闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『闇の喇叭』有栖川有栖

 本格ミステリ作家、有栖川有栖による新シリーズ。探偵活動が禁止された世界で、かつて探偵だった両親をもつ少女ソラが、殺人事件の謎に挑む。
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 第二次世界大戦終結後、ソ連に占領された北海道は、後に〈日ノ本共和国〉として独立。本州以南の日本と敵対するようになる。
 それからおよそ65年。海辺の田舎町・奥多岐野で殺人事件が発生する。地元の高校生・空閑純は事件に関心を持つが、父親から、事件の真相を究明しないよう釘を刺される。私的探偵行為は法律で禁止されているのだ。純の両親はかつて、大阪で名の知れた探偵だった。しかし純が13歳のとき、母は一切の連絡を絶ち、行方不明になっていた。一度は事件に関わらないと父に約束した純だったが、親友の母親が容疑者にされかかっていると知り、親友を助けるために事件の解明に乗り出す。
 


 作家アリスでも、学生アリスでもない、有栖川有栖第三のシリーズ、その一作目。
 第二次大戦後、日本は南北に分断されているという設定で、作中で折に触れて説明される戦後の経緯にしても、今の朝鮮半島の状況に近い。主人公たちが暮らしているのは南――北海道を除く日本列島。そこでは色々なことが制限されていて、私立探偵行為もその一つ。探偵という職業は法律で禁止されていて、発覚すれば処罰の対象になる。そういう国を舞台に、探偵の両親を持った女子高生が、田舎町で起きた殺人事件に挑む物語。

 作者の言葉を借りると、“このシリーズは、ミステリというジャンルの幅(レンジ)を広くとり、その端から端まで使って書いています”とのこと。パラレルワールドの日本の設定やそこで暮らす人々の一筋縄ではいかない背景の説明描写が多く、そっちに気をとられますが、事件そのものは意外な犯人に大げさなアリバイトリックと、かなりきちんとミステリしている印象です。よく読めば随所にちゃんと伏線も張ってあり、さすがはロジック・パズラーの第一人者の作だけのことはあります。
 主人公ソラ以外にも視点人物が複数いて、特にソラの親友である二人――有吉景以子と小嶋由之の内面は丁寧に描かれます。繊細な心理描写は学生アリスシリーズなどでも見られましたが、本作はより若い高校生ということで、それでなくてもナイーブな心情を繊細な文章で描いているところも、本作の魅力といえます。

 パラレルな日本の設定や、その中で少女が事件に挑むという構図に、作者のどのような狙いがあるのかははっきりしませんが、なにかしら政治的な意図を感じます。僕なりに足りない頭を捻って考えるに、おそらく作者の中で、現代の日本がだんだん自由が制限され、息苦しい国になりつつあるという危機感があるのではないでしょうか。
 有栖川有栖という人は心優しい人だとは思いますが、ある面では極めて理想主義者でもあるので、その意見には、人をひきつけるきらめきがある一方で、相容れないものをばさりと斬ってしまうような鋭さも感じます。本作に始まるシリーズで、少女探偵ソラの戦いを通して、いったいどんな理想や希望、救済が描かれるのか――。有栖川ファンとして、大いに注視していきたいところです。
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Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

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comments(0)|trackback(0)|読書|2014-06-16_03:43|page top

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