闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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映画『悪の教典』

 貴志祐介の人気小説を映画化した話題作&問題作。普段は生徒からも同僚からも慕われる教師の鑑、しかしその実、良心や他者への共感を一切持たないサイコパスという人物が、学校を血まみれの地獄絵図に塗り替える。
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 都内の高校に勤める英語教師・蓮実聖司。爽やかな外見と明るい性格に加え、勤務態度も熱心。生徒たちからは「ハスミン」の愛称で親しまれ、同僚教師たちからの信頼も厚い。定期考査で一部の生徒が、携帯電話を使った集団カンニングをしている疑いがあることに対し、蓮実は妨害電波を使って携帯を使用不可能にする方法を職員会議で提案する。電波法に抵触する恐れがあるとしてその提案はボツになるが、中間テスト当日、生徒たちの携帯は軒並み圏外となり、カンニングは失敗に終わる。カンニングを主導した2年1組の早水圭介は、担任でアマチュア無線部顧問の釣井が妨害電波を使ったんだろうと考えるが、釣井は「妨害電波を出したのは俺じゃない」と言う。あるとき、蓮実のクラスの女子生徒、梨奈の家で火災が起き、梨奈の父親が死亡する事件が起きた。梨奈の父親は娘がいじめられているといっては学校に頻繁に怒鳴り込んでくる、いわゆるモンスターペアレンツだった。出火原因に不審点があり、捜査のために学校に来た刑事たちに、釣井が話しかける。「蓮実先生は以前、都立北原高校にいたんですよ」。北原高校ではかつて、四人の生徒が連鎖的に自殺するという出来事があった。蓮実の周辺では、それ以外にも不審な自殺や事故死が相ついでいることを、釣井は掴んでいた。完璧で理想的な教師という蓮実の虚像が徐々に剥がれ落ちていく。自身の立場が悪化していることを悟った蓮実は問題を解消するために、学園祭の製作のために夜の学校に残った生徒たちを一人残らず皆殺しにするという凶行に打って出る!

 映画『悪の教典』公式サイト
 


 原作は未読です。貴志祐介氏は『硝子のハンマー』の印象があまり良くなかったので、本作の原作もさほど興味は感じなかったのですが、映画は予告編の印象がなかなか強烈だったことと、そして作中で描かれているサイコパス(反社会性人格障害)の姿に興味を惹かれたので、見ることにしました。

 サイコパスとは何か?(こちらのサイト参照)についてですが、簡単に言うと「良心がない人」ということのようです。もう少し厳密に言うと、共感能力がない、つまり他人の気持ちを察したり、相手を思いやったりすることができない人間。なので他人を利用したり、他人の権利を踏みにじったりすることに何の罪悪感もなく、自分を利するためならどんな非道い行いも平気でできてしまう。そういう人をサイコパスと言うようです。
 良心がない人などいるのかと思う人もおられるでしょうが、最近ニュースを騒がせている尼崎の連続死体遺棄事件、あれの主犯格なんて間違いなくサイコパスでしょう。欧米では人口の約4%がサイコパスだという研究もあるそうです。もちろんサイコパスだからといってすべての人が犯罪者になるわけではなく、上手く社会に順応して溶け込んでいるものも少なくないようです。

 で、映画の感想なんですが、かなり面白いです。AKB48の大島優子がこの映画を観て号泣した挙句、「私はこの映画が嫌い」と言い捨てたという報道もあったので、観る前はもっと悪趣味な映画かと思っていたのですが、そんなこともなく。もちろん大量虐殺が描かれるわけですから趣味がいい訳でもないですが、暴力や殺人をことさら茶化したり、戯画化するような下世話さはない。なので、観ていて嫌な気持ちになることは全くと言っていいほどなかったです(ところで大島優子の発言に関してですが、僕はいいと思いますよ。好き嫌いは人それぞれです。「プロ失格」との批判もありますが、大人の都合に塗り固められたこすい予定調和をぶっ壊す直言、僕は格好いいと思います)。
 本作のエンドロールを見ていたら〈脚本 三池崇史〉とあって驚きました。三池監督って脚本も書く人だったんだ。しかも他の脚本家との共同脚本ではなく、一人でクレジットされている。それだけこの作品に、監督自身も気合を入れて臨んだということでしょうね。そしてこの映画を観て、三池崇史監督って優秀な映画監督なんだなと改めて感じました。
 原作は未読なので、上下二巻ある原作小説をどのように映画向けに再構築していったのかは不明ですが、この映画だけを見ても、学園ものの常として登場人物は非常に多いし、蓮実の過去や彼が周囲の人々を陥れるために巡らす策略の内容など、観客に伝えなくてはならない情報は非常に多い。この映画はそれら情報がほとんど不足なく提示され、それでいて混乱したり、解りにくくなるようなところがほとんどない。すごいことだと思います。さすがに生徒たち全員の顔は覚え切れませんが。
 また「学校」や「思春期の少年たち」と、その中での「殺戮」といったキーワードを取り出せば、『バトル・ロワイアル』や『アナザー』に似た雰囲気のある映画ですが、それらの作品と比べても本作ははるかに優秀というか、よくできていると感じます。殺し合いという極限状況でのサスペンス、暴力や命を奪うという行為の恐ろしさや理不尽さ、生き残ろうとするものたちの生への執着なども強く伝わってくるし、蓮実の行為は「一人殺すのは殺人者だが、百万人殺せば英雄」という有名な台詞を思い起こさせ、彼の存在が社会に投げかけるメッセージも軽視できないものだと感じます。

 じつはこの映画の中で「サイコパス」という言葉はほとんど使われておらず、蓮実が本当にサイコパスなのかどうかもはっきりと示されてはいません。ただ、サイコパスかどうかということは別にしても、世の中には想像を絶する悪い奴がいるということを、僕らは知っておいたほうがいいでしょう。たぶん、尼崎の事件で被害にあったのは、そういうことを知らなかった人たちだから。先に書いたように人口の約4%=25人に一人がサイコパスなのだとしたら、良心とか他者への思いやりを持っていない人というのは、考えているよりずっと多い。きっと多くの人は、もう出会っているはずです。何かのきっかけで彼らに標的にされてしまわないように、心構えは必要でしょう。この映画は、そんな心構えをするきっかけになる……とはいい難いのがちょっと残念だけど、絶対的な悪を描きながら、非常に胸のすくエンターテインメントとして仕上がっている。一見の価値アリです。
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お、話題作を観たね
強いメッセージや作者が何を伝えたいのか、制作者の心まで伝わってくるような映画は勿論名作です。
でも個人的には、それこそ『バトロワ』みたいな無茶苦茶な話だって、面白けりゃいいじゃんというスタンスです。だから今回の騒動に関する彼女の発言は、“個人的に”嫌いという部分をもっと強調していた方が良かったと思いますね。個人が映画を通して何を読み取るかはそれぞれなので、あくまでも自分の意見だと押していたら、このような騒動にはならなかったのではないかな。まあ国民的アイドルの発言なのでいかように言い繕おうと批判はされるでしょうが。
だってガチで嫌いなんだもの by優子(/_ /)-o_
>>峰川幸介三世さま。
大島優子がこの映画を“プライベートで”見て、“個人的な”感想として嫌いと言ったのなら、ここまで大事にはならなかったでしょう。非難されるのは、彼女が“仕事で”この映画を見ていたからで、仕事である以上、映画に対して好意的なコメントをするのがプロとしての義務だというわけです。
イベントの趣旨としては、国民的アイドルのAKBに映画を見てもらって「とても面白い映画です」「ぜひ多くの人に見て欲しい」みたいなことを言わせたかったわけで、その筋書きを台無しにしてしまったのは事実。だけど結果的にはいい宣伝になったんだから、イベント主催者はしめたと思ってるはずですけどね。

やっぱりAKBには筋書きや予定調和より、ガチが似合う。おあとがよろしいようで。

プロフィール

tamacat

Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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