闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『七回死んだ男』西沢保彦

 西澤保彦という作家は、我孫子武丸がやたら賞賛していたりするのでいつか読んでみたいと思っていました。作品はけっこうあるけれど、いちばん有名なのはやはりこれでしょう。タイトルもインパクト大。
七回死んだ男 (講談社文庫)七回死んだ男 (講談社文庫)
西澤 保彦

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 久太郎少年は、同じ一日が九週繰り返されてしまうという奇妙な「反復落とし穴」現象に、月に何度も落ちてしまう「特異体質」の持ち主。新年のあいさつのために訪れた祖父の家で、久太郎少年は、祖父が何者かに殺されるという事件に遭遇して愕然とする。そんなことが起こるはずがない。なぜならそのとき、久太郎少年は「反復落とし穴」に落ちており、祖父が殺されたのはその二週目のこと。最初の周回では、そんなことは起こらなかったのだから……。
 
 同じ一日を何度も繰り返す、という設定はさほど珍しくないらしいですが、それを本格ミステリーに導入し、その設定が存在する世界の中で本格的ロジックパズラーを成立させる、ということを成し遂げた力作。ここで重要なのは、SF的設定のルールをきちんと明確にした上で、そのルールを決して破らず、ルールの中で論理的に謎を解決すること。我孫子武丸は、この「ルールを明確にすること」の重要性を強調して、それができているという点で西澤保彦を評価しているようです。

 すごいと思うのは、一度起きてしまった殺人事件を、探偵が過去にさかのぼってなかったことにしてしまえること。死んだ人も死ななかったことにできる。これは普通の推理小説ではありえないです。普通の推理小説だと、最初の事件を受けて探偵が推理を始めますが、探偵の必死の努力にもかかわらず惨劇は進行してしまいます。この歯がゆさこそが推理小説を読む楽しみだと僕なんかは思っていたりもするのですが、とはいえやはり、人が死ぬより死なないほうが優しいし、助けられる命があるなら、たとえフィクションの中でも助けてあげたいと思うのが人情でもあります。そういう意味で、死ぬはずの人間を死なないようにでき、事件そのものもなかったことにしてしまえるというのは、誰も悲しまない、すごく平和的な解決のように見えます。
 でも一方で、「反復落とし穴」の二週目から八週目まで、都合七回も祖父が死に、そのたびに久太郎の家族や親戚たちが見せる本音とか素の人間性とかというのは、すごくドロドロしていて、ある面、祖父の死以上に悲しくて居心地の悪い感じだったりします。そういうものを冗談めかしたようなやけに軽い文体で描いているので、毒々しいブラックユーモアに満ちた、奇妙な雰囲気の漂う作品でもあります。

 初めて読む作家でしたが、文章中に句点(、)が非常に少ないという特徴があり、最初は戸惑いました。慣れれば別に、読みにくさとかはなかったですけど。作品の出来のよさ、謎解きとしての完成度という点では不満はないですけど、前述のように、深刻なことやえげつないことも冗談めかしたように書いてしまう軽さや、キャラクター描写のどことなくマンガっぽいところなどは、個人的にはあまり性に合わなかったかな、という気もします。これはあくまで僕の好みであって、人によっていろいろな読み方があると思いますが。
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Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

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comments(0)|trackback(0)|読書|2008-01-09_02:54|page top

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
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