたぐらい。いつもは読みなれた作者の作品ばかり読んでいるので、そんな“予備知識ほぼゼロ”で読むというのもなんか新鮮。

 それはともかく、読んでみた感想ですが。
 これは、ミステリというより、純文学だと思うなぁ。もっとも、純文学と娯楽・大衆文学との間に線を引くこと自体が無意味でナンセンスという指摘もありうるのでしょうが、そうはいっても、明確な線引きは難しいとはいえ、一応文学の世界には、そういう二つの、大まかなカテゴリ分けがあるというのが一般の認識でしょう。芥川賞は純文学、直木賞は大衆文学、という風に。
 その論でいくと、この『アルキメデスは手を汚さない』は、純文学だと思います。確かに、ミステリ、推理小説としての体裁をとってはいるんだけど、内容的には凝ったトリックがあるわけでもなく、そこまで謎解きに特化している感じでもない。むしろ、ある少女の急死と彼女のクラスメイトの周辺で起こるいくつかの事件を通じて、多感な若者たちの悩みや葛藤、そしてささやかな成長を描くことを重視した作品で、それもどちらかというと内省的というか、シリアスな表現で描かれている感じなので、大衆娯楽小説というより、純文学というほうが相応しいと感じます。

 作品が発表されたのは1973年ですから、今の感覚からすると、作中の登場人物たちの言動なんかはちょっと理解不能だったりします。現代なら、女子高生が妊娠したぐらいでここまでの騒ぎにはならないでしょうし、また、この時代は学園紛争の名残みたいなのが少しあって、若者には政治や思想に対する興味があったようで、今の高校生ならまず分からないような会話をしていたりします。
 その一方で、恋に悩む若者たちや、後輩や捜査対象の高校生とのジェネレーション・ギャップに戸惑う刑事なども描かれていて、時代を経ても、人間の本質的なところはあまり変わらないのだという感じもします。昔の作品を読む意義というのは、こういった時代や流行に関わらない、人間の“素”を再認識できるあたりにあるのかもしれないですね。

 ところで、本作を読んでいて感じたことですが、法月綸太郎のデビュー作『密閉教室』は本作の影響を強く受けているような気がしました。『密閉教室』はだいぶ以前に読んで、そのときはイマイチな印象だったのですが、本作の影響も踏まえて読み直してみると、あるいは印象が改まることもあるかもしれません。機会があれば、読み直してみようかな。
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comments(0)|trackback(1)|読書|2012-06-19_23:18|page top

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まとめtyaiました【小説『アルキメデスは手を汚さない』小峰元】
 有名な作品です。作品の内容も作者のこともまるで知らないけれど、タイトルだけは聞いたことがあるという人は、僕意外にも多いんじゃないかな。アルキメデスは手を汚さない (講談社文庫)小峰 元 講談社 2006-09-16売り上げランキング : 310545Amazonで詳しく見る by G-...

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
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