闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

カレンダー

08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

月別アーカイブ

検索フォーム

広告!

ブロとも申請フォーム

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
HP Directplus オンラインストア
comments(-)|trackback(-)|スポンサー広告|--------_--:--|page top

小説『無貌伝~双児の子ら~』望月守宮

 第40回メフィスト賞を受賞した、望月守宮氏のデビュー作。孤独な少年と顔を失った探偵が、大財閥の家督争いに絡む連続殺人に挑む。
無貌伝 ~双児の子ら~ (講談社ノベルス)無貌伝 ~双児の子ら~ (講談社ノベルス)
望月 守宮

講談社 2009-01-09
売り上げランキング : 602603

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 “ヒトデナシ”と呼ばれる異形のものが生息する世界――。
 人の顔を奪う能力を持つヒトデナシで、世界でもっとも恐れられている犯罪者、無貌。その無貌の宿敵と言われていた三探偵の一人、秋津承一郎だが、ある事件で無貌に顔を奪われて以来、表舞台から姿を消す。その秋津のもとにやってきた、孤独な少年・古村望は、ひょんなことから秋津の助手として雇われることになる。秋津と望が向かったのは、鉄道王の一族として知られる榎木家。そこで当主の孫である榎木芹を無貌から守るための護衛を勤めるのが仕事だった。しかし二人の滞在中、後継者問題で揺れる榎木家で殺人事件が発生してしまう。探偵でありながら目の前で起きた事件に対して何も動こうとしない秋津に、業を煮やした望は自ら事件の調査に乗り出す。
 


 北山猛邦氏の諸作品を読むにつれて、〈メフィスト賞〉という賞に対してかなり見方が改まったというか、見くびってはいけないという認識を持つようになったのですが、本書もメフィスト賞受賞作。同賞の傾向として、ややライトノベルっぽいというか、ファンタジー的な要素や、ある種〈萌え〉的なテイストを取り入れている作品が多いというイメージがあって、それこそかつて、僕が〈メフィスト賞〉を見くびっていた理由の一つでもあります。北山作品も本作も、そういったイメージに沿った作品ではありますが、どちらも僕の甘い見込みを打ち砕くほど面白かった。こうなっては、メフィスト賞うんぬんというより、ライトノベル全般に対する偏見を改めなければならないでしょう。
 そう、乙一作品などずっと以前から読んでいるくせして、僕はラノベに対して偏見を持っていたんですね。反省せねばなりません。

 昭和初期ぐらいの日本に良くにた架空の国を舞台に、脛に傷持つ者たちが魔性の力を持つ“ヒトデナシ”無貌と対決するという、少年マンガのような設定と世界観。実際この作品はマンガやアニメ化に向いていそうですが、小説としても非常に面白いです。
 “ヒトデナシ”という怪異の存在、顔を奪うという無貌の能力、そして顔を奪われた人物は、その人を以前から知っていた人々から一切認識されない(目にも見えず、声も聞こえない)など、マンガチックで非現実的な設定の数々がありますが、それらの設定が単なる雰囲気付けではなく、すべてが作中で起こる不可解な出来事の謎を解き明かす伏線となっています。この構成力は素晴らしい。
 文章的には多少拙いというか、表現の引き出しの少なさを感じさせる面はありますが、けっして文章自体が下手という感じはしません。主人公である望や秋津探偵の内面を描いた部分は、彼らの孤独や切なさ、純粋さ、熱い正義感などが押し付けがましくなく、それでいてしっかりと表現されていて、感動を呼びます。
 クライマックスの、秋津の仮面に隠された秘密(実際は望が知らなかっただけで、別に秘密ではないのですが)が明らかになるシーンは大迫力で、映像で観たいですね。やっぱりアニメ化に向いてるなぁ。

 デビュー作でありながら明らかに続編を意識した終り方や、詳しくは明かされない秋津の過去話など、今後のシリーズ展開への種があちらこちらに撒かれているところは、多少あざといと気もしますが、この作者の構成力からすればかなり期待が持てそうです。
 非現実的な設定を導入しながら、ミステリとしては大変真っ当なスタイルだった本作。本格ミステリの幅というか、表現にはまだ色んな可能性があるということを気づかせてくれるような作品でもあり、とても気に入りました。続編がけっこう出ているようなので、順次読んでいきたいと思います。
無貌伝 ~夢境ホテルの午睡~ (講談社ノベルス)無貌伝 ~夢境ホテルの午睡~ (講談社ノベルス)
望月 守宮

講談社 2009-10-07
売り上げランキング : 488428

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ダンガンロンパ霧切 1 (星海社FICTIONS)ダンガンロンパ霧切 1 (星海社FICTIONS)
北山 猛邦 小松崎 類

講談社 2013-09-13
売り上げランキング : 1112

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

銃とチョコレート (講談社ノベルス)銃とチョコレート (講談社ノベルス)
乙一

講談社 2013-10-08
売り上げランキング : 37127

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

スポンサーサイト

Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

HP Directplus オンラインストア
comments(2)|trackback(1)|読書|2013-12-01_19:28|page top

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

望月守宮 『無貌伝~双児の子ら~』 感想
無貌伝 ~双児の子ら~ (講談社ノベルス)望月 守宮 講談社 2009-01-09売り上げランキング : 308167Amazonで詳しく見る by G-Tools ----あらすじ---- “ヒトデナシ”という怪異が点在する世界。三大探偵の一人・秋津承一郎は極めて危険なヒトデナシである怪盗・無貌によって“顔”を奪われ、今までの探偵としての強さや自信を失ってしま...

コメントの投稿

非公開コメント

ファンタジーとの融合
この作品群は、キャラクター描写が好きですね。どの人物もどこか憎めない、望だけでなく秋津も良い意味で青臭いと言うか、未完成感が応援したくなります。

推理小説として満点とは言えないですが、なかなかの完成度。そして“人を描く”小説としては優秀だと思います。
無貌シリーズ以外も読みたい。
>峰川幸介三世さま。
毎度どうも。
登場人物が多くて、人物相関図が理解しにくいのが難点ですが、色々な伏線をきれいに回収しているし、冒頭場面と結末の繋がりなども見事に計算された構成で、物語としての魅力は高いですね。

「俺はしぶとく生きていく」という望の青さと、自身の無力さに絶望する秋津の弱さが共振していく過程が魅力的です。

プロフィール

tamacat

Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

参加ランキング

クリック感謝!

NetShop

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。