闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『犯罪ホロスコープⅡ 三人の女神の問題』法月綸太郎

 星占いに用いられる黄道十二星座をモチーフにした『犯罪ホロスコープ』シリーズ第二弾。十二星座後半の六星座にまつわる事件を、名探偵法月綸太郎が解き明かします。
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 牡羊座~乙女座までをモチーフにした前作『犯罪ホロスコープⅠ』に続いて、天秤座~魚座までの六星座にまつわる事件を描くシリーズ後半。今回も推理の冴える綸太郎ですが、父・貞雄警視との親子漫才も相変わらず楽しい。そして一つ一つの話にもミステリとしての趣向が凝らされた、粒ぞろいの作品集です。
 


 「宿命の交わる城で」…都内で起きた二件の殺人事件。被害者同士につながりはないが、両方の現場から〈正義〉のタロットカードが発見される。しかし一方はウェイト版、もう一方はマルセイユ版という、異なるバージョンのカードだった。このことが何を意味するのか……?
 天秤座編。交換殺人ネタなんですが、それをさらに一ひねりして意外性のある真相を用意した意欲作。犯人側の犯行計画が複雑なのでちょっとわかりにくいですが、バージョン違いのタロットカードという手がかりから真相に肉薄する綸太郎の推理の冴えは見事なもの。個人的には、本書収録作の中でベストに推したい作品です。

 「三人の女神の問題」…十年前に解散した三人組アイドルユニット・トライスター。彼女たちが所属していた事務所の社長が殺された。殺害の実行犯は元ファンクラブ会長の安田。しかし捜査の過程で、事件は安田の単独犯ではなく、トライスターのメンバー3人のうちの誰かの指示を受けて犯行に及んでいた可能性が浮上し……。
 蠍座編。実行犯を明らかにした上で、殺人教唆の黒幕が誰かを推理するという作品。本格推理にはこういう趣向もあるんだなあと、無知な僕には新鮮でした。綸太郎はアイドルにも詳しいということが明らかになりますが、どうも作者自身、かなり詳しいらしい。

 「オーキュロエの死」…担当編集者の南条から、臨床心理士の佐治くるみを紹介された綸太郎。彼女の婚約者である獣医師・須坂厚に殺人の嫌疑がかけられているという。殺されたのは大木裕恵という女性で、須坂にストーカーのように付きまとっていたというのだが……?
 射手座編。オーキュロエ=大木裕恵というのはちょっと無理があるような気もするけど、その名前自体が事件の重要ポイントを暗示しています。ギリシャ神話や星座にまつわる伝説になぞらえるという点では、色んな部分が上手く嵌まっている作品だと思う。実は判りやすいところにあった事件の真相を、作中の探偵だけではなく、読者にとっても完全な盲点にしてしまう筆致が見事。

 「錯乱のシランクス」…九段社から新刊を出版予定の著名な音楽評論家・喜多島が、旅行に出かけるとの置手紙を残して音信不通になった。最近の喜多島はオカルト研究者の堤と親しくしていたというが、その堤は詐欺事件への関与が疑われ、警視庁にマークされている人物で……。
 山羊座編。作者いわく「ダイイング・メッセージ解釈の多義性という問題を、被害者の立場から考察した実験作(?)」なんだとか。ダイイング・メッセージが改ざんされるというのは推理小説の中ではままあるパターンですが、この作品は被害者自身が、自分の書いたメッセージを途中で改変してしまう。やりきれない犯行の動機部分も印象的です。ちなみにオカルト研究者の堤は、このあとの作品でも再登場します。

 「ガニュメデスの骸」…都内のアパートで毛利という男の他殺死体が発見された。毛利は一週間前、著名な経営コンサルタントである三ツ矢瑞代から一千万円を脅し取っていた。そのとき金の受け渡し役を担ったのは瑞代の一人息子・勇真だったが、毛利は勇真に、瑞代への伝言として「あんたの息子は無事だ」と告げたという……?
 水瓶座編。存在しない息子が誘拐されて、身代金が支払われるという話なんですが、ややこしい話で、あらすじをまとめるのに苦労しました。上に書いたあらすじを読んでも、何のことだか解らないですよね。事件の鍵を握る“存在しない息子”の真相というのは、なんだか現実にありそうなことで、最近良く似た話をニュースで見た気もします。今回は推理が冴えるというより、妄想力がほとばしる綸太郎。こういうのも法月シリーズらしいですね

 「引き裂かれた双魚」…美容器具の販売や美容サロンの経営を行う企業グループ「アフロス」。その経営のトップに立つ碓田可南子会長が、25年前に不慮の事故で亡くなった一人息子の生まれ変わりを探しているという。どうやら可南子会長の意向の裏には、オカルト研究家の堤豊秋が関わっているらしいが……。
 魚座編。これはちょっと変わった話で、事件らしい事件はかなり後のほうになるまで起こりません。ミステリとしての主眼は事件の謎解きではなく、息子の生まれ変わりを探そうとする可南子会長の真意探し。綸太郎がその場の思いつきでかますエセ・オカルト理論がいちいち説得力があります。たしかオカルトは嫌いなはずだったんだけどな。個人的にはオカルト風本格推理というのは好きなので、楽しめました。

 以上六編。どの作品も短い中に色々な趣向が凝らされていて、謎解きものとしての切れ味もばっちり。綸太郎と親父さんの親子漫才もユーモアに溢れ、いつ読んでも、法月シリーズの短編は外さないなぁと感心します。遅筆で有名な法月氏ですが、昨年は本書のほかに長編『キングを探せ』が出ていますし、今月には短編集(たぶん)『ノックス・マシン』の発売を控えるなど、珍しくリリースラッシュ。個人的には最近『怪盗グリフィン、絶体絶命』を買ったので、早く読みたいです。
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Theme:推理小説・ミステリー
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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
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