映画『僕の彼女はサイボーグ』
2008/06/06 ( Fri )
監督・脚本を『猟奇的な彼女』のクァク・ジェヨン監督が務めた日本映画。キャストはオール日本人で、撮影も日本だけど、韓国人監督ならではのセンスがそこかしこに発揮されている(と思われる)、ちょっと変わったSFラブファンタジー。
観る前はね、さほど期待してなかったんです。韓国映画には興味ないし、クァク・ジェヨン監督の以前の作品も観ていない。まあ、スケールのでかい大作らしいから、日本映画のエンタメ化を願う者としては一応観ておくか、というぐらいだったんだけど。綾瀬はるかがサイボーグ役ってのも、どうやねん?って感じだったけど、観てみたらこれが意外や、間違いなく綾瀬はるかで持っている、そんな映画でしたね。
映画『僕の彼女はサイボーグ』公式サイト
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観る前はね、さほど期待してなかったんです。韓国映画には興味ないし、クァク・ジェヨン監督の以前の作品も観ていない。まあ、スケールのでかい大作らしいから、日本映画のエンタメ化を願う者としては一応観ておくか、というぐらいだったんだけど。綾瀬はるかがサイボーグ役ってのも、どうやねん?って感じだったけど、観てみたらこれが意外や、間違いなく綾瀬はるかで持っている、そんな映画でしたね。
映画『僕の彼女はサイボーグ』公式サイト
SFとして観るか、ラブストーリーとして観るか。この映画の肝は、そこだと思います。
SFとして観ると、けっこう危うい映画です。なにより、細かいSF設定がちゃんと詰められていないのがまずい。サイボーグである“彼女”の能力とか、正しい使用方法(?)みたいなものがよくわからない。たとえば“彼女”は食事や睡眠が必要なのかとか、酒を飲んで酔っぱらうシーンがあるけど、電子頭脳がアルコールの影響を受けるなんていかがなものか、とか(でも、綾瀬はるかの「酔ったサイボーグ」っぷりは抜群にかわいい)。ジローの子供時代にタイムスリップするシーンも、相当におかしい。ジローは2008年時点で21歳だから、子供時代といえば1990年代前半。いくら田舎の町とはいえ、当時の日本があんなに「ALWAYS」してるわけがないでしょう。それにタイムパラドックスへの解釈がちゃんとしてないから、このシーンでは「絶対に誰とも口を利いては駄目」と言っておきながら、そもそも“彼女”自身が、過去を変えるために存在してるという矛盾が全く説明できません。
最初のうちこそ無機質で機械的な表情の“彼女”だけど、いくつかのシーンを経たあとはもう普通にジローとじゃれあっていたりして、表情も言動も普通の人間の女の子みたいで、ロボット的なのはほんとに最初だけ。だから、“彼女”に感情が芽生えていく、というSF的な面白さは、あんまりない。
でも、ラブストーリーとして観ると、これがけっこう良い。特にクライマックスでは、僕は不覚にも泣きそうになりました。
基本的にカメラは、ジローと“彼女”の2人だけをずっと追いかけているので、観るほうはこの2人のドラマに自然に感情移入してしまうし、とりあえず男目線で見ると、“彼女”がひたすら可愛らしいし、その可愛い“彼女”が徹底的に尽くしてくれるわけだから、“彼女”に惹かれていくジローの気持ちは解りやすいんですね。そしてクライマックスは大地震。崩れ行く街を走る2人。瓦礫の下敷きになった“彼女”が、自らの下半身を引きちぎってまでジローを助けに行くシーンで、僕はアウトでした。それにしても、下半身のなくなった綾瀬はるかの画は、けっこう衝撃的。あの画を撮ってしまった時点で、監督の勝ちですね。
ただ、最後の10〜15分ぐらいのシーンは、ハッキリ言って蛇足。意味が解らないし、ジローの気持ちを考えても、納得しかねます。一応、ファーストシーンの種明かしになってるんですけど、ここでもタイムパラドックスの問題をいい加減に放置しているせいで、いろんなところが繋がらなくなってくる。それに、最後の最後、あそこで“彼女”が出てきちゃうのは、ジローからしたら意味不明でしょう。監督としては、なんとしても“2008年のジロー”を幸せにしてやりたかったからああいう結末にしたんでしょうけど、無理くりだし、観る側としても解りにくいし。61年後のシーンで終わっといたほうが良かったと思いますね。
ちなみにこの映画、設定上の舞台は東京なんですが、メインのロケ地が神戸なんですね。神戸は僕の準地元なので、見覚えのある景色もいろいろ映っていました。クライマックスでは大地震が起きて街が崩壊するわけですけど、その映像を見ていると、どうしてもあの震災を思い出してしまい、ちょっと複雑な気持ちになりましたね。僕自身は震災で直接的な被害を受けたわけではないですが、それでも自分の住んでるところのすぐ近くで起きたことで、他人事ではなかったし。もっと直接的な被災の記憶を持っている人だと、ちょっと見るのが辛い映像かもしれません。
それにしても、韓国映画ってほとんど見たことなかったんだけど、ベタですね。あまりのベタさに、驚きを通り越して、正直あきれてしまいました。他の韓国映画も、みんなああなんですか?だったらすごいなぁ。
一応日本映画なんだけど、良くも悪くも日本映画的ではない映画。日本の映画監督だったら、こんなに好き勝手な映画は撮れないだろうな。そういう意味で、またも日本映画の力不足(というより人材不足か)を痛感させられる映画、だったかもしれません。
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