闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『無貌伝~夢境ホテルの午睡~』望月守宮

 ヒトデナシという怪異が存在する世界で、探偵・秋津承一郎と助手・古村望の活躍を描くシリーズ第二弾。ホテルが見る夢の世界で起きた殺人事件の真相とは……?
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 藤京郊外の高級ホテル・夏原ホテル。このホテルは一年に一度、八月の最後の日曜日に、ヒトデナシの力で夢の世界――別名・「夢境ホテル」を創造する。この夏原ホテルに、長靴の会長の呼びかけで三探偵全員が集められた。三探偵の宿敵・無貌が捕まったというのだ。様々な事情を考慮し、無貌は夏原ホテルの夢の世界の中で暗殺されることになった。しかし夢の世界で殺人事件が発生。探偵助手の古村望は、夢の世界に来られなかった秋津に代わり事件を解決しようとするが、夢の世界を行き交う様々な思惑と、三十年前の殺人事件の謎が望の行く手を阻む。
 


 本の帯に「悪夢のように面白い。」という西尾維新氏の賛辞が書かれた『無貌伝』シリーズ二作目。前作の事件から約二ヵ月後の物語です。
 前作では“人の顔を奪う”という無貌の能力が、推理小説二しての謎解き部分に密接に結びついていましたが、同一シリーズで同じ手は二度使えない。と、いうことで本作は、推理小説としては前作とはだいぶ違ったものになっています。舞台設定も“家督相続争いに揺れる資産家一族”という推理小説の古典的なモデルだった前作と比べ、本作は“ホテルが見る夢の中”という、ほとんどSFかファンタジーの世界になっていて、実際作中で描かれる夢の世界の情景もきわめて幻想的でファンタジック(特に、月が主役の夢の月曜日はロマンチック!)なので、作品全体の印象はミステリというよりはファンタジーの印象が強いかもしれません。
 とはいえ、三十年前の連続殺人を含めて、作中で起こる一見無関係にも見える様々な出来事が、じつは繋がりを持ったひと纏まりの出来事だったということを、様々な伏線を見事に回収しながら解き明かしていく終盤の“ダンスパーティ”は秀逸。バラバラに散らばったパズルのピースが見事に大きな絵になる手際は、本作がまぎれもなく優れたミステリであることの証明です。

 ただ、かなり登場人物の数が多く、そのすべての動きが望や秋津に見えているわけでもないので、部分的には「この人は必要?」と思ってしまう場面も。ただ、おそらくこの計算高い作者のこと、シリーズの今後に向けた伏線的な意味合いがあるのかもしれません。本作の作中、唯一最後まで意味が解らなかった「挿話五」も、今後への伏線?

 本作から、秋津以外の三探偵のメンバーが顔を見せますが、その中の一人、近松独善が本作ではもう一人の主役級に描かれています。彼の抱える暗い過去や孤独、そして純粋さゆえの苦悩……。無貌の策略によって彼が窮地に追いやられるクライマックスは、本作最大の読みどころ。前作にも登場した中央警察の井之上刑事も、本作では近松と多く行動をともにし、大活躍します。秋津の妻・遥とその友人・岬も含め、シリーズキャラクターの人物像が作品を追って徐々に深められていっているところも、好感が持てます。

 本作のラストでは探偵・秋津が完全復活を遂げましたが、シリーズの続編は以外にも本作の続きではなく、時系列を大きく遡って秋津と遥、そして無貌の出会いが描かれるそうです。つくづく、この作者は読者の気を持たせるのが上手い。固い絆で結ばれた秋津と遥のラブストーリーの行方もとても気になるところです。次回作以降も、期待して読んでいきたいと思います。
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Theme:推理小説・ミステリー
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comments(2)|trackback(1)|読書|2014-02-10_00:34|page top

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望月守宮 『夢境ホテルの午睡』 ~午睡とは昼寝をする事~
無貌伝 ~夢境ホテルの午睡~ (講談社ノベルス)望月 守宮 講談社 2009-10-07売り上げランキング : 513340Amazonで詳しく見る by G-Tools ----あらすじ---- 望が秋津の助手となってから数ヶ月。三探偵が一堂に会するホテルに赴く事になった三探偵の一人・秋津、その助手・望、秋津探偵事務所のビル管理人の孫娘・純、秋津の妻・遥、...

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挿話五って何だっけ??
蒐集者とかもいたよね。確かに登場人物が多く、途中は群像劇の様な印象。ただ、ほとんどの人物はきちんと繋がるので、ファンタジーとしての面白さと、ミステリとしての緻密さは、第一作と同様完成度が高い。三十年前の殺人に関しては、時間の流れ云々についても伏線を張っておいた方が良かったのかな、とは思いますが。

第三作は番外編的作品。作者はお気に入りだそう。でも私は他と比べるとちょっと微妙だったりする。。。とは言え、秋津と遥の過去が分かる大切な作品。是非ご一読あれ。
>>峰川幸介三世さま。
毎度どうも。
これだけ登場人物が多くて、伏線が多いストーリーを見事にまとめたなという印象です。時間の流れに関しては、伏線もそうですが、具体的に夢の世界の一週間が、現実世界の何時間に当たるのか、明確な設定があったほうがよかったですね。

第三弾は秋津の過去話で、第四弾は連作短編集だとか。この構成、作者がいつから構想してたのかわかりませんが、じつにニクイ構成ですね。読む前から楽しみです。

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Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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