闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

月別アーカイブ

検索フォーム

広告!

ブロとも申請フォーム

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
HP Directplus オンラインストア
comments(-)|trackback(-)|スポンサー広告|--------_--:--|page top

小説『暗闇の囁き』綾辻行人

 綾辻行人の『囁き』シリーズ第二弾。
暗闇の囁き (講談社文庫)暗闇の囁き (講談社文庫)
綾辻 行人

講談社 1998-06
売り上げランキング : 96738
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 『館』に代表される、叙述トリックを駆使した本格推理で有名な綾辻さんですが、推理よりも“心理的な恐怖”を前面に出した、サイコサスペンスも、彼のもうひとつの持ち味です。なかでもこの『暗闇の囁き』は、解説の巽昌章氏をして、「綾辻行人の代表作」と言わしめています。その解説文を引用するなら、「(前略)小さなスケールの中に、この作者の特徴が、最も目の詰んだ、繊細でバランスの良い姿で集約されているのである」ということになります。
 
 《序章》からして衝撃的な展開から始まりますが、これは単なるネタフリ(でもじつはこれ、『殺人鬼』と繋がっているのだ)。本編は、一見のどかな湖畔の森の景色の中で、純真無垢でどこか浮世離れした美少年を中心とした、美しくも悲しく残酷な物語が展開されます。
 綾辻さんは「記憶」、それも思い出せそうで思い出せない遠い記憶を描くのが好きで、この『暗闇の囁き』もそれが事件の重要な鍵を握っています。子供のころ、誰もが経験したであろう空想の遊び。そんな邪気のない遊びが、純真な子供の将来を大きく狂わせてしまう悲劇。そして、そんなことは遠い昔のこととして、すっかり忘れてしまったころに、自分の蒔いた不幸の種が、大きく花開く場面に出くわしてしまう皮肉。
 『館』シリーズほど謎解き要素は強くないですが、それでもこの『暗闇の囁き』は、前作『緋色の囁き』と比べると、謎解き要素もあります。手がかりや伏線もある程度ちゃんとしているし、“フーダニット”や“ホワイダニット”を読者が推理することも可能な構成になっています。

 とはいえ、やはり『囁き』シリーズは謎解きよりも、心理的な恐怖を煽る独特な文章描写と、丁寧に構築された世界観の中で儚くも美しく描き出される、ストーリーや登場人物たちの心理の移り変わりを味わうのが醍醐味でしょう。
 推理もののなかでは収まりきらない、綾辻行人のもうひとつの才能、それを濃厚に反映しているのが『囁き』シリーズ。その中でもこの『暗闇の囁き』は、「記憶」へのこだわりや特徴的な心理描写に、作者本来の推理小説の魅力が絶妙なバランスで混ざり合った、読み甲斐のある秀作と言えるでしょう。
緋色の囁き (講談社文庫)緋色の囁き (講談社文庫)
綾辻 行人

講談社 1997-11
売り上げランキング : 76415
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

黄昏の囁き (講談社文庫)黄昏の囁き (講談社文庫)
綾辻 行人

講談社 2001-05
売り上げランキング : 95170
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

スポンサーサイト

Theme:推理小説・ミステリー
Genre:本・雑誌

HP Directplus オンラインストア
comments(0)|trackback(0)|読書|2008-01-17_23:19|page top

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

tamacat

Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

参加ランキング

クリック感謝!

NetShop

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。