小説『雪密室』

 “推理作家”法月綸太郎にとっては第二作、“名探偵”法月綸太郎としては第一作。作者と同名の名探偵とその父親のコンビが活躍する、シリーズの第一弾です。
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 鍵のかかった離れで女が殺された。周囲には雪が積もっており、雪の上には発見者の足跡しか残されていない。犯人はいかにして、足跡を残さずに現場を立ち去ったのか。
 …という、密室ものとしてはよくある題材に、名探偵・法月綸太郎が挑みます。


 
 最近、綾辻行人『十角館の殺人』や我孫子武丸『8の殺人』など、「新本格」の初期作品が《新装版》として再発売されていますね。法月綸太郎のデビュー作『密閉教室』も例に漏れずですが、個人的には『密閉教室』、あんまり好きじゃないです。高校生の登場人物たちが、およそ高校生のそれとは思えない会話を繰り広げてるところとかが、どうにも受け入れがたくて。この『雪密室』も、読む前は「どうなんだろう……?」と思っていたのですが、意外にこれ、けっこう好きです。

 「推理小説として」という観点から見れば、さして上出来といえる作品ではないです。トリックもたいしたことないし(見破れなかったけど)、犯人特定のプロセスも、なんだかなぁ、な感じです。じゃあどの辺が気に入ったのかといえば、それはキャラクターです。特に物語の語り部的な役割を担う、法月貞雄警視のキャラクターが、個人的に気に入っています。
 かつては将来を嘱望されたエリート警官だったが、いまはその出世コースからは外れてしまっている。25年前に妻を亡くし、その痛みをずっと引きずっている。推理作家として名が売れ始め、また時には“名探偵”として、自分の仕事に役立ってくれたりもする息子を誇りに思っている。そんな法月警視が、事件を「自殺」として処理しようとする地元警察と戦い、個人的に因縁のある、さる大物代議士と戦い……。この法月警視の「戦う中年オヤジ」ぶりがなんともカッコよく見えて、非常に好印象でした。

 『密閉教室』を読んだときには、「自分には合わないかも」なんて思った法月作品ですが、この『雪密室』は、謎解きやトリックはいまいちでしたが、法月親子というキャラクターはとても魅力的で、シリーズの続きも読んでみたいという気にさせられましたね。あぁ、また読むべき作家がふえちゃったなぁ。
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テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌

02 : 47 : 17 | 読書 | TB(0) | Comment(0) | UP↑

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