闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『鬱』花村萬月

 花村萬月という小説家には前からなんとなく興味はあったのですが、読むのは初めて。今回、花村ファンであるというある知人が「いちばんお勧め」と言って貸してくれた本書は、ある意味では予想通り、予測不能な異形の作品でした。
鬱 (双葉文庫)鬱 (双葉文庫)
花村 萬月

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 小説家志望のフリーター舞浜響。小説を書くということは倫理を作り上げることだと考える彼は、倫理を作りえない同人誌仲間や愚鈍で蒙昧なアルバイト先の従業員たちを軽蔑している。一方、女子高生の平河由美枝は幼い頃から膨大な量の書物に淫し、年齢不相応な知識と観念を身につけているが、自らの抜きん出た性質を恥じ、普段はごく普通の、平凡な女子高生を演じている。あることをきっかけに出会ったふたりの、過剰な自意識と観念が暴走した先に行き着くものとは……。
 
 花村萬月がエロス&バイオレンスの作家だというのはなんとなく知っていたので、しつこいまでのセックス描写に驚く事はありませんでしたが、作品の内容、話の流れ、そして結末は驚かされました。とくに結末は「そこで終わるのか」と。終わってないじゃん、何にもケリがついてないじゃん、という感じで。娯楽作品として読める小説ではなく、もっぱら娯楽小説しか読まない僕としてはなんと批評していいのかわからないところもありますね。
 何か事件が起こるというよりは、主人公ふたりの思索をひたすら描写しつくすという作品。脳内の思考と感情の流れを徹底的に文章化するというのは京極夏彦の作品にやや似ていますが、京極作品があくまでも論理的で、読み手の知的な興奮を喚起する文章なのに対して、本作のそれは気まぐれで利己的で退廃的で暴力的で、理性よりは感情の深い部分に爪を立ててくるような文章です。

 主人公のひとり、舞浜響が脳内でこねくり回す文学論や倫理観は、共感できるかどうかは別として非常に刺激的で、面白いです。人を殺すのは悪いことではない、とか。その意見それ自体にも、その根拠となる“弱者の論理”云々という理屈にも納得は出来るんだけど、それのどこが問題なんだい?と僕は思うけれど。弱者でいいじゃないか。人はみな虚弱な生き物だろう?
 終盤の入り口あたりで、響と由美枝が霊園の石碑の影でセックスするシーンは少し笑えます。腰振りながらあんな難解な会話を出来る人間は、現実にはまずいないでしょうから。

 お話としてはどこにも収まらず、オチもない作品なので読後感はすっきりしませんが、ありきたりな道徳や世間でとりあえず信じられている倫理観を疑い、徹底的に思考し突き詰める作品の姿勢は読み応えがあります。作者自身の倫理観や文学観を反映した作品でもあると思いますが、本作が一個の倫理を確立しえたかといえば、たぶんそこまでは至っていない。まあ、それを目的に書かれた作品なのかは解りませんけどね。
 オチのない作品なので、レビューも落としどころが判らなくなった。なので、ここで終わり。むちゃくちゃや。
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comments(0)|trackback(0)|読書|2012-07-23_02:22|page top

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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