闘争と逃走の道程

負けっぱなしの人生ですが、いつも「最後に笑うのは僕だ」と、何の根拠もなしに信じています。

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小説『屍蠟の街』我孫子武丸

 我孫子武丸の近未来SFハードボイルド風アクション小説『腐蝕の街』の続編。
屍蝋の街 (双葉文庫)屍蝋の街 (双葉文庫)
我孫子 武丸

双葉社 2002-10
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 時は2025年。前作で、殺人鬼「ドク」の思念を脳内に移植されてしまった刑事、溝口。自らの中に住み着いた殺人鬼の影におびえつつも、今は週二回、精神科医の診察を受けながら社会復帰を目指す日々。ある朝、溝口は自らの記憶と「ドク」の記憶が混濁し始めていることに気づき、愕然とする。
 前作から続いている溝口V.S.「ドク」の戦いが本作で完結します。前作は中途半端な終わり方をしているいので(事件の黒幕、赤坂は逮捕するも、頭の中の「ドク」は消せないまま)、『腐蝕』と『屍蠟』は別々の作品というよりは、ふたつでひとつの作品、その前編と後編、という感じですね。シリーズ第3弾『禁忌の街』が雑誌に連載されていましたが、そちらはおそらく、逃げ延びている赤坂との対決が描かれているのでしょう。

 ハードなアクション&バイオレンス描写もさることながら、このシリーズの最大の読ませどころは、溝口の脳内で展開する、溝口と「ドク」の“意識の戦い”。前作のそれも強烈でしたが、本作ではより映像的・視覚的なイメージで描かれ、ふたりの戦いは次のステージへと向かいます。ふたりの対決がどのような結末を迎えるのかは読んでからのお楽しみですが、たぶんほとんどの読者の想像を超えた結末が待っています。
 主人公・溝口とその相棒・シンバは、前作から半年間の共同生活でだいぶ絆を深めたらしく、ふたりの会話はさながら親子漫才のような雰囲気もあります。いや、堅物で真面目な溝口と、若いだけあって軽快で調子のいいシンバという組み合わせは、映画『48時間』のニック・ノルティとエディ・マーフィのコンビに似ているかも。前作以上に悪役・赤坂の存在感が増す一方、『腐蝕』ではヒロイン的扱いだった片山刑事はやや存在感ダウン。片山の上司で、溝口のよき理解者・支援者でもある永野警視も、出番はほとんど無くなってます。かわりに、天才ハッカーの早川というニューキャラクターが、物語の後半に大きな役割を果たす人物として登場。なかなかにクレイジーな活躍を見せます。

 本作では、赤坂の策略によりネット上の仮想都市“ピット”のなかで溝口とシンバの命に賞金が掛けられたため、現実世界でふたりが命を狙われる、という設定なのですが、この“ピット”は、今でいうとセカンドライフみたいなものでしょうか。そのセカンドライフよりももっと管理やルールがいい加減で、なんでもありの無法地帯と化した空間、それが“ピット”だと、そんな風に考えられます。『屍蝋の街』は1999年に発売された小説ですが、それから9年を経て、近未来SF小説で描かれた世界が現実になってきています。作者の我孫子さんの先見の明を感じるとともに、この作品で描かれたような話が現実に起こるかも知れない、というリアリティも感じさせます。ちょっと恐い。

 それにしても、僕はSF小説にはまったく疎いのですが、日本でこれほどクォリティの高い近未来SF小説って、他にあるんでしょうか?あるんだったら教えてほしいけれど、『腐蝕』の文庫解説でSF映画の金字塔と言われる『ブレードランナー』が引き合いに出されるくらいだから、相当に優れた作品です。我孫子氏は本格ミステリー作家として有名ですが、SF作家としてもかなりのポテンシャルを秘めているように思います(怪作『ディプロトドンティア・マクロプス』でもその片鱗が伺えます)。
 とりあえず、このシリーズの面白さをより多くの人に知ってもらうためにも、今現在絶版になっていて入手困難な『腐蝕の街』を速やかに復刊していただきたい。そう強く願う次第であります。
腐蝕の街腐蝕の街
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Theme:SF小説
Genre:本・雑誌

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comments(0)|trackback(0)|読書|2008-07-15_03:52|page top

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行動力なし、責任感なし、度胸なし。理屈っぽい。理に適わないことはきらい。
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