闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『4ページミステリー』蒼井上鷹

 ブラックな毒とユーモアに満ちた短編ミステリの名手・蒼井上鷹氏が、「小説推理」に5年半に渡って連載したものをまとめた、ショートショート・ミステリー集。
4ページミステリー (双葉文庫)4ページミステリー (双葉文庫)
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 わずか4ページのなかに、様々なアイディアと鋭い人間観察眼が凝縮された佳作ぞろいの作品集。その数、全部で60本!ユーモラスなものからいたたまれないものまで、色んな味がありますが、この短さのなかで、起承転結をつけて、小説として読ませるというのは、かなり高い技量が必要なんだろうなぁ。
 


 「最後のメッセージ」…ストーカー被害に悩まされる美人作家のために、恋人が用意したのは彼女に良く似た替え玉。しかしその狙いは別にあって……。
 これは掌編ミステリとしてほぼ完璧な出来。見事、としか言いようがないです。タイトルも、オチも秀逸。

 「ロック・オン」…深夜に帰宅する途中、不審な男の影を感じた彼女は携帯で電話をかけ、男を追い払うために一芝居を打つが……。
 これも見事に騙されてしまった。後になって考えると、この作者が時々使う手ではあるし、落ち着いて読むとヒントもあるのですが、短い作品なので、じっくり考える前に結論に達してしまう。騙されてしまったのはちょっと悔しいけれど。

 「タイトルの由来」…出張帰りの飛行機の中で、担当する新人作家の短編集のタイトルを考える編集者の僕の耳に、近くの席の親子連れの興味深い会話が聞こえてきて……。
 蒼井氏の第二短編集『二枚舌は極楽へ行く』のタイトルが生まれた経緯を小説仕立てで描くという、ちょっとメタな作品。もっともこれが本当にあったことだとは思いませんが、蒼井作品には時々こういうメタ構造が採用されることがあります。

 「堕ちるのは誰?」…警察署の目と鼻の先にあるビルから飛び降りようとしているのは、不祥事で処分された元刑事。その後輩だった刑事が説得を試みるが……。
 全編二人の会話だけで展開される作品。自然な会話(といっても自殺志願者とその説得役との会話ですが)のなかで、状況の説明から先輩の本当の思惑、そして笑えるオチまで淀みなく展開され、作者のストーリーテリングの上手さが光っていると思います。

 「懐かしい思い出」…小学校時代に住んでいた町に、30数年ぶりに訪れた私。6年生のとき同じクラスだったという男に話しかけられるが、その男のことも、男が語る思い出話も、私はまるで思い出せない……。
 これはミステリというより、ややホラー風味の不条理作品。なんだかよくわからないけど不気味という。ただ、人の記憶なんて当てにはならない。僕も、今頃小学校の同級生に会ったとしても、思い出を共有できる自信はないですね。



 印象に残ったものだけ挙げてみましたが、60編もの作品を一度に読めるというのはショートショートならでは。ただやはり一人の作者によるショートショート集は、作品の出来不出来にばらつきが出るのは仕方ないですね。また、じつは本書収録作には、既出作品、つまり著者の既刊作品集(『九杯目には早すぎる』『二枚舌は極楽に行く』)の収録作と被っているものがけっこうあります。その点はやや残念。
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Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

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comments(0)|trackback(0)|読書|2013-06-26_23:23|page top

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
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