闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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映画『脳男』

 第46回江戸川乱歩賞を受賞した傑作ミステリーを映画化。ずば抜けた知能と身体能力を持つが、人間的な感情を持たない“脳男”が、凶悪な犯罪者に制裁を下していくサスペンス・アクション。
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 ある日、駅前のバスターミナルで発車直後のバスが爆発・炎上する事件が発生。最近世間を騒がせている連続爆破事件と同一犯による犯行だった。鑑識の黒田の分析により、一連の事件で用いられた爆弾の製造にきわめて特殊な工具が使われていたことが判明。その流通ルートから犯人のアジトを特定した刑事の茶屋は、後輩刑事の広野とともに犯人逮捕に向かい、そこで何者かが争う物音と女の叫び声を耳にする。そして二人がアジトに踏み込んだ瞬間、中で爆弾が爆発。茶屋が目にしたのは、粉塵の中にたたずむ一人の男だった。
 連続爆破事件の犯人として逮捕された男の名は、自称・鈴木一郎。警察の取調べに対し、事件に関係ないことは話すが、事件については黙秘を貫く彼が、ある日問題を起こす。留置所内で別の被疑者に襲い掛かり、相手の目を抉り取ったのだ。この出来事を受け、警察は一郎に精神鑑定を受けさせることを決定。茶屋はバスターミナルで起きた爆破事件の目撃者でもある、愛宕医療センターの鷲谷真梨子に鑑定を依頼した。一郎の鑑定結果と行動記録を見た真梨子は、一郎は人間的な感情を持っていないのではという疑惑を抱き、彼の過去を調べ始める……。

 映画『脳男』公式サイト
 


 ミステリフリークを自認しながら、考えてみると乱歩賞受賞作はあんまり読んだことがないです。このblogで感想を書いたのは『焦茶色のパステル』『アルキメデスは手を汚さない』ぐらい。本作『脳男』の原作も、存在は知っていましたが、読んだことも、読もうと思ったこともありませんでした。
 映画を観たのは、予告を観たらミステリというよりサスペンス・アクションっぽい雰囲気で面白そうだったから。特に、主演の生田斗真が演じるアクションシーンを観たいと思いました。

 映画の感想ですが、予告編の印象どおり、ミステリというよりサスペンス・アクションあるいはアクション・スリラーといった味付けで、謎解きよりも、また善悪や人間性を問う哲学的なテーマよりも、アクションシーンと、トラウマを抱える真梨子の葛藤と戦いを描くことを主眼とした映画という印象を受けました。
 近年、日本映画でもスケールの大きなアクション作品が多く作られるようになってきましたが、ストーリーやドラマ部分の演出が雑でアクションシーンだけ浮いていたり、アクション自体に迫力や緊張感が希薄だったりで、成功している作品は非常に少ないと思います。そんな中で、本作は製作者の目線が正しい方向を向いていて、成功した珍しい例ではないでしょうか。
 アクション面では、生田斗真が見せるキレのある鋭い殺陣と、ところどころで挿入される派手な爆破シーンが印象的。特に中盤、一郎が護送車から脱走するシーンでの爆破は、日本映画ではあんまり観たことのないレベルの迫力で、日本のアクション作品も進化したなぁと感じます。
 ストーリー上は特に謎があるわけではなく、“脳男”鈴木一郎の過去についても物語の中盤ぐらいで早々に明らかにされるため、ストーリーの主眼はあくまでも現在進行形の事件=連続爆弾魔との対決ということになります。で、この爆弾魔のキャラクターがなかなか良い。原作とは設定を変え、女性二人組みにしたことが成功しています。この爆弾娘コンビを演じた二階堂ふみと太田莉菜の熱演も見事。映像作品におけるサイコキラーの造形としてはステレオタイプと言えなくもないですが、それでも、特に二階堂ふみなんて撮影当事17歳であれだけの振り切れた芝居ができたのはたいしたものだと思います。
 キャスティングで一つ難癖を付けるとしたら、刑事の茶屋を演じた江口洋介でしょうか。原作の茶屋は、身長190センチ、体重120キロの巨漢という設定で、さすがにそんな俳優は日本にはまずいないと思うので、外見的な部分で原作のイメージ云々というのは言えませんが、昔気質で頑固な刑事という茶屋の雰囲気は、例えば『ダイ・ハード』シリーズのジョン・マクレーンのようなイメージだと思います。その点、江口洋介は格好良すぎるんですね。パーマをあててボサッとさせた髪型なんかも、茶屋のワイルドなキャラクターを表現したかったのでしょうが、江口洋介がやるとすごくスタイリッシュでお洒落な髪型に見えてしまう。また、原作はともかく映画においては、茶屋はあくまでも鈴木一郎、鷲谷真梨子に次ぐ三番手の役どころ。出番の多さでもストーリーの中で果たす役割の重さにしても、江口洋介というスターが演じるには明らかに役不足で、「せっかく江口洋介が出ているのに」と、なんか物足りなく感じてしまいます。

 “脳男”鈴木一郎は、感情がない人間とされています。ですが、感情がない、なんてことがありうるのでしょうか。感情というとなにか崇高で神秘的なもののように思いがちですが、あくまでも脳の神経回路を微弱な電流が流れるのと、シナプスの末端から神経伝達物質が分泌されるという物理的な現象。作中の一郎がエンドルフィンの分泌量が過剰であると言われていたように、ある種の神経伝達物質が過剰だったり欠乏したりした場合、喜怒哀楽のどれかの要素が極端に強かったり逆に欠落したりすることはあるかもしれませんが、感情が全方位的に存在しないというのは、脳が機能している限りは起こりえないのではなかろうか。脳科学者でも精神科医でもない人間の想像ですが、そんな風に思います。
 本作でも、一郎は本当は感情を持っているのではと思わせるような描写を随所に織り込んでいて、一郎が無機質な殺人マシーンと体温を持った人間のどちらにも見えるようにしています。ラストシーンで一郎が見せた表情は、感情の表出なのか、それとも何かを意図した作為的な表情なのか?

 瀧本智行監督の作品は初めてみましたが、日本映画界では珍しい、普通のエンターテインメントを直球で撮り上げているという印象を受けました。本作は続編が出来そうな終わり方ですし、原作もパートⅡが出ていますから、シリーズ化したものも観てみたいですね。
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こんにちは!
拙ブログにTB賜りましてありがとうございます。
個人的には太田莉菜がインパクト強かったです。
いろいろと設定が未完成な分映画でいじりやすかったのでしょうかね。
アクション!
今まででの映画では有り得ないくらい爆破シーンにはこだわったとか・・・・
俳優さん真っ黒でしたね。
続編期待してます。
爆発!
〉〉愛知女子さま。
コメント&TBありがとうございます。
たしかに、太田莉菜も熱演でしたね。
続編観たいですね。もう原作とはかけ離れちゃってもいいので、 鈴木一郎には 必殺仕事人みたいに活躍してほしいです。
爆破シーンですが、港湾部の工場地帯のような所でロケをすれば、日本映画でも迫力のある画が撮れるみたいですね。そしてそういうロケーションは、東京湾沿岸に沢山あるはず。派手なスペクタクルで魅せる映画が、日本でもっと増えればいいなぁと思います。

プロフィール

tamacat

Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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