闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

月別アーカイブ

検索フォーム

広告!

ブロとも申請フォーム

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
HP Directplus オンラインストア
comments(-)|trackback(-)|スポンサー広告|--------_--:--|page top

小説『江戸川乱歩傑作選』江戸川乱歩

 日本における探偵小説のパイオニアと言える江戸川乱歩。その初期の短編作品を集めた、傑作短編集。
江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)
江戸川 乱歩

新潮社 1960-12
売り上げランキング : 10524

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 読書量の9割は推理小説というぐらいのミステリフリークのくせして、江戸川乱歩を読んだことがなかった(少年物の『怪人二十面相』は別として)という事実。基本的に古典はほとんど読んでいないので、乱歩に限らず定番的な作家・作品で、読んでいないものは山ほどありますが。本書だって、ある人が貸してくれなければ、読んでなかっただろうなぁ。ちなみに貸してくれたのは、先日の『鬱』を貸してくれたのと同じ人。
 
 「二銭銅貨」…乱歩のデビュー作。暗号解読を主題としたミステリ作品です。南無阿弥陀仏というキーワードを使って、よくこれだけの暗号文を作れたなと感心する。そして本作の中には、紳士盗賊と呼ばれる神出鬼没の大泥棒が登場します。話の本筋に直接関係はしない存在ですが、後の『怪人二十面相』を髣髴とさせるキャラクター。「デビュー作にその作家のすべてが出る」などと言われたりしますが、さもありなん、と思いましたね。

 「D坂の殺人事件」…非常に有名な作品ですね。内容としては、いわゆる「視線の密室」というやつです。本書の解説によれば、なんでも戦前のころは、開放的な日本家屋では密室殺人事件などは書けない、と言われていたそうです。密室を人の視線で構築するというアイディアでその偏見を打破した意欲作ですが、結末はちょっと……拍子抜け?ですが、本作でもSM的性戯への志向がすでに作品の着想の中心的な部分を占めているなど、後の乱歩の作風を予見させるものと言えます。

 「屋根裏の散歩者」…これまた超有名な作品。これだけは、以前に一度読んだことがあります。殺害方法に無理があるとかで、発表当初けっこう批判されたとか、それに対する乱歩の反論みたいなものも、読んだような記憶があります。乱歩の反論内容としては「あくまで小説であり、フィクションなのだから、小説の中でさえつじつまがあっていれば、少々非現実的な、飛躍した描写があってもいいではないか」というようなものだったかと記憶していますが、そのとおりだと思います。また、時には信じられないような偶然が現実に起きることもある。有栖川有栖「雪華楼殺人事件」(『絶叫城殺人事件』収録)のように。

 「芋虫」…これはミステリではありません。一種の恐怖小説、としか言いようがない。終戦直後、という時代でなければ書かれ得なかったであろう作品でもあります。しかし、そこで描かれる光景の異様さ、おぞましいけれどどこか幻想的で、やけに絵になる、なってしまう感じ――。江戸川乱歩という小説家の想像力と文章力に感嘆せずにいられません。

 このほか、「二癈人」「心理試験」「赤い部屋」「人間椅子」「鏡地獄」を加えた計9編を収録。本書を通して解ったことは、乱歩は探偵小説の巨頭というイメージだったけれど、実際のところ、怪奇・恐怖小説や心理サスペンスの方面でも絶大な功績を残したのだということ。もっとも何かで読んだことによれば、乱歩自身は本格探偵小説への志向が強かったにもかかわらず、天性のストーリーテラーの才能が邪魔して“ただの探偵小説家”ではいられないということに、非常に悩んでいたんだとか。
 推理物として読むと、「D坂」にしろ「屋根裏」にしろ、かならずしも謎解きのロジックや物証の提示に重きを置いているようには見えず、いわゆる“ノックスの十戒”や“ヴァン・ダインの二十則”を忠実に守っているという印象ではありません。「屋根裏」や「心理試験」が倒叙形式で書かれていることを見ても、やはり乱歩は犯罪者の心理のような、陳腐な表現ですが人間の心の闇のようなものを描きたいという思いが強かったのではないでしょうか。
人間椅子 (江戸川乱歩文庫)人間椅子 (江戸川乱歩文庫)
江戸川 乱歩

春陽堂書店 1987-06
売り上げランキング : 97002

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

屋根裏の散歩者 (江戸川乱歩文庫)屋根裏の散歩者 (江戸川乱歩文庫)
江戸川 乱歩

春陽堂書店 1987-06
売り上げランキング : 125696

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

D坂の殺人事件 [DVD]D坂の殺人事件 [DVD]
江戸川乱歩

東映ビデオ 2007-01-21
売り上げランキング : 18235

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

スポンサーサイト

Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

HP Directplus オンラインストア
comments(0)|trackback(0)|読書|2012-08-12_21:50|page top

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

tamacat

Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

参加ランキング

クリック感謝!

NetShop

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。