闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『夏と花火と私の死体』乙一

 乙一。ずっと前から意識はしていたが、読んだことのなかった作家。この作家の作品を、ようやく読みました。
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 小野不由美氏による文庫解説では、この作品を読んだミステリー作家の我孫子武丸、法月綸太郎両氏がいかに衝撃を受け、この作品のすごさを熱く語ったかが紹介されています。我孫子氏はその後、乙一作品の熱心な布教者になったようで、乙一氏は我孫子氏の著作『少年たちの四季』文庫解説で、そのことへの感謝を述べていたり。

 乙一オフィシャルウェブサイト『Web Otsuichi』
 
 「夏と花火と私の死体」…ある夏の日、ふとしたきっかけから友達を殺してしまった少女。罪の発覚を恐れた少女に、兄が救いの手を差し伸べる。二人は必死で死体を隠そうとするのだが……。
 この作品のすごさを、言葉で説明するのは非常に難しいです。僕ごときがつたない言葉で説明するぐらいなら、作品を読んでもらったほうが早い。短いし、読みやすい作品だから。
 ですが、我孫子氏らも驚嘆しているように、16歳でこれほどの作品をものにしているというその早熟ぶりは驚異的。サスペンスを盛り上げる絶妙な描写力、一ミリの無駄もない完璧な構成力。「短い」のは無駄がないからで、「足りない」からではないんですね。本当に必要なことはすべて書かれていて、それでいて無駄なところは何ひとつない。だから淡々とした描写が異様な異物感を持って、恐怖を感じさせたりもします。

 「優子」…鳥越家の使用人として働く清音には、気になることがあった。主人である政義の妻、優子の姿を一度も見たことがないのだ……。
 じつを言うと「夏と花火と…」よりも好きかも知れない作品。他の人の感想を読むとけっこう誤解されているような気がするんですが、真相は闇の中、なんですよね。優子は生きているのか、死んでいるのか、幻を見ているのは清音なのか、政義なのか。どちらとも取れるように書かれていると思います。不気味な空気の醸し出し方が抜群に上手く、クライマックスの炎上のイメージ喚起力がすごい。

 わずか二編ですが、乙一氏の類稀なる才能の片鱗を感じるには充分な作品です。乙一作品は、とにかく雰囲気が絶品。スッと作品世界に入り込める繊細で透明感のある文章。その文章で、心にさざ波を立てるような異様な物語が綴られるから、恐さも不気味さもえげつなさも、不思議とろ過されたピュアな読後感を残します。そんな不思議な透明感が、乙一作品の魅力。当初はホラー・サスペンス系の作品が多かったイメージですが、最近は明るいファンタジーやストレートに泣ける話も増えてきてるみたい。本名の安達寛高名義で映画監督や脚本も手がけるなど、幅を広げています。脚本家としては、意外とメジャーな作品も手がけていてビックリ。
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comments(2)|trackback(6)|読書|2008-03-07_00:25|page top

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先日は、ありがとうございました。
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トラックバックお待ちしていますね。
コメント御礼
>>藍色さま。
またまたコメント、ありがとうございます。
この『夏と花火と私の死体』はまったく不思議な作品でしたね。
死体の「私」が語るという不思議さ、妙に残酷な子供たち、
不気味なラスト。
強烈な毒を含みながら、サラリと読ませてしまう不思議な透明感は、
乙一作品のオリジナリティだと思います。

プロフィール

tamacat

Author:tamacat
行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
でもその“理”を支えているのは、実はすべて直感と思い込みだったりもする。そういう人。

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